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(1) 幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた指導を工夫することにより,幼稚園教育要領等に基づく幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を踏まえて教育活動を実施し,児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かうことが可能となるようにすること。

 また,低学年における教育全体において,例えば生活科において育成する自立し生活を豊かにしていくための資質・能力が,他教科等の学習においても生かされるようにするなど,教科等間の関連を積極的に図り,幼児期の教育及び中学年以降の教育との円滑な接続が図られるよう工夫すること。

 特に,小学校入学当初においては,幼児期において自発的な活動としての遊びを通して育まれてきたことが,各教科等における学習に円滑に接続されるよう,生活科を中心に,合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など,指導の工夫や指導計画の作成を行うこと。

 本項は,幼稚園教育要領や幼保連携型認定こども園教育・保育要領,保育所保育指針(以下「幼稚園教育要領等」という。)に基づく幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の重要性を示している。

 小学校低学年は,幼児期の教育を通じて身に付けたことを生かしながら教科等の学びにつなぎ,児童の資質・能力を伸ばしていく時期である。幼稚園教育要領等においては,「知識及び技能の基礎」,「思考力,判断力,表現力等の基礎」,「学びに向かう力,人間性等」の三つの柱から構成される資質・能力を一体的に育むように努めることや,幼児期の教育を通して資質・能力が育まれている幼児の具体的な姿を幼児期の終わりまでに育ってほしい姿として示している。

 この幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を手掛かりに幼稚園の教師等と子供の成長を共有することを通して,幼児期から児童期への発達の流れを理解することが大切である。

 小学校においては,幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえた指導を工夫することにより児童が主体的に自己を発揮しながら学びに向かい,幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を更に伸ばしていくことができるようにすることが重要である。

 その際,低学年における学びの特質を踏まえて,自立し生活を豊かにしていくための資質・能力を育むことを目的としている生活科と各教科等の関連を図るなど,低学年における教育課程全体を見渡して,幼児期の教育及び中学年以降の教育との円滑な接続が図られるように工夫する必要がある。

 特に,小学校の入学当初においては,幼児期の遊びを通じた総合的な指導を通じて育まれてきたことが,各教科等における学習に円滑に接続されるよう,スタートカリキュラムを児童や学校,地域の実情を踏まえて編成し,その中で,生活科を中心に,合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定など,指導の工夫や指導計画の作成を行うことが求められる。

 こうした幼児期の終わりまでに育ってほしい姿との関連や,スタートカリキュラムの編成の工夫については,各教科等の章における指導計画の作成と内容の取扱いにおいても示されているところである。

 
 

(2) 中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領を踏まえ,中学校教育及びその後の教育との円滑な接続が図られるよう工夫すること。

 特に,義務教育学校,中学校連携型小学校及び中学校併設型小学校においては,義務教育9年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成すること。

 本項は,中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領を踏まえた,中学校教育及びその後の教育との円滑な接続の重要性について示している。

 小学校及び中学校の義務教育段階においては,教育基本法第5条第2項が規定する「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎」及び「国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質」を卒業段階までに育むことができるよう,学校教育法並びに小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領に示すところに従い,小学校及び中学校9年間を通じて育成を目指す資質・能力を明確化し,その育成を高等学校教育等のその後の学びに円滑に接続させていくことが求められる。

 したがって

@小学校教育には,学級担任が児童の生活全般に関わりながら,各教科等の指導を含めた児童の育ちを全般的に支えることを通して,幼児期の教育を通して育まれた資質・能力を受け継ぎ,児童に義務教育としての基礎的な資質・能力の育成を目指した教育を行うことが,

A中学校教育には,学級担任による日常的な指導と教科担任による専門性を踏まえた指導とを行う中で,小学校教育の成果を受け継ぎ,生徒に義務教育9年間を見通して必要な資質・能力の育成を目指す教育を行うことが

それぞれ求められる。

 このような観点から,小学校と中学校の接続に際しては,義務教育9年間を見通して児童生徒に必要な資質・能力を育むことを目指した取組が求められる。

 具体的には,例えば同一中学校区内の小学校と中学校の間の連携を深めるため,次のような工夫が考えられる。

・ 学校運営協議会や地域学校協働本部等の各種会議の合同開催を通じて,各学校で育成を目指す資質・能力や教育目標,それらに基づく教育課程編成の基本方針などを,学校,保護者,地域間で共有して改善を図ること。

・ 校長・副校長・教頭の管理職の間で,各学校で育成を目指す資質・能力や教育目標,それらに基づく教育課程編成の基本方針などを共有し,改善を図ること。

・ 教職員の合同研修会を開催し,地域で育成を目指す資質・能力を検討しながら,各教科等や各学年の指導の在り方を考えるなど,指導の改善を図ること。

・ 同一中学校区内での保護者間の連携・交流を深め,取組の成果を共有していくこと。

 特に,義務教育学校,中学校連携型小学校及び中学校併設型小学校においては,こうした工夫にとどまらず,9年間を見通した計画的かつ継続的な教育課程を編成し,小学校と中学校とで一体的な教育内容と指導体制を確立して特色ある教育活動を展開していくことが重要となる。

 
 
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