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ア 不登校児童については,保護者や関係機関と連携を図り,心理や福祉の専門家の助言又は援助を得ながら,社会的自立を目指す観点から,個々の児童の実態に応じた情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。

 「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」第3条第2号及び第3号において,

「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ,個々の不登校児童生徒の状況に応じた必要な支援が行われるようにすること」,

「不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるよう,学校における環境の整備が図られるようにすること」

と規定されている。

 また,同法第7条に基づき教育機会の確保等に関する施策を総合的に推進することを目的とした「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する基本指針」を文部科学省において策定している。

 不登校児童については,これらの法令等に基づき適切に支援を行うことが求められる。

 その際,留意する点については以下のとおりである。

 不登校は,取り巻く環境によっては,どの児童にも起こり得ることとして捉える必要がある。

 また,不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない。

 加えて,不登校児童が悪いという根強い偏見を払拭し,学校・家庭・社会が不登校児童に寄り添い共感的理解と受容の姿勢をもつことが,児童の自己肯定感を高めるためにも重要である。

 また,不登校児童については,個々の状況に応じた必要な支援を行うことが必要であり,登校という結果のみを目標にするのではなく,児童や保護者の意思を十分に尊重しつつ,児童が自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要がある。

 不登校児童への支援の際は,不登校のきっかけや継続理由,学校以外の場において行っている学習活動の状況等について,家庭訪問も含めた継続的な把握が必要である。

 さらに,不登校児童の状況によっては休養が必要な場合があることも留意しつつ,学校以外の多様で適切な学習活動の重要性も踏まえ,個々の状況に応じた学習活動等が行われるよう支援することが必要である。

 例えば,いじめられている児童の緊急避難としての欠席が弾力的に認められてもよく,そのような場合には,その後の学習に支障がないように配慮する必要がある。

 あわせて,不登校児童の保護者に対し,不登校児童への支援を行う機関や保護者の会などに関する情報提供及び指導要録上の出席扱いや通学定期乗車券の取扱等を周知することも重要である。

 加えて,家庭で多くの時間を過ごしている不登校児童に対しては,その状況を見極め,当該児童及び保護者との信頼関係を構築しつつ,必要な情報提供や助言,ICT等を通じた支援,家庭等への訪問による支援を行うことが重要である。

 さらに,不登校児童が自らの意思で登校した場合は,温かい雰囲気で迎え入れられるよう配慮するとともに,保健室,相談室や学校図書館等も活用しつつ,安心して学校生活を送ることができるような支援を行うことが重要である。

 こうした支援を行うためには,学級担任のみならず教育相談担当教師など他の教師がスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフ等と連携・分担し学校全体で行うことが必要である。

 加えて,必要に応じ,福祉,医療及び民間の団体等の関係機関や関係者間と情報共有を行うほか,学校間の引継ぎを行うなどして継続した組織的・計画的な支援を行うことが重要である。

 その際,学校は,当該児童や保護者と話し合うなどして「児童理解・教育支援シート」等を作成することが望ましい。

 
 

イ 相当の期間小学校を欠席し引き続き欠席すると認められる児童を対象として,文部科学大臣が認める特別の教育課程を編成する場合には,児童の実態に配慮した教育課程を編成するとともに,個別学習やグループ別学習など指導方法や指導体制の工夫改善に努めるものとする。

 相当の期間小学校を欠席し引き続き欠席すると認められる児童を対象として,その実態に配慮した特別の教育課程を編成し,教育を実施する場合は,学校教育法施行規則第56条に基づき,文部科学大臣の指定が必要となる。

 この特別の教育課程においても,憲法,教育基本法の理念を踏まえ,学校教育法に定める学校教育の目標の達成に努める必要がある。

 また,特別の教育課程を実施する際は,不登校児童の状況に配慮し,例えば,不登校児童の学習状況に合わせた個別学習,グループ別学習,家庭訪問や保護者への支援等個々の児童の実態に即した支援,学校外の学習プログラムの積極的な活用など指導方法や指導体制の工夫改善に努めることが求められる。

 
 
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