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 言葉の特徴や使い方に関する事項である。

「言葉の働き」,
「話し言葉と書き言葉」,
「漢字」,
「語彙」,
「文や文章」,
「言葉遣い」,
「表現の技法」,
「音読,朗読」

に関する内容を整理し,
系統的に示している。

 
 

 言語が共通にもつ言葉の働きに関する事項である。

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 自分が用いている言葉の働きを客観的に捉えることは,国語科で育成を目指す資質・能力の重要な要素である。

 言葉がもつ働きに改めて気付くことで,児童は言葉を自覚的に用いることができるようになる。

 このため,平成20年告示の学習指導要領において新設された第1学年及び第2学年,第3学年及び第4学年の指導事項を踏まえ,今回,第5学年及び第6学年の指導事項を新設し,系統的に示している。

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 なお,外国語科においては,
〔思考力,判断力,表現力等〕の
(3)「A 言語の働きに関する事項」
において,

「言語活動を行うに当たり,
 主として次に示すような
 言語の使用場面や
 言語の働き
 を取り上げるようにする。」

として

「コミュニケーションを円滑にする」,
「気持ちを伝える」,
「事実・情報を伝える」,
「考えや意図を伝える」,
「相手の行動を促す」

といった言語の働きの例を示している。

これは外国語活動においても同様である。

 このことを踏まえ,
指導に当たっては,
外国語活動及び外国語科
における指導
との関連を図り,
相互に指導の効果を高める
ことが考えられる。

【言葉の働き】

[第1学年及び第2学年]

ア 言葉には,事物の内容を表す働きや,経験したことを伝える働きがあることに気付くこと。

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[第3学年及び第4学年]

ア 言葉には,考えたことや思ったことを表す働きがあることに気付くこと。

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[第5学年及び第6学年]

ア 言葉には,相手とのつながりをつくる働きがあることに気付くこと。

 
 

 話し言葉と書き言葉に関する事項である。

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 第1学年及び第2学年,第3学年及び第4学年のイには話し言葉に関する内容を示している。文字と音声との対応や語の認識,分かりやすく明瞭な話し方などは,音声言語による活動の基盤となるものである。

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 各学年のウには書き言葉のきまりなどに関する内容を示している。

 書き言葉のきまりに関する理解と適切な使用は,国語科の学習のみならず,各教科等の学習においても重要なものとなる。

 第1学年及び第2学年では書き言葉に関する基礎的なきまり,第3学年及び第4学年では漢字と仮名に関するきまりや句読点,ローマ字の読み書き,第5学年及び第6学年では文や文章を読みやすいものにするための漢字と仮名の使い分けや送り仮名,仮名遣いについて示している。

 これらについては,実際に書く言語活動を通じて理解し適切に使うことができるようにしていくことが重要である。

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 第1学年及び第2学年,第3学年及び第4学年における話し言葉や書き言葉の学習を基盤として,第5学年及び第6学年のイには話し言葉と書き言葉のそれぞれがもつ特徴の違いについて気付くことを示している。

 こうした違いに気付くことは,語感や言葉の使い方に関する感覚を磨くことにもつながる。

【話し言葉と書き言葉】

[第1学年及び第2学年]

イ 音節と文字との関係,アクセントによる語の意味の違いなどに気付くとともに,姿勢や口形,発声や発音に注意して話すこと。

ウ 長音,拗(よう)音,促音,撥(はつ)音などの表記,助詞の「は」,「へ」及び「を」の使い方,句読点の打ち方,かぎ(「 」)の使い方を理解して文や文章の中で使うこと。

 また,平仮名及び片仮名を読み,書くとともに,片仮名で書く語の種類を知り,文や文章の中で使うこと。

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[第3学年及び第4学年]

イ 相手を見て話したり聞いたりするとともに,言葉の抑揚や強弱,間の取り方などに注意して話すこと。

ウ 漢字と仮名を用いた表記,送り仮名の付け方,改行の仕方を理解して文や文章の中で使うとともに,句読点を適切に打つこと。

 また,第3学年においては,日常使われている簡単な単語について,ローマ字で表記されたものを読み,ローマ字で書くこと。

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[第5学年及び第6学年]

イ 話し言葉と書き言葉との違いに気付くこと。

ウ 文や文章の中で漢字と仮名を適切に使い分けるとともに,送り仮名や仮名遣いに注意して正しく書くこと。

 
 

 漢字の読みと書きに関する事項である。

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 漢字の読みと書きについては,書きの方が習得に時間がかかるという実態を考慮し,書きの指導は2学年間という時間をかけて,確実に書き,使えるようにすることとしている。

 また,漢字の読みについては,当該学年に配当されている漢字の音読みや訓読みができるようにすることとしている。

 なお,第6学年に配当された漢字の書きについては,当該学年において漸次書き,文や文章の中で使うとともに,中学校の第2学年までの間で確実に身に付け,使えるようにすることになる。

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  今回の改訂においては,学年別漢字配当表の第4学年に,都道府県名に用いる漢字25字を配当した。

 具体的には,学年別漢字配当表に新たに加えた漢字20字(茨,媛,岡,潟,岐,熊,香,佐,埼,崎,滋,鹿,縄,井,沖,栃,奈,梨,阪,阜),これまで第5学年に配当されていた漢字4字(賀,群,徳,富)及びこれまで第6学年に配当されていた漢字1字(城)である。

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 また,これに伴い,各学年における児童の学習負担に配慮して,32字の配当学年を移行した。

 具体的には,これまで第4学年に配当されていた漢字のうち21字(囲,紀,喜,救,型,航,告,殺,士,史,象,賞,貯,停,堂,得,毒,費,粉,脈,歴)を第5学年に,2字(胃,腸)を第6学年に移行するとともに,これまで第5学年に配当されていた漢字のうち9字(恩,券,承,舌,銭,退,敵,俵,預)を第6学年に移行した。

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 各学年の字数及びその増減は次のとおりである。

  平成
20年
告示
平成
29年
告示
増減
第1学年 80字 80字 0
第2学年 160字 160字 0
第3学年 200字 200字 0
第4学年 200字 202字 +2
第5学年 185字 193字 +8
第6学年 181字 191字 +10
  1006字 1026字 +20

【漢字】

[第1学年及び第2学年]

エ 第1学年においては,別表の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)の第1学年に配当されている漢字を読み,漸次書き,文や文章の中で使うこと。

 第2学年においては,学年別漢字配当表の第2学年までに配当されている漢字を読むこと。

 また,第1学年に配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,第2学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。

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[第3学年及び第4学年]

エ 第3学年及び第4学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。

 また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。

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[第5学年及び第6学年]

エ 第5学年及び第6学年の各学年においては,学年別漢字配当表の当該学年までに配当されている漢字を読むこと。

 また,当該学年の前の学年までに配当されている漢字を書き,文や文章の中で使うとともに,当該学年に配当されている漢字を漸次書き,文や文章の中で使うこと。

 
 

 語彙を豊かにすることに関する事項である。

 語句の量を増すことと,語句のまとまりや関係,構成や変化について理解することの二つの内容で構成している。

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 中央教育審議会答申において,
「小学校低学年の学力差の大きな背景に語彙の量と質の違いがある」
と指摘されているように,

語彙は,全ての教科等における資質・能力の育成や学習の基盤となる言語能力の重要な要素である。

 このため,語彙を豊かにする指導の改善・充実を図っている。

 語句の量を増すことに関しては,

第1学年及び第2学年では,
身近なことを表す語句の量を増し

第3学年及び第4学年では,
様子や行動,気持ちや性格を表す語句
の量を増し

第5学年及び第6学年では,
思考に関わる語句の量を増し

とするなど,
各学年において,
指導する語句のまとまりを示している。

 これらは,あくまでも指導の重点とする語句の目安を示したものであり,これ以外の語句の指導を妨げるものではない。

 重点として示された語句のまとまりを中心としながら,学習の中で必要となる多様な語句を取り上げることが重要である。

 また,学習の中で語句を使うことを通じて,日常生活の中でも使いこなせる語句を増やし,確実に習得していくことが重要である。

 語句のまとまりや関係,構成や変化などについては,

第1学年及び第2学年では,
意味による
語句のまとまりがあること
に気付く
こと,

第3学年及び第4学年では,
性質や役割による
語句のまとまりがあること
を理解する
こと,

第5学年及び第6学年では,
語句の構成や変化について
理解する
こと
へと展開していく。

 また,
第5学年及び第6学年においては,
語彙に関する学習の
小学校におけるまとめとして,
語感や言葉の使い方に対する感覚
を意識して,
語や語句を使うことを示している。

 語彙を豊かにするためには,

語句の量を増すことと,

語句のまとまりや関係,構成や変化
について理解すること

の両面が必要である。

【語彙】

[第1学年及び第2学年]

オ 身近なことを表す語句の量を増し,話や文章の中で使うとともに,言葉には意味による語句のまとまりがあることに気付き,語彙を豊かにすること。

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[第3学年及び第4学年]

オ 様子や行動,気持ちや性格を表す語句の量を増し,話や文章の中で使うとともに,言葉には性質や役割による語句のまとまりがあることを理解し,語彙を豊かにすること。

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[第5学年及び第6学年]

オ 思考に関わる語句の量を増し,話や文章の中で使うとともに,語句と語句との関係,語句の構成や変化について理解し,語彙を豊かにすること。

 また,語感や言葉の使い方に対する感覚を意識して,語や語句を使うこと。

 
 

 文,話,文章の構成に関する事項である。

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主語と述語,
修飾と被修飾との関係
などに加えて,
語順などの特徴についても
理解すること,

指示する語句や接続する語句の役割
についての理解を基盤に,
文と文との関係,
話や文章の構成や展開

などについて理解すること

を示している。

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第1学年及び第2学年は
主語と述語との関係に重点を置いた
文の構成に関わる内容,

第3学年及び第4学年,
第5学年及び第6学年は
文に関わる内容と
話や文章に関わる内容

で構成している。

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 なお,

段落の役割,
話や文章の構成や展開
は,

平成20年告示の学習指導要領では
「A話すこと・聞くこと」,
「B書くこと」,
「C読むこと」
の各領域に示してきた内容であるが,

今回の改訂では,
話したり聞いたり
書いたり読んだりするために
共通して必要となる
「知識及び技能」
として整理し,
ここに示している。

【文や文章】

[第1学年及び第2学年]

カ 文の中における主語と述語との関係に気付くこと。

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[第3学年及び第4学年]

カ 主語と述語との関係,修飾と被修飾との関係,指示する語句と接続する語句の役割,段落の役割について理解すること。

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[第5学年及び第6学年]

カ 文の中での語句の係り方や語順,文と文との接続の関係,話や文章の構成や展開,話や文章の種類とその特徴について理解すること。

 
 

 言葉遣いに関する事項である。

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 平成20年告示の学習指導要領では,

丁寧な言葉と普通の言葉との違いについては

第1学年及び第2学年の
「A 話すこと・聞くこと」に,
「敬体と常体との違い」については
第3学年及び第4学年の「B 書くこと」に
示してきた内容であるが,

今回の改訂では,
いずれも
「言葉遣い」に関する「知識及び技能」
として整理し,
敬語と併せてここに示している。

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 相手や場面などに応じて
言葉を選んだり,
適切に使い分けたりする
ことができるようにし,

日常生活の中での使用につながる
ようにすることが重要である。

【言葉遣い】

[第1学年及び第2学年]

キ 丁寧な言葉と普通の言葉との違いに気を付けて使うとともに,敬体で書かれた文章に慣れること。

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[第3学年及び第4学年]

キ 丁寧な言葉を使うとともに,敬体と常体との違いに注意しながら書くこと。

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[第5学年及び第6学年]

キ 日常よく使われる敬語を理解し使い慣れること。



 表現の技法の種類とその特徴に関する事項である。

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第4学年までに
様々な表現の工夫に触れること
を基盤として,

第5学年及び第6学年で,
比喩や反復などの表現の工夫
に気付くこと
を示している。

中学校第1学年では,
比喩,反復,倒置,体言止め
などの表現の技法について
理解し使うこと
へと発展していく。

【表現の技法】

[第1学年及び第2学年]

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[第3学年及び第4学年]

---------------------------------

[第5学年及び第6学年]

ク 比喩や反復などの表現の工夫に気付くこと。

 
 

音読や朗読に関する事項である。

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 指導に当たっては,

〔思考力,判断力,表現力等〕の
「C 読むこと」だけでなく,

〔知識及び技能〕の他の指導事項や

〔思考力,判断力,表現力等〕の
「A 話すこと・聞くこと」,
「B 書くこと」

の指導事項とも
適切に関連付けて指導することが
重要であるため,

今回の改訂では,
「知識及び技能」として整理し,
ここに示している。

【音読,朗読】

[第1学年及び第2学年]

ク 語のまとまりや言葉の響きなどに気を付けて音読すること。

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[第3学年及び第4学年]

ク 文章全体の構成や内容の大体を意識しながら音読すること。

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[第5学年及び第6学年]

ケ 文章を音読したり朗読したりすること。

 
 
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