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2 第2の内容の取扱いについては,次の事項に配慮するものとする。

(1) 〔知識及び技能〕に示す事項については,次のとおり取り扱うこと。

ア 日常の言語活動を振り返ることなどを通して,児童が,実際に話したり聞いたり書いたり読んだりする場面を意識できるよう指導を工夫すること。

 〔知識及び技能〕に示す事項の取扱いを示している。

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 〔知識及び技能〕に示す事項は,個別の事実的な知識や,一定の手順や段階を追って身に付く技能のみを指すものではないため,実際に話したり聞いたり書いたり読んだりする場面において,生きて働く「知識及び技能」として習得することが求められる。

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 そのため,指導に当たっては,児童が,日常の言語活動の中にある言葉の特徴やきまりなどに気付くことや,学習したことを日常の話したり聞いたり書いたり読んだりする場面に生かすことを意識しながら学習できるようにすることが重要である。

 
 

イ 理解したり表現したりするために必要な文字や語句については,辞書や事典を利用して調べる活動を取り入れるなど,調べる習慣が身に付くようにすること。

 必要な文字や語句を調べる習慣を身に付けることを示している。

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 平成20年告示の学習指導要領では,第3学年及び第4学年において,「表現したり理解したりするために必要な語句について,辞書を利用して調べる方法を理解し,調べる習慣を付けること」を指導することとされていたが,今回の改訂では,6年間を通じて,児童の発達や学習の状況に応じて調べる活動を取り入れ,調べる習慣が身に付くよう,内容の取扱いとして示している。

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 国語で正確に理解し適切に表現するためには,知らなかったり不確かだったりする文字や語句の意味や使い方について,国語辞典や漢字辞典,百科事典などを利用して調べることが重要である。

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 また,そうした習慣を身に付けるために,辞書や事典の使い方を理解するとともに,必要な時にはいつでも辞書や事典が手元にあり使えるような言語環境を整えておくことも重要である。

 
 

ウ 第3学年におけるローマ字の指導に当たっては,第5章総合的な学習の時間の第3の2の(3)に示す,コンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得し,児童が情報や情報手段を主体的に選択し活用できるよう配慮することとの関連が図られるようにすること。

 ローマ字に関する事項の取扱いを示している。

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 総合的な学習の時間における,コンピュータで文字を入力するなどの学習との関連が図られるよう,指導する時期や内容を意図的,計画的に位置付けることが重要である。

 
 

エ 漢字の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。

(ア) 学年ごとに配当されている漢字は,児童の学習負担に配慮しつつ,必要に応じて,当該学年以前の学年又は当該学年以降の学年において指導することもできること。

(イ) 当該学年より後の学年に配当されている漢字及びそれ以外の漢字については,振り仮名を付けるなど,児童の学習負担に配慮しつつ提示することができること。

(ウ) 他教科等の学習において必要となる漢字については,当該教科等と関連付けて指導するなど,その確実な定着が図られるよう指導を工夫すること。

(エ) 漢字の指導においては,学年別漢字配当表に示す漢字の字体を標準とすること。

 漢字に関する事項の取扱いを示している。

 (ア)は,当該学年に配当されている漢字は原則としてその学年で指導するものであるが,必要に応じて弾力的な扱いができることを示している。

 例えば,第2学年の漢字の指導の際,「昔話」や「家族」のように,「話」と「家」は第2学年,「昔」と「族」は第3学年の配当漢字であり,配当学年が異なる漢字で構成されている熟語が出てくる場合がある。

 その時,第2学年であっても,必要に応じて「昔話」,「家族」などのように漢字の熟語として提示してよいということである。

 なお,その際には,(イ)の事項と関連して,児童の学習負担が過重にならないよう配慮が必要であり,後の学年の配当漢字である「昔」と「族」については,振り仮名を付けて「昔(むかし)話」,「家族(ぞく)」のように提示することになる。

 (イ)は,当該学年までに学習しない漢字についても,振り仮名を付け,漢字で提示できることを示している。

 「学年別漢字配当表」において当該学年より後の学年に配当されている漢字や,「学年別漢字配当表」に掲げられている漢字以外の漢字についても,振り仮名付きで提示することにより,読む機会を増やし,その漢字に慣れることで,児童の漢字の習得に資することが望まれる。

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 また,必要以上に交ぜ書きをすることがなくなるため,語句の意味に対する児童の理解が一層促進されることが期待される。

 (ウ)は,他教科等と関連付けて指導することについて示している。

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 今回の改訂においては,常用漢字表の改定(平成22年),児童の日常生活及び将来の社会生活,国語科以外の各教科等の学習における必要性を踏まえ,都道府県名に用いる漢字を「学年別漢字配当表」に加えている。

 これらの漢字については,社会科第4学年における都道府県の名称と位置についての学習と関連付けて指導できるよう,第4学年に配当している。

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 このように,他教科等の学習に必要となる漢字については,指導する時期や内容を意図的,計画的に位置付けるなど,当該教科等と関連付けた指導を行い,その確実な定着を図ることが求められる。

 (エ)は,漢字の標準的な字体の拠(より)所を示している。

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 漢字の指導の際には,学習指導要領の「学年別漢字配当表」に示された漢字の字体を元に指導することを示している。

 「常用漢字表」(平成22年内閣告示)の「前書き」及び「常用漢字表の字体・字形に関する指針(報告)」(平成28年2月29日文化審議会国語分科会)においては,以下のような考え方が示されている。

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・字体は骨組みであるため,ある一つの字体も,実際に書かれて具体的な字形となってあらわれたときには,その形は一定ではない。

 同じ文字として認識される範囲で,無数の形状を持ち得ることになる。

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 児童の書く文字を評価する場合には,こうした考え方を参考にして,正しい字体であることを前提とした上で,柔軟に評価することが望ましい。

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 一方,漢字の学習と書写の学習とを考えたとき,文字を書く能力を学習や生活に役立てるために,文字を正しく整えて書くことができるよう,指導の場面や状況に応じて一定の字形を元に学習や評価が行われる場合もある。

 指導に当たっては,字体についての考え方を十分理解した上で,生涯にわたる漢字学習の基礎を培うとともに,将来の社会生活において漢字を円滑に運用できる能力を身に付けていくことができるよう配慮することが重要である。

 
 

オ 各学年の(3)のア及びイに関する指導については,各学年で行い,古典に親しめるよう配慮すること。

 伝統的な言語文化に関する事項の取扱いを示している。

 第1学年から第6学年までの各学年において継続して指導し,古典に親しめるよう配慮することを示している。

 
 

カ 書写の指導については,第2の内容に定めるほか,次のとおり取り扱うこと。

(ア) 文字を正しく整えて書くことができるようにするとともに,書写の能力を学習や生活に役立てる態度を育てるよう配慮すること。

(イ) 硬筆を使用する書写の指導は各学年で行うこと。

(ウ) 毛筆を使用する書写の指導は第3学年以上の各学年で行い,各学年年間30単位時間程度を配当するとともに,毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導すること。

(エ) 第1学年及び第2学年の(3)のウの(イ)の指導については,適切に運筆する能力の向上につながるよう,指導を工夫すること。

 書写に関する事項の取扱いを示している。

 (ア)は,書写の指導におけるねらいを明確にしたものである。文字を正しく整えて書くことができるようにすることに加えて,書写の学習で身に付けた資質・能力を,各教科等の学習や生活の様々な場面で積極的に生かす態度を育成することを求めている。

 様々な場面とは,例えば,学習した内容をノートに書いたり調べたことを模造紙にまとめたりすること,親しい人に手紙を書くことなどが考えられる。

 また,我が国の伝統文化である書き初めに取り組むことなどを通して,書写の能力が生活の中の様々な行事に生きていることを実感することも大切である。

 (イ)は,硬筆を使用する書写の指導は各学年で行うことを示している。

 必要に応じて,取り立てて指導したり〔思考力,判断力,表現力等〕に示す事項と関連付けて指導したりして,確実に実施することが必要である。

 (ウ)は,毛筆を使用する書写の指導に配当する授業時数は,第3学年以上に年間30単位時間程度とすることを示している。指導計画を作成するに当たっては,毛筆と硬筆とを相互に関連させた指導を工夫する必要がある。

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 毛筆を使用する書写の指導は硬筆による書写の能力の基礎を養うよう指導するとあるのは,

 毛筆を使用して書写の指導を行うこと
 のねらいを明確にしたものである。

 毛筆を使用する書写の指導が,
 毛筆書写の能力の育成で
 完結してしまわないように,
 毛筆と硬筆との関連的な指導を
 一層工夫することを求めている。

 毛筆で文字を正しく整えて書くこと
 ができるようにすることは,
 日常生活における
 硬筆による書写の能力を高める
 基礎となる。

 また,このことは,
 我が国の豊かな文字文化を
 理解し,継承,創造していく
 ための基礎ともなる。

 (エ)は,第1学年及び第2学年の〔知識及び技能〕の(3)ウ(イ)における「点画の書き方や文字の形に注意しながら」書くことの指導について,適切に運筆する能力の向上につながるよう,指導を工夫することを示している。

 水書用筆(すいしょようひつ)等を使用した運筆指導を取り入れるなど,早い段階から硬筆書写の能力を高めるための関連的な指導を工夫することが望ましい。

 水書用筆(すいしょようひつ)は,扱いが簡便で弾力性に富み,時間の経過とともに筆跡が消えるという特性をもっている。

 その特性を生かして,「点画」の始筆から,送筆,終筆(とめ,はね,はらい)までの一連の動作を繰り返し練習することは,学習活動や日常生活において,硬筆で適切に運筆する習慣の定着につながる。

 また,水書用筆(すいしょようひつ)等を使用する指導は,第3学年から始まる毛筆を使用する書写の指導への移行を円滑にすることにもつながる。

 
 

(2) 第2の内容の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高めるよう工夫すること。

 コンピュータや情報通信ネットワークの活用について示している。

 情報化社会の進展を見据え,国語科の学習においても,情報収集や情報発信の手段として,インターネットや電子辞書等の活用,コンピュータによる発表資料の作成やプロジェクターによる提示など,コンピュータや情報通信ネットワークを活用する機会を設けることが重要である。

 
 

(3) 第2の内容の指導に当たっては,学校図書館などを目的をもって計画的に利用しその機能の活用を図るようにすること。

 その際,本などの種類や配置,探し方について指導するなど,児童が必要な本などを選ぶことができるよう配慮すること。

 なお,児童が読む図書については,人間形成のため偏りがないよう配慮して選定すること。

 学校図書館は,児童の読書活動や児童への読書指導の場である「読書センター」,児童の学習活動を支援したり授業の内容を豊かにしてその理解を深めたりする「学習センター」,児童や教職員の情報ニーズに対応したり児童の情報の収集・選択・活用能力を育成したりする「情報センター」としての機能を有している。

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 〔知識及び技能〕及び〔思考力,判断力,表現力等〕に示す事項の指導に当たっては,学校図書館などを利用する目的を明確にした上で計画的に利用し,これらの機能の活用を図ることが必要である。

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 学校図書館などを利用する際には,児童が必要な本や資料などを選ぶことができるよう,本などの種類や配置,探し方について指導することが重要である。

 本などの種類としては,物語や伝記,自然科学や社会科学に関する本,雑誌,図鑑や事典など多様なものがある。

 国語科の学習の中で本などを選ぶ際に,本などがその種類や著者名などによって配置されていることを理解し,題名や目次,索引などを手掛かりに必要な本などを探す指導を行うことが効果的である。

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 児童が読む図書の選定に当たっては,人間形成のため幅広く,偏りがないようにし,豊かな人間性の育成に資するよう配慮する必要がある。

 
 
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