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(1) 身近な地域や市区町村(以下第2章第2節において「市」という。)の様子について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 身近な地域や自分たちの市の様子を大まかに理解すること。

(イ) 観察・調査したり地図などの資料で調べたりして,白地図などにまとめること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 都道府県内における市の位置,市の地形や土地利用,交通の広がり,市役所など主な公共施設の場所と働き,古くから残る建造物の分布などに着目して,身近な地域や市の様子を捉え,場所による違いを考え,表現すること。

 この内容は,主として「地理的環境と人々の生活」に区分されるものであり,身近な地域や市区町村の様子についての学習で身に付ける事項を示している。

 身近な地域や市区町村の様子とは,自分たちが通う学校の周りの地域や自分たちの住んでいる市の様子を指している。

 なお,ここで示している区とは,東京都の特別区(23区)を指している。

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 身近な地域や自分たちの市の様子に関する内容については,アの(ア)及び(イ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,都道府県内における市の位置,市の地形や土地利用,交通の広がり,市役所など主な公共施設の場所と働き,古くから残る建造物の分布などに着目して,観察・調査したり地図などの資料で調べたりして,白地図などにまとめ,身近な地域や市の様子を捉え,場所による違いを考え,表現することを通して,身近な地域や自分たちの市の様子を大まかに理解できるようにすることである。

 
 
 アは,「知識及び技能」に関わる事項である。

 アの(ア)は,知識に関わる事項である。

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 身近な地域や自分たちの市の様子を大まかに理解することとは,

都道府県内における市の位置,市の地形や土地利用,交通の広がり,市役所など主な公共施設の場所と働き,古くから残る建造物の分布などを基に,身近な地域や市区町村の様子について理解することである。

 アの(イ)は,技能に関わる事項である。

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 観察・調査したり地図などの資料で調べたりして,白地図などにまとめることとは,

身近な地域や市の様子について,地図や写真などの資料で市の位置や地形,土地利用,交通の広がりなどを観察したり調べたりして,白地図などにまとめることである。

 ここでは,観察・調査して必要な情報を集める技能,地図などの資料から位置や地形,広がりや分布などを読み取る技能,地図記号を使って,調べたことを白地図などにまとめる技能などを身に付けるようにすることが大切である。

 
 

 イの(ア)は,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

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 都道府県内における市の位置,市の地形や土地利用,交通の広がり,市役所など主な公共施設の場所と働き,古くから残る建造物の分布などに着目して,身近な地域や市の様子を捉え,場所による違いを考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
身近な地域や市の様子について,
例えば,

市はどこに位置しているか,
どのように広がっているか,
どのように利用されているか

などの問いを設けて調べたり,

場所ごとの様子を比較して
違いを考えたりして,

調べたことや考えたことを表現すること
である。

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 都道府県内における市の位置に着目するとは,

都道府県全体から見た自分たちの市や隣接する市などの位置や位置関係について調べることである。

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 市の地形に着目するとは,

土地の低いところや高いところ,広々と開けた土地や山々に囲まれた土地,川の流れているところや海に面したところなどの地形の様子について調べることである。

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 土地利用に着目するとは,

田や畑,森林の広がり,住宅や商店,工場の分布など,土地利用の広がりや分布について調べることである。

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 交通の広がりに着目するとは,

主な道路や鉄道の名称や主な経路などについて調べることである。

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 市役所など主な公共施設の場所と働きに着目するとは,

人々が利用する主な公共施設の場所や施設としての働きについて調べることである。

 ここで取り上げる公共施設としては,市(区)役所や町(村)役場(以下市役所という。)をはじめ,学校,公園,公民館,コミュニティセンター,図書館,児童館,体育館,美術館,博物館,資料館,文化会館,消防署,警察署,交番,裁判所,検察庁,港など,多くの市民が利用したり,市民のために活動したりしている施設が考えられる。

 その際,多くの公共施設は市役所によって運営されていることや,災害時における避難場所は市役所において指定されていることに触れることが大切である。

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 古くから残る建造物の分布に着目するとは,

身近な地域や市に古くから残る神社,寺院,伝統的な家屋などの建造物や,門前町,城下町,宿場町などの伝統的なまち並みの位置や広がり,いわれなどについて調べることである。このようにして調べたことを手掛かりに,身近な地域や市の様子を捉えることができるようにする。

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 場所による違いを考え,表現することとは,例えば,

駅や市役所の付近,
工場や住宅の多いところ,
田畑や森林が多いところ,
伝統的なまち並みがあるところなど,

場所ごとの様子を比較したり,

主な道路と工場の分布,
主な駅と商店の分布など
土地利用の様子と,

交通などの社会的な条件や
土地の高低などの地形条件を
関連付けたりして,

市内の様子は
場所によって違いがあること

を考え,
文章で記述したり,
白地図などにまとめたことを基に
説明したりすることである。

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 実際の指導に当たっては,

生活科での学習経験を生かし,

小高い山や校舎の屋上など
高いところから
身近な地域の景観を展望したり,

地理的に見て特徴のある場所や
主な公共施設などを
観察・調査したりする活動

が考えられる。

 そうした活動からつなげて,
地図や写真などを活用して,
市全体の様子へ視野を広げる
ようにすることが大切である。

 
 

(内容の取扱い)

(1) 内容の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア 学年の導入で扱うこととし,アの(ア)については,「自分たちの市」に重点を置くよう配慮すること。

イ アの(イ)については,「白地図などにまとめる」際に,教科用図書「地図」(以下第2章第2節において「地図帳」という。)を参照し,方位や主な地図記号について扱うこと。

 内容の取扱いの(1)のアは,内容の(1)の指導における配慮事項を示している。

 ここでは,第3学年の内容の(2),(3)及び(4)に関わりがあることを踏まえて,学年の導入で扱うようにすることや,授業時間数の配分などを工夫して,「自分たちの市」に重点を置いた効果的な指導を行うように計画することを求めている。

 市の範囲や広がりを捉えることは,地域社会の生産や販売,安全を守るための諸活動,市の様子の移り変わりを理解する上で基礎となるものである。

 身近な地域を見学したり聞き取り調査をしたりして情報を集める際には,目的や着目する視点を明確にして効果的に行い,市全体を調べる際にその視点を生かすなどして,市全体の地理的環境の概要を理解できるよう工夫することが大切である。

 内容の取扱いの(1)のイは,内容の(1)のアの(イ)の指導において,地図帳を使って方位や主な地図記号について扱うようにすることを示したものである。

 ここでは,市の様子に関する内容の指導において,自分たちの市の位置を確かめたり調べたことを白地図にまとめたりする際に必要となる方位や主な地図記号について,地図帳を参照して理解し活用できるようにすることを求めている。

 方位については,四方位と八方位を扱う。

 その際,児童の実態等を考慮に入れ,最初に四方位を取り上げ,八方位については,ここでの学習も含めて第4学年修了までに身に付けるようにする。

 主な地図記号については,身近な地域の様子を地図に表したり,地図から市の様子を読み取ったりする際に,地域の実態を踏まえて必要なものを扱うようにする。

 地図記号は,例えば,学校,警察署,交番,消防署,工場,神社,寺院,市役所,図書館,博物館,老人ホーム,郵便局,銀行などの金融機関,病院などの建物・施設に関わるもの,田,畑,果樹園,森林などの土地利用に関わるもの,鉄道,駅,道路,橋,港,空港などの交通に関わるものなどに分類される。

 
 
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