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(3) 地域の安全を守る働きについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 消防署や警察署などの関係機関は,地域の安全を守るために,相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることや,関係機関が地域の人々と協力して火災や事故などの防止に努めていることを理解すること。

(イ) 見学・調査したり地図などの資料で調べたりして,まとめること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 施設・設備などの配置,緊急時への備えや対応などに着目して,関係機関や地域の人々の諸活動を捉え,相互の関連や従事する人々の働きを考え,表現すること。

 この内容は,「現代社会の仕組みや働きと人々の生活」に区分されるものであり,地域の安全を守る働きについての学習で身に付ける事項を示している。

 地域の安全を守る働きとは,消防署や警察署などの関係機関に従事する人々が相互に連携し,地域の人々と協力して,火災や事故などから人々の安全を守るために行っている働きを指している。

 ここで取り上げる火災や事故などとは,地域の人々の生命や財産を脅かす火災,交通事故や犯罪などの事故や事件である。

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 地域の安全を守る働きに関する内容については,アの(ア)及び(イ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,
施設・設備などの配置,緊急時への備えや対応などに着目して,見学・調査したり地図などの資料で調べたりして,まとめ,関係機関や地域の人々の諸活動を捉え,相互の関連や従事する人々の働きを考え,表現することを通して,
消防署や警察署などの関係機関は,地域の安全を守るために,相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることや,関係機関が地域の人々と協力して火災や事故などの防止に努めていることを理解
できるようにすることである。

 
 
 アは,「知識及び技能」に関わる事項である。

 アの(ア)は,知識に関わる事項である。

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 消防署や警察署などの関係機関は,地域の安全を守るために,相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることを理解することとは,

緊急時において,
消防署や警察署などの関係機関が,
緊急指令室等を中心に
ネットワークを活用して
相互に連携するとともに,

火災,交通事故,犯罪など
緊急事態が発生した時には,
状況に応じて
迅速かつ確実に
事態に対処していることや,

近隣の消防署や警察署,
市役所や病院,放送局,
水・電気・ガスを供給している機関
などが協力していること,

消防団など
地域の人々が組織する諸団体が
緊急事態に対処していること

などを基に,
地域の安全を守る働きについて
理解することである。

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 消防署や警察署などの関係機関が地域の人々と協力して火災や事故などの防止に努めていることを理解することとは,

火災については,

消防署を中心に
警察署,市役所,病院,放送局,学校,
水,電気・ガスを供給している機関などが

普段から
施設・設備の整備や点検,
訓練,広報活動
などに取り組み,
火災の予防に努めていることや,

地域の人々が
消防署への火災通報,
避難訓練の実施,
地域の消防団による
防火を呼び掛ける活動
などの火災予防に協力していること

などを基にして,
地域の安全を守る働きについて
理解することである。

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 また,
交通事故や犯罪などの事故や事件
については,

警察署が中心となって,
消防署,市役所,病院,放送局,
地域の町内会や自治会,
学校,PTA
その他の関係の諸団体が
連携・協力して
交通安全運動や防犯活動を
展開していることや,

保護者による地域の巡回,
「子ども110番の家」の設置など,
地域の人々が
事故防止や防犯に協力していること

などを基に,
地域の安全を守る働きについて
理解することである。

 アの(イ)は,技能に関わる事項である。

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 見学・調査したり地図などの資料で調べたりして,まとめることとは,

地域の安全を守る活動について,

消防署や警察署などの関係機関や
関連する施設・設備
を見学したり,

地図や関係機関が作成した資料などで
調べたりして,

白地図などにまとめることである。

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 ここでは,

見学・調査して
必要な情報を集める技能,

施設・設備の位置,
関係機関相互の協力関係
などを読み取る技能,

調べたことを
白地図や図表などにまとめる技能

などを身に付けるようにすること
が大切である。

 
 

 イの(ア)は,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

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 施設・設備などの配置,緊急時への備えや対応などに着目して,関係機関や地域の人々の諸活動を捉え,相互の関連や従事する人々の働きを考え,表現するとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
関係機関や地域の人々の諸活動
について,例えば,

どこにどのような施設・設備があるか,

どのように連携・協力して
火災や事故などの発生に
備えたり対応したりしているか

などの問いを設けて調べたり,

それらの諸活動と人々の生活を
関連付けて考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

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 施設・設備などの配置に着目するとは,

消防署や警察署などの関係機関や
消火栓や火災報知器,
消防水利,
消防団倉庫などの施設・設備や,
ガードレールや交通標識,
信号,カーブミラー,
「子ども110番の家」
などの施設・設備の位置や分布について
調べることである。

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 緊急時への備えや対応に着目するとは,

働いている人の勤務体制や
待機の仕方,
訓練,
施設・設備の点検,
パトロール
の様子などについて調べたり,

関係機関のそれぞれの役割や
通信指令室を中心とするネットワーク
による関係機関の相互の連携
などについて
調べたりすることである。

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 このようにして調べたことを手掛かりに,関係機関や地域の人々の諸活動を捉えることができるようにする。

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 相互の関連や従事する人々の働きを考え,表現することとは,

例えば,連携・協力している関係機関の働きを比較・分類したり,結び付けたりして,関係機関の相互の関連を考え,文章で記述したり,図などにまとめたことを基に説明したりすることである。

 また,関係機関に従事する人々の活動と地域の人々の生活を関連付けて,関係機関の働きを考え,文章で記述したり話し合ったりすることである。

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 実際の指導に当たっては,関係機関等から集めた資料を活用したり,関係機関や地域の人などから地域の安全を守るための活動について話を聞いたりする活動が考えられる。

 
 

(内容の取扱い)

(3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア アの(ア)の「緊急時に対処する体制をとっていること」と「防止に努めていること」については,火災と事故はいずれも取り上げること。その際,どちらかに重点を置くなど効果的な指導を工夫すること。

イ イの(イ)については,社会生活を営む上で大切な法やきまりについて扱うとともに,地域や自分自身の安全を守るために自分たちにできることなどを考えたり選択・判断したりできるよう配慮すること。

 内容の取扱いの(3)のアは,内容の(3)のアの(ア)において,「消防署や警察署などの関係機関は,地域の安全を守るために,相互に連携して緊急時に対処する体制をとっていることや,関係機関が地域の人々と協力して火災や事故などの防止に努めていること」を指導する際の配慮事項を示したものである。

 「緊急時に対処する体制をとっていること」と「防止に努めていること」については,火災と事故のいずれにおいても取り上げるものとする。

 その際,例えば,「緊急時に対処する体制をとっていること」については,火災に重点を置き,「防止に努めていること」については,事故に重点を置くなど,取り上げ方に軽重を付け,効果的に指導するようにする。

 内容の取扱いの(3)のイは,内容の(3)のイの(ア)において,社会生活を営む上で大切な法やきまりについて扱うようにすることを示したものである。

 火災については,例えば,防火設備の設置や点検,消防訓練の義務など,火災の防止に関する法やきまりを,事故などについては,例えば,登下校などにおける交通事故の防止に関する法やきまりを取り上げるなど,地域の人々の安全な生活の維持と向上を図るための法やきまりを扱うようにする。

 また,内容の(3)のイの(ア)における配慮事項を示したものである。ここでは,学習したことを基に,地域の人々が行っている火災予防,交通安全や防犯などに関わる活動の中から,地域社会の一員として自分たちにも協力できることを考えたり,自分自身の安全を守るために日頃から心掛けるべきことを選択・判断したりして,それらを基に話し合うことなどが大切である。

 例えば,火事を引き起こさない生活の仕方や事故を起こしたり事件に巻き込まれたりしない行動の仕方について討論したり,標語やポスターなどを作成したりすることなどが考えられる。

 
 
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