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(4) 市の様子の移り変わりについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 市や人々の生活の様子は,時間の経過に伴い,移り変わってきたことを理解すること。

(イ) 聞き取り調査をしたり地図などの資料で調べたりして,年表などにまとめること。

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 イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 交通や公共施設,土地利用や人口,生活の道具などの時期による違いに着目して,市や人々の生活の様子を捉え,それらの変化を考え,表現すること。

 この内容は,主として「歴史と人々の生活」に区分されるものであり,市の様子の移り変わりについての学習で身に付ける事項を示している。

 市の様子の移り変わりとは,自分たちの市において,交通や公共施設が整備されたり人口が増えたり,土地利用の様子が変わったりしてきたこと,それらに伴い市や人々の生活の様子が変化してきたことを指している。

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 市の様子の移り変わりに関する内容については,アの(ア)及び(イ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,
交通や公共施設,土地利用や人口,生活の道具などの時期による違いに着目して,聞き取り調査をしたり地図などの資料で調べたりして,年表などにまとめ,市や人々の生活の様子を捉え,それらの変化を考え,表現することを通して,
市や人々の生活の様子は,時間の経過に伴い,移り変わってきたことを理解
できるようにすることである。

 
 

 アは,「知識及び技能」に関わる事項である。

 アの(ア)は,知識に関わる事項である。

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 市や人々の生活の様子は,時間の経過に伴い,移り変わってきたことを理解することとは,

自分たちの市は,
昔から今に至る時間の経過に伴って,

駅や道路などの交通網が
整備されてきたこと,

公共施設などが建設されてきたこと,

土地利用の様子や人口が
変化してきたこと,

生活で使う道具などが
改良され変わってきたこと

などを基に,
市や人々の生活の様子の移り変わり
について理解することである。

 アの(イ)は,技能に関わる事項である。

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 聞き取り調査をしたり地図などの資料で調べたりして,年表などにまとめることとは,

市の様子の移り変わりについて,
博物館や資料館などの関係者や
地域の人
などへの聞き取り調査をしたり,
関係機関が作成した資料などで
調べたりして,
年表などにまとめることである。

 ここでは,

聞き取り調査で
必要な情報を集める技能,

地図や写真などの資料を見比べながら,
移り変わりなどの情報を
読み取る技能,

時期の区分や時間の経過に沿って,
調べたことを
年表などにまとめる技能

などを身に付けるようにすることが
大切である。

 
 

 イの(ア)は,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

 交通や公共施設,土地利用や人口,生活の道具などの時期による違いに着目して,市や人々の生活の様子を捉え,それらの変化を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,

市や人々の生活の様子について,
例えば,

鉄道や道路は
どのように整備されてきたか,

どのような公共施設が
建てられてきたか,

土地の使われ方や人口は
どのように変わってきたか,

生活の道具は
どのように変化してきたか

などの問いを設けて調べたり,
その変化の傾向を考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

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 交通の時期による違いに着目するとは,

市内の鉄道や主要な道路などが整備される前や整備された後の市の様子,及び現在の市の様子について調べることである。

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 公共施設の時期による違いに着目するとは,

自分たちの学校や中央図書館,公民館などの公共施設が建設された頃と現在の市の様子について調べることである。

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 土地利用の時期による違いに着目するとは,

大きな団地などの住宅開発や工業団地の建設など,大きく変わった市の土地利用の様子について調べることである。

 その際,例えば,昔は山林や農地が多かったが現在はその多くが住宅地などに変わっていることなど,市全体を見渡して違いを捉えるようにすることも大切である。

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 人口の時期による違いに着目するとは,

現在に至るまでに増加したり減少したりして変化してきた市の人口について調べることである。

 その際,市町村の合併による市の広がりなどに触れることも大切である。

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 生活の道具の時期による違いに着目するとは,

電化製品が普及する前と普及した後,及び現在の生活の中で使用している道具の使い方や生活の様子について調べることである。

 ここでは,炊事や洗濯など家事に使用する道具や明かりや暖をとる道具など生活の中で使われた道具を取り上げることが考えられる。

 このようにして調べたことを手掛かりに,市や人々の生活の様子を捉えることができるようにする。

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 それら(市や人々の様子)の変化を考え,表現することとは,例えば,

駅や鉄道,公共施設ができたこと,
人口が変化してきたこと,
土地利用の様子や生活の道具が
変わったこと

などを相互に関連付けたり,

市の様子の変化と
人々の生活の様子の変化
を結び付けたりして,

都市化や過疎化,
少子高齢化など
市全体の変化の傾向を考え,
文章で記述したり,
年表などにまとめたことを基に
話し合ったりすることである。

 実際の指導に当たっては,市町村合併の時期,交通の整備や公共施設の建設,人口の増減などの視点から市の様子が大きく変わった幾つかの時期に着目して,その頃の様子を調べる活動や,現在と比較して年表などにまとめる活動などが考えられる。

 その際,内容の(1)の「身近な地域や市の様子」の学習において作成した地図などを活用することなどが考えられる。

 
 

(内容の取扱い)

(4) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア アの(イ)の「年表などにまとめる」際には,時期の区分について,昭和,平成など元号を用いた言い表し方などがあることを取り上げること。

イ イの(ア)の「公共施設」については,市が公共施設の整備を進めてきたことを取り上げること。その際,租税の役割に触れること。

ウ イの(ア)の「人口」を取り上げる際には,少子高齢化,国際化などに触れ,これからの市の発展について考えることができるよう配慮すること。

 内容の取扱いの(4)のアは,内容の(4)のアのイの指導において,「年表などにまとめる」際に,取り上げるべき事項について示したものである。

 ここでは,市の様子の移り変わりについて指導する際に,時期の区分について,昭和,平成などの元号を取り上げるようにする。

 また,明治,大正などの元号や江戸時代などの言い表し方があることを取り上げることも考えられる。

 年表に元号などを位置付けて,市の様子の移り変わりを年代順に整理できるようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(4)のイは,内容の(4)のイの(ア)において,「公共施設」を取り上げる際の留意事項を示したものである。

 公共施設については,学校,図書館,公民館,資料館などが考えられる。その際,内容の(1)において取り上げた公共施設との関連を図り,公共施設の建設や運営には市役所が関わってきたことや,その建設や運営には租税が重要な役割を果たしていることに触れるようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(4)のウは,内容の(4)のイの(ア)において,「人口」を取り上げる際の留意事項を示したものである。

 人口を取り上げる際には,表や棒グラフを活用するなど,増減の傾向を大まかに捉えるようにすることが大切である。

 その際,市によっては,少子化や高齢化が進んでいることや外国人居住者が増え国際化が進んでいることなどに触れることも大切である。

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 また,市役所などが作成している資料などを基に,これからの市の発展に関心をもち,市が将来どのようになってほしいか,そのためには市民としてどのように行動していけばよいかなど,市の将来について考えたり討論したりすることができるよう指導することが大切である。

 
 

 第3学年の内容においては,
内容の(1)から(4)の学習を通して,

社会的事象について,
学習問題を
主体的に解決しようとする態度や,

よりよい社会を考え学習したことを
社会生活に生かそうとする態度

を養うとともに,

思考や理解を通して,

地域社会に対する誇りと愛情,

地域社会の一員としての自覚

を養うようにすること

が大切である。

 
 
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