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(2) 人々の健康や生活環境を支える事業について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 飲料水,電気,ガスを供給する事業は,安全で安定的に供給できるよう進められていることや,地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解すること。

(イ) 廃棄物を処理する事業は,衛生的な処理や資源の有効利用ができるよう進められていることや,生活環境の維持と向上に役立っていることを理解すること。

(ウ) 見学・調査したり地図などの資料で調べたりして,まとめること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 供給の仕組みや経路,県内外の人々の協力などに着目して,飲料水,電気,ガスの供給のための事業の様子を捉え,それらの事業が果たす役割を考え,表現すること。

(イ) 処理の仕組みや再利用,県内外の人々の協力などに着目して,廃棄物の処理のための事業の様子を捉え,その事業が果たす役割を考え,表現すること。

 この内容は,主として「現代社会の仕組みや働きと人々の生活」に区分されるものであり,人々の健康や生活環境を支える事業についての学習で身に付ける事項を示している。

 人々の健康や生活環境を支える事業とは,飲料水,電気,ガスを供給する事業と廃棄物を処理する事業を指している。

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 ここでは,飲料水,電気,ガスを供給する事業に関する内容と廃棄物を処理する事業に関する内容から構成されている。

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 飲料水,電気,ガスを供給する事業に関する内容については,アの(ア)及び(ウ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,

供給の仕組みや経路,
県内外の人々の協力
などに着目して,
見学・調査したり
地図などの資料で調べたりして,
まとめ,
飲料水,電気,ガスの供給のための事業
の様子を捉え,
それらの事業が果たす役割を
考え,表現することを通して,
飲料水,電気,ガスを供給する事業は,
安全で安定的に供給できるよう
進められていることや,
地域の人々の健康な生活の維持と向上
に役立っていることを理解
できるようにすることである。

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 廃棄物の処理に関する内容については,アの(イ)及び(ウ)とイの(イ)を関連付けて指導する。

 例えば,

処理の仕組みや再利用,
県内外の人々の協力
などに着目して,
見学・調査したり
地図などの資料で調べたりして,
まとめ,
廃棄物の処理のための事業の様子
を捉え,
その事業が果たす役割を
考え,表現することを通して,
廃棄物を処理する事業は,
衛生的な処理や資源の有効利用
ができるよう進められていることや,
生活環境の維持と向上に
役立っていることを理解

できるようにすることである。

 
 

アは,「知識及び技能」に関わる事項である。

 アの(ア)及び(イ)は,知識に関わる事項である。

 アの(ア)の飲料水,電気,ガスを供給する事業は,安全で安定的に供給できるよう進められていることを理解することとは,

飲料水,電気,ガスを供給する事業は,

人々が安心して
それらを使うことができるよう
様々な面で安全確保に努めていること,

必要な量をいつでも使えるよう
確保に努めていること,

関係機関が相互に連携したり
県内外の人々と協力したりして
安定的に供給できるように
進められていること

などを基に,
飲料水,電気,ガスを供給する事業
について理解することである。

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 また,

(飲料水,電気,ガスを供給する事業は,)地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていることを理解することとは,

地域の人々の日常生活において,
大量の飲料水,電気,ガスが
使用されていること,

飲料水,電気,ガスを供給する事業
においては,
現在に至るまでに
安全かつ安定的に供給する仕組み
がつくられ,
計画的に改善されてきたことや,

その結果,
地域の公衆衛生が向上し,
健康な生活が維持・向上してきたこと

などを基に,
飲料水,電気,ガスを供給する事業
について理解することである。

 アの(イ)の廃棄物を処理する事業は,衛生的な処理や資源の有効利用ができるよう進められていることを理解することとは,

ごみや下水などの廃棄物を
処理する事業は,
地域の生活環境に配慮しながら
廃棄物を安全かつ衛生的に処理
していることや,

県内外の関係機関が
相互に連携して
処理したり再利用したりしていること

などを基に,
廃棄物を処理する事業について
理解することである。

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 また,

(廃棄物を処理する事業は,)生活環境の維持と向上に役立っていることを理解することとは,

地域の人々の日常生活において,
大量で多様な廃棄物が
排出されていることや,

廃棄物を処理する事業においては,
現在に至るまでに
衛生的に処理する仕組みがつくられ
計画的に改善されてきたこと,

その結果,
地域の公衆衛生が向上し,
人々の生活環境が
維持・向上してきたこと

などを基に,
廃棄物を処理する事業について
理解することである。

 アの(ウ)は,技能に関わる事項である。

 見学・調査したり地図などの資料で調べたりして,まとめることとは,

人々の健康や生活環境を支える事業
について,
関連する施設や事業所を見学したり,
地図や関係機関が作成した資料など
で調べたりして,
県の白地図や図表などに
まとめることである。

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 ここでは,

見学・調査して
必要な情報を集める技能,

関係機関相互の協力関係などを
読み取る技能,

調べたことを図表などにまとめる技能

などを身に付けるようにする
ことが大切である。

 
 
 イは,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

 イのアの供給の仕組みや経路,県内外の人々の協力などに着目して,飲料水,電気,ガスの供給のための事業の様子を捉え,それらの事業が果たす役割を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,

飲料水,電気,ガスの供給のための事業
の様子について,

例えば,

どのような仕組みで作られているか,

どのような経路を通って送られて来るか,

どのような関係機関や人々の協力
の基に成り立っているか

などの問いを設けて調べたり,

それらの事業と人々の生活を
関連付けて考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

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 供給の仕組みや経路に着目するとは,

飲料水,電気,ガスの確保に向けた取組や,飲料水,電気,ガスが自分たちの地域に届けられる仕組みや経路について調べることである。

 飲料水の供給については,水源林の確保,ダムや貯水池,浄水場での高度な技術を活用した浄水処理や給水の仕組みなどを調べることである。

 電気の供給については,火力,水力,原子力などの発電所,燃料や水資源の確保,発電所から消費地までの送電,必要な量の電気の確保などの様子を調べることである。

 その際,火力発電所や原子力発電所については,環境や安全に配慮して発電していることについても調べる必要がある。

 ガスの供給については,原料の液化天然ガスなどを外国から輸入していること,液化天然ガスの製造基地,都市ガスとしての供給,安全の確保などの様子を調べることである。

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 県内外の人々の協力に着目するとは,

飲料水,電気,ガスの供給に関係する施設や事業所などの建設に関わる県内外の人々,節水(節電や省エネ)などに関わる県内の人々の連携や協力について調べることである。

 なお,電気を取り上げる場合には,電力を大量に消費する大都市圏に住む人々の生活は,消費地から離れた県などにある発電所から電力の供給を受けることで成り立っていることに触れるようにする。

 その際,先の東日本大震災において原子力発電所で大きな事故が発生したことに伴って生じ,現在なお直面している多くの困難を踏まえ,当該地域やその住民,一時避難者に十分配慮して指導することが必要である。

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 このようにして調べたことを手掛かりに,飲料水,電気,ガスの供給のための事業の様子を捉えることができるようにする。

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 それらの事業が果たす役割を考え,表現することとは,例えば,

飲料水,電気,ガスの供給のための事業
に見られる仕組みや
人々の協力関係と
地域の人々の健康や生活環境
を関連付けて,

それらの事業が果たす役割を考え,

文章で記述したり,

白地図や図表などにまとめたこと
を基に話し合ったりすることである。

 イの(イ)の処理の仕組みや再利用,県内外の人々の協力などに着目して,廃棄物の処理のための事業の様子を捉え,その事業が果たす役割を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,

廃棄物の処理のための事業
の様子について,例えば,

廃棄物をどのように集め処理しているか,

再利用にはどのような方法があるか,

どのような関係機関や人々の協力
の基に成り立っているか

などの問いを設けて調べたり,

その事業と
人々の健康や生活環境を
関連付けて考えたりして,
調べたことや考えたことを
表現することである。

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 処理の仕組みに着目するとは,

ごみや下水などの廃棄物を処理したり処分したりする仕組みについて調べることである。

 再利用に着目するとは,

廃棄物が資源として再利用されていることについて調べることである。

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 ごみの処理については,
資源の分別収集や再利用,
再生された製品の有効利用,
焼却時の熱を利用した施設
などを調べることである。

 下水の処理については,
下水を処理した再生水や雨水
の有効利用の取組
などを調べることである。

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 県内外の人々の協力に着目するとは,

廃棄物の処理に関係する施設や事業所,ごみ処理場や下水処理場などの建設に関わる県内外の人々,ごみ資源のリサイクルや水の再利用などに関わる人々などの連携や協力について調べることである。

 このようにして調べたことを手掛かりに,廃棄物の処理のための事業の様子を捉えることができるようにする。

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 その事業が果たす役割を考え,表現することとは,例えば,

ごみや下水などの廃棄物を
処理する仕組みや
人々の協力関係と
地域の良好な生活環境を関連付けて,

廃棄物を処理する事業の役割を
考え,
文章で記述したり,
白地図や図表などにまとめたこと
を基に話し合ったりすることである。

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 実際の指導に当たっては,学校など身近な生活や社会における飲料水の使われ方や使用量,学校,商店などから出される廃棄物の種類や量などを調べることが考えられる。

 なお,各家庭における状況を調べる場合には,個人のプライバシーに十分配慮することが大切である。

 
 

(内容の取扱い)

(1) 内容の(2)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア アの(ア)及び(イ)については,現在に至るまでに仕組みが計画的に改善され公衆衛生が向上してきたことに触れること。

イ アの(ア)及びイの(ア)については,飲料水,電気,ガスの中から選択して取り上げること。

ウ アの(イ)及びイの(イ)については,ごみ,下水のいずれかを選択して取り上げること。

エ イの(ア)については,節水や節電など自分たちにできることを考えたり選択・判断したりできるよう配慮すること。

オ イの(イ)については,社会生活を営む上で大切な法やきまりについて扱うとともに,ごみの減量や水を汚さない工夫など,自分たちにできることを考えたり選択・判断したりできるよう配慮すること。

 内容の取扱いの(1)のアは,内容の(2)のアの(ア)及び(イ)について指導する際の配慮事項を示したものである。

 内容の(2)のアの(ア)の「地域の人々の健康な生活の維持と向上に役立っていること」やアの(イ)の「生活環境の維持と向上に役立っていること」を理解できるようにする際に,供給や処理の仕組みが過去から現在に至るまでに計画的に改善され,公衆衛生が向上してきたことに触れるようにすることを示したものである。

 ここでは,例えば,川の水や井戸水をそのまま飲んでいたこと,かまどやランプを使って生活していたこと,下水を十分に処理しないまま川や海などに流したり,ごみをそのまま埋めたり燃やしたりしていたことなどに触れ,その後,上水の仕組み,ごみや下水の処理の仕組みなどが計画的に改善されてきたことにより,公衆衛生が向上し,環境に与える負荷が軽減してきたことに気付くようにすることなどが考えられる。

 内容の取扱いの(1)のイは,内容の(2)のアの(ア)及びイの(ア)の指導において,取り上げる対象の範囲を示したものである。

 ここでは,「飲料水,電気,ガス」の中から一つを選択して取り上げることが考えられる。

 その際,地域の実態に応じて,見学を取り入れたり関係機関が作成した資料などを活用したりして,具体的に調べることができるようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(1)のウは,内容の(2)のアの(イ)及びイの(イ)の指導において,取り上げる対象の範囲について示したものである。

 ここでは,「ごみ,下水」のいずれかを選択して取り上げることが考えられる。

 その際,地域の実態に応じて,見学を取り入れたり関係機関が作成した資料などを活用したりして,具体的に調べることができるようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(1)のエは,内容の(2)のイの(ア)について指導する際の配慮事項について示したものである。

 ここでは,学習したことを基に,水,電気,ガスを大切な資源として捉え,節水や節電,省エネなどに向けて,自分たちが協力できることなどを考えたり選択・判断したりするなど,資源の有効利用に関心を高めるよう配慮することが大切である。

 その際,市などが行っている節水や節電の呼びかけ,家庭や学校,事業所などでの節水や節電の取組,太陽エネルギー利用の取組などを取り上げ,飲料水や電気,ガスなどの使い方を見直し有効に利用することが大切であることに気付くようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(1)のオは,内容の(2)のイの(イ)の指導において,地域の人々の健康や生活環境を守る上で大切な法やきまりについて扱うようにすることを示したものである。

 ここでは,例えば,ごみの処理,下水の処理に関わって,ごみの出し方や生活排水の処理,資源の再利用などに関する法やきまりを取り上げるなど,地域の人々の健康な生活や良好な生活環境の維持と向上を図るための法やきまりを扱うようにする。

 また,内容の(2)のイの(イ)について指導する際の配慮事項について示したものである。

 ここでは,学習したことを基に,ごみを減らしたり水を汚したりしないために自分たちが協力できることを考えたり選択・判断したりして,人々の生活環境の保全に関心を高めるよう配慮することが大切である。

 その際,地域におけるごみの減量や資源としての再利用,水を汚さない取組などを取り上げるなどして,自らも廃棄物の適切な処理や再利用に協力しようとする態度を養うように配慮することが大切である。

 
 
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