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(5) 県内の特色ある地域の様子について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 県内の特色ある地域では,人々が協力し,特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解すること。

(イ)地図帳や各種の資料で調べ,白地図などにまとめること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 特色ある地域の位置や自然環境,人々の活動や産業の歴史的背景,人々の協力関係などに着目して,地域の様子を捉え,それらの特色を考え,表現すること。

 この内容は,主として「地理的環境と人々の生活」に区分されるものであり,県内の特色ある地域の様子についての学習で身に付ける事項を示している。

 県内の特色ある地域の様子とは,地理的環境などの特色を生かしてまちづくりや産業の発展に努めている県内の特色ある地域の様子を指している。

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 県内の特色ある地域の様子に関する内容については,アの(ア)及び(イ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,

特色ある地域の
位置や自然環境,
人々の活動や
産業の歴史的背景,
人々の協力関係
などに着目して,

地図帳や各種の資料で調べ,
白地図などにまとめることを通して,

県内の特色ある地域では,
人々が協力し,
特色あるまちづくりや
観光などの産業の発展
に努めていることを
理解
できるようにすることである。

 
 

 アは,「知識及び技能」に関わる事項である。

 アの(ア)は,知識に関わる事項である。

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 県内の特色ある地域では,人々が協力し,特色あるまちづくりや観光などの産業の発展に努めていることを理解することとは,

県内には,
地場産業が盛んな地域や
国際交流に取り組んでいる地域,
自然環境や伝統的な文化を
保護・活用している地域など
特色ある地域があること,

それらの地域では,
特色あるまちづくりを進めたり,
県や市,地域住民など
様々な組織や機関,人々の協力により,
観光などの産業を
発展させたりしていること

などを基に,
県内の特色ある地域の様子について
理解することである。

 アの(イ)は,技能に関わる事項である。

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 地図帳や各種の資料で調べ,白地図などにまとめることとは,

県内の特色ある地域の様子について,
地図帳やコンピュータなどを使って
調べたり,

県庁や市役所などが作成した資料で
特色ある地域の
位置や自然環境,
人々の活動や産業
などを調べたりして,

県の白地図などにまとめることである。

 

ここでは,

地図帳を用いたり
コンピュータなどを使ったりして
必要な情報を集める技能,

地図や写真などの資料を見比べながら,
地域ごとの情報を読み取る技能,

調べたことを白地図などにまとめる技能

などを身に付ける
ようにすることが大切である。

 
 

 イの(ア)は,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

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 特色ある地域の位置や自然環境,人々の活動や産業の歴史的背景,人々の協力関係などに着目して,地域の様子を捉え,それらの特色を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
特色ある地域の様子について,
例えば,

どこにどのような特色ある地域があるか,

その地域は
どのような自然環境のところか,

その活動や産業は
どのような経緯で始まったか,

人々はどのように協力しているか

などの問いを設けて調べたり,
その地域の特色を考えたりして,
調べたことや考えたことを
表現することである。

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 特色ある地域の位置に着目するとは,

特色ある地域の県内における位置や周囲の地域との位置関係について調べることである。

 

 自然環境に着目するとは,

特色ある地域の地形や気候について調べることである。

 

 人々の活動や産業の歴史的背景に着目するとは,

特色ある地域の人々の活動や産業のおこりや成り立ちについて調べることである。

 

 人々の協力関係に着目するとは,

県や市,地域住民,産業に携わる人など,様々な立場の人々の協力関係について調べることである。

 このようにして調べたことを手掛かりに,県内の特色ある地域の様子を捉えることができるようにする。

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 それら(県内の地域)の特色を考え,表現するとは,例えば,

特色ある地域の人々の活動や産業と
それらの地域の発展を
関連付けたり,
自分たちの住む地域と
比較したりして,

その地域の特色を
考え,文章で記述したり,
白地図や年表などにまとめたことを
基に説明したりすることである。

 実際の指導に当たっては,

まず,
県全体における特色ある地域の
位置や
自分たちの市との位置関係
などを捉え,

その上で,
特色ある地域の様子について調べ,
それらを県の白地図に整理する
ことなどが考えられる。

 
 

(内容の取扱い)

(4) 内容の(5)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア 県内の特色ある地域が大まかに分かるようにするとともに,伝統的な技術を生かした地場産業が盛んな地域,国際交流に取り組んでいる地域及び地域の資源を保護・活用している地域を取り上げること。

 その際,地域の資源を保護・活用している地域については,自然環境,伝統的な文化のいずれかを選択して取り上げること。

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イ 国際交流に取り組んでいる地域を取り上げる際には,我が国や外国には国旗があることを理解し,それを尊重する態度を養うよう配慮すること。

 内容の取扱いの(4)のアは,内容の(5)の指導において,「県内の特色ある地域」を取り上げる際の対象の範囲と地域を選択する際の配慮事項を示したものである。

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 ここでは,選択する県内の地域として,「伝統的な技術を生かした地場産業が盛んな地域,国際交流に取り組んでいる地域,及び地域の資源を保護・活用している地域」の中から三つ程度を特色ある地域として取り上げる。

 その際,地域の資源を保護・活用している地域としては,自然環境あるいは伝統的な文化を保護・活用している地域が考えられ,そのいずれかを選択して取り上げる。

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 「伝統的な技術を生かした地場産業が盛んな地域」とは,県内で古くから伝わっている技術や技法を受け継いで行われている伝統的な工業や,古くから地域の特性を生かして独自の製品をつくっている産業など,地域に密着した地場産業の盛んな地域を指している。

 伝統的な技術を生かした工業には,例えば,陶磁器,塗り物,織物,和紙,人形,筆など,現在にも優れた技術が継承されているものが考えられ,それらの盛んな地域を取り上げることになる。

 ここでは,その地域の位置のほか,自然環境や産業の歴史的背景に着目して調べるようにする。

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 「国際交流に取り組んでいる地域」とは,姉妹都市提携などを結び外国の都市と様々な交流を行っている地域や,国際都市を目指して市内で外国との交流活動を盛んに行っている地域などを指している。

 ここでは,その地域の位置のほか,活動の歴史的背景や人々の協力関係に着目して調べるようにする。

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 「地域の資源を保護・活用している地域」とは,人々に様々な恵みをもたらしている自然の風景や歴史的景観,文化財や年中行事,その土地の特性を生かした産物などを地域の資源として保護・活用している地域を指している。

 例えば,渓谷や森林,高原や湿原,河川や海辺などの豊かな自然を守りながら,あるいは,歴史ある建造物やまち並み,祭りなどの地域の伝統的な文化を受け継ぎながら,それを保護・活用している地域が考えられる。

 また,世界遺産に登録されている地域や文化庁により日本遺産に認定されている地域などを取り上げることも考えられる。

 自然環境を保護・活用している地域を取り上げる際には,その地域の位置のほか,自然環境や産業の歴史的背景,人々の協力関係に着目して調べるようにする。

 また,伝統的な文化を保護・活用している地域を取り上げる際には,その地域の位置のほか,活動の歴史的背景,人々の協力関係に着目して調べるようにする。

 なお,伝統的な文化を保護・活用している地域を取り上げる際には,内容(4)の文化財や行事を保護・継承している人々の努力を取り上げる「県内の伝統や文化」の学習との違いに配慮する必要がある。

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 また,特色ある地域を選定する際には,広く県内から地域を選択し,自分たちの住んでいる市と比較しながら,それらの地域の特色を捉えることができるよう配慮する必要がある。

 内容の取扱いの(4)のイは,国際交流に取り組んでいる地域において,外国を取り上げる際,我が国や外国には国旗があることを理解し,それを尊重する態度を育てようとすることを示したものである。

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 ここでは,我が国や外国には国旗があること,いずれの国でも国旗を大切にしていること,及び,我が国の国旗を尊重するとともに,外国の国旗を尊重することが大切であることなどを指導することが大切である。

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 その際,取り上げた外国の名称と位置,国旗を地図帳などで確認することなどを通して指導するように配慮する必要がある。

 
 

 第4学年においては,
内容の(1)から(5)の学習を通して,

社会的事象について,

学習問題を
主体的に解決しようとする態度や,

よりよい社会を考え
学習したことを
社会生活に生かそうとする態度

を養うとともに,

思考や理解を通して,

地域社会に対する誇りと愛情,

地域社会の一員としての自覚

を養うようにすること

が大切である。

 
 
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