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(4) 我が国の産業と情報との関わりについて,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 放送,新聞などの産業は,国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解すること。

(イ) 大量の情報や情報通信技術の活用は,様々な産業を発展させ,国民生活を向上させていることを理解すること。

(ウ) 聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして,まとめること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 情報を集め発信するまでの工夫や努力などに着目して,放送,新聞などの産業の様子を捉え,それらの産業が国民生活に果たす役割を考え,表現すること。

(イ) 情報の種類,情報の活用の仕方などに着目して,産業における情報活用の現状を捉え,情報を生かして発展する産業が国民生活に果たす役割を考え,表現すること

 この内容は,主として「現代社会の仕組みや働きと人々の生活」に区分されるものであり,我が国の産業と情報との関わりについての学習で身に付ける事項を示している。

 我が国の産業と情報との関わりとは,放送,新聞などの産業が多種多様な情報を収集・選択・加工して提供していることや,販売,運輸,観光,医療,福祉などに関わる産業が,販売情報や交通情報等の大量の情報やインターネットなどで情報を瞬時に伝える情報通信技術などを活用していることを指している。

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 ここでは,放送,新聞などの産業に関する内容と情報や情報通信技術を活用する産業に関する内容から構成されている。

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 放送や新聞などの産業に関する内容については,アの(ア)及び(ウ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,

情報を集め発信するまでの工夫や努力などに着目して,聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして,まとめ,放送,新聞などの産業の様子を捉え,それらの産業が国民生活に果たす役割を考え,表現することを通して,
放送,新聞などの産業は,国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解
できるようにすることである。

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 また,情報や情報通信技術を活用する産業に関する内容については,アの(イ)及び(ウ)とイの(イ)を関連付けて指導する。

 例えば,

情報の種類,情報の活用の仕方などに着目して,聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして,まとめ,産業における情報活用の現状を捉え,情報を生かして発展する産業が国民生活に果たす役割を考え,表現することを通して,
大量の情報や情報通信技術の活用は,様々な産業を発展させ,国民生活を向上させていることを理解
できるようにすることである。

 
 

 アは,「知識及び技能」に関わる事項である。

 アの(ア)及び(イ)は,知識に関わる事項である。

 アの(ア)の放送,新聞などの産業は,国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解することとは,

放送,新聞などの産業は,

国民に正確な情報を
分かりやすく速く伝えるために
多種多様な情報を収集し,
選択・加工していること,

社会の出来事を
より多くの国民に伝えるために
インターネットなど
様々な情報媒体を活用していること,

国民は
放送や新聞,インターネットなどの
様々な情報媒体から
必要な情報を収集していること

などを基に,
放送,新聞などの産業の役割
について理解することである。

 アの(イ)の大量の情報や情報通信技術の活用は,様々な産業を発展させ,国民生活を向上させていることを理解することとは,

多様で大量の情報を
情報通信技術で
瞬時に収集・発信し,
それらを活用することで
産業が変化し発展していること,

国民が
コンピュータや携帯電話などの
情報通信機器を利用することにより,
いつでも,どこでも
様々なサービスを享受でき,
生活が向上していること

などを基に,
情報や情報通信技術を活用する産業
の役割について
理解することである。

 その際,

高度に情報化した社会においては,
自他の個人情報の保護や適切な扱いが
必要であること

などに触れることが大切である。

 アの(ウ)は,技能に関わる事項である。

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 聞き取り調査をしたり映像や新聞などの各種資料で調べたりして,まとめることとは,

我が国の産業と情報との関わり
について,
放送局や新聞社,
情報を生かして発展している産業
に従事している人
への聞き取り調査をしたり,

ニュース番組の映像や新聞記事など
の各種の資料,
コンピュータ
などを使って調べたりして,
図表などにまとめることである。

 ここでは,

聞き取り調査をしたり
コンピュータなどを使ったりして
適切に情報を集める技能,

映像や新聞などの資料から
適切に情報を読み取る技能,

情報活用の様子などを
図表などにまとめる技能

などを身に付けるようにすること,

またその際,
情報の出典を確認したり,
複数の情報を比較したりして,
情報の確かさや送り手の意図を
確認できるようにすること

が大切である。

 
 
 イは,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

 イの(ア)の情報を集め発信するまでの工夫や努力などに着目して,放送,新聞などの産業の様子を捉え,それらの産業が国民生活に果たす役割を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
放送,新聞などの産業の様子について,
例えば,

情報をどのように集めているか,

どのように選択・加工・整理して
国民に伝えているか

などの問いを設けて調べたり,

発信された情報と国民生活を
関連付けて考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

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 情報を集め発信するまでの工夫や努力に着目するとは,

ニュースや天気情報,交通情報など
多くの情報を収集し,

意図をもって,
分かりやすく伝えるよう
編集・加工し,

テレビやラジオ,新聞,
インターネットなどの
情報媒体を通して

広く国民に伝えている
放送局や新聞社
などに従事する人々の
工夫や努力について
調べることである。

 このようにして調べたことを手掛かりに,放送,新聞などの産業の様子を捉えることができるようにする。

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 それら(放送,新聞など)の産業が国民生活に果たす役割を考え,表現するとは,

例えば,

放送局や新聞社などから
発信される情報と
自分たちの生活を関連付けて,

放送や新聞などの産業が
国民生活に果たす役割
を考え,
文章で記述したり,
根拠や理由を明確にして
議論したりすることである。

 イのイの情報の種類,情報の活用の仕方などに着目して,産業における情報活用の現状を捉え,情報を生かして発展する産業が国民生活に果たす役割を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
産業における情報活用の現状について,
例えば,

その産業では
どのような情報を集めているか,

情報をどのように活用しているか

などの問いを設けて調べたり,

情報を活用した産業の変化や発展と
国民生活を
関連付けて考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

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 情報の種類に着目するとは,

販売情報,気象情報,交通情報など産業が活用している情報の種類について調べることである。

 情報の活用の仕方に着目するとは,

産業が情報を集める際の対象,情報活用の目的や方法,情報を活用する場面について調べることである。

 このようにして調べたことを手掛かりに,産業における情報活用の現状を捉えることである。

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 情報を生かして発展する産業が国民生活に果たす役割を考え,表現するとは,

例えば,

情報を活用した産業の変化や発展と
人々の生活の利便性の向上
を関連付けて,

情報を生かして発展する産業が
国民生活に果たす役割

を考え,
文章で記述したり,
根拠や理由を明確にして
議論したりすることである。

 実際の指導に当たっては,

放送,新聞などの産業については,
自分たちが日頃から
様々な情報手段を活用している事実
を調べる活動
などが考えられる。


 また,
情報を活用して発展している産業
については,

情報活用が
十分に行われていなかった頃の状況と
現在の状況を比較して,

情報の生かし方の工夫や
国民の利便性の向上
などを図表にまとめる活動
などが考えられる。

 
 

(内容の取扱い)

(4) 内容の(4)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア アの(ア)の「放送,新聞などの産業」については,それらの中から選択して取り上げること。

 その際,情報を有効に活用することについて,情報の送り手と受け手の立場から多角的に考え,受け手として正しく判断することや送り手として責任をもつことが大切であることに気付くようにすること。

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イ アの(イ)及びイの(イ)については,情報や情報技術を活用して発展している販売,運輸,観光,医療,福祉などに関わる産業の中から選択して取り上げること。

 その際,産業と国民の立場から多角的に考えて,情報化の進展に伴う産業の発展や国民生活の向上について,自分の考えをまとめることができるよう配慮すること。

 内容の取扱いの(4)のアは,内容の(4)アの(ア)及びイの(ア)の指導において,取り上げる対象の範囲について示したものである。

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 ここでは,「放送,新聞などの産業」の中から一つを選択して取り上げ,その産業のもつ働き,国民生活との関わりについて具体的に調べられるようにする。

 事例の選択に当たっては,地域の実態や児童の興味・関心,教材の収集状況などから判断するようにする。

 放送については,テレビやラジオなどの放送局で働く人々は国民に多様な情報を伝えるため様々な番組を制作していること,情報を分かりやすく伝えるため映像や音声を編集していることを取り上げることが考えられる。

 新聞については,新聞社で働く人々は国民に正確な情報を伝えるために取材をしていること,情報を分かりやすく伝えるために記事を選択・加工したり編集したりしていることを取り上げることが考えられる。

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 また,情報は放送,新聞などの産業が目的をもって発信していること,情報媒体にはそれぞれ伝え方・伝わり方に特徴があること,情報の中には不確かなものや誤ったものもあることなどを踏まえ,情報の受け手として,確かな情報を収集・選択し,様々な観点から比較して適切に判断することの大切さに気付くようにする。

 なお,不確かな情報や誤った情報が広がることによって,風評被害などが生じ,関係者の人権等が著しく侵害されることがあることにも触れるようにする。

 内容の取扱いの(4)のイは,内容の(4)アの(イ)及びイの(イ)の指導において,取り上げる対象の範囲について示したものである。

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 ここでは,「様々な産業」について,「販売,運輸,観光,医療,福祉など」情報を活用して発展している産業の中から選択して取り上げることが考えられる。

 取り上げる事例としては,例えば,販売情報を収集・分析して商品の入荷量や販売量を予測したり,インターネット上で商品の管理を行ったりしている販売業,交通や位置,気象などの情報を活用したり,倉庫を運営する産業と連携して迅速かつ効率的な輸送に努めたりしている運輸業,魅力ある地域の観光資源について情報を発信して地域の活性化に努めている観光業,様々な機関と連携したり離れた地域間で情報を共有したりすることによりサービスの向上に努めている医療や福祉などの産業が考えられる。

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 事例の選択に当たっては,情報を活用して産業におけるサービスを向上させたり,販売業と運輸業などが結び付いて物流を構成するなど複数の産業が相互に結び付くことで新たなサービスを提供したりして,国民生活の利便性を大きく向上させている例など,国民の身近な生活を支えている事例を取り上げることが考えられる。

 その際,情報通信機器の操作方法や情報通信の仕組みに深入りすることがないように,児童の発達の段階を考慮して指導することが大切である。

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 また,学習したことを基に,大量の情報を活用して産業をより一層発展させることや,それにより国民生活の利便性が向上すること,国民は適切な情報を見極める必要があることなど情報活用の在り方を多角的に考えて,情報化社会のよさや課題について自分の考えをまとめることができるよう指導することが大切である。

 
 
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