cosnavi.jp

(3) グローバル化する世界と日本の役割について,学習の問題を追究・解決する活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活は,多様であることを理解するとともに,スポーツや文化などを通して他国と交流し,異なる文化や習慣を尊重し合うことが大切であることを理解すること。

(イ) 我が国は,平和な世界の実現のために国際連合の一員として重要な役割を果たしたり,諸外国の発展のために援助や協力を行ったりしていることを理解すること。

(ウ) 地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,まとめること。

--------------------------------

イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 外国の人々の生活の様子などに着目して,日本の文化や習慣との違いを捉え,国際交流の果たす役割を考え,表現すること。

(イ) 地球規模で発生している課題の解決に向けた連携・協力などに着目して,国際連合の働きや我が国の国際協力の様子を捉え,国際社会において我が国が果たしている役割を考え,表現すること。

 この内容は,主として「現代社会の仕組みや働きと人々の生活」に区分されるものであり,グローバル化する世界と日本の役割についての学習で身に付ける事項を示している。

 グローバル化する世界と日本の役割とは,世界の国の人々と相互に理解を深め合い,平和な国際社会の実現を目指して,我が国がグローバル化する国際社会の中で果たしている重要な役割を指している。

--------------------------------

 そのためこの内容は,我が国とつながりの深い国の人々の生活に関する内容と国際連合の働きや我が国の国際協力に関する内容から構成されている。

 我が国とつながりの深い国の人々の生活に関する内容については,アの(ア)及び(ウ)とイの(ア)を関連付けて指導する。

 例えば,

外国の人々の生活の様子など
に着目して,
地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,
まとめ,
日本の文化や習慣との違いを捉え,
国際交流の果たす役割を考え,
表現すること

を通して,

我が国と経済や文化などの面で
つながりが深い国
の人々の生活は
多様であること
を理解するとともに,

スポーツや文化などを通して
他国と交流し,
異なる文化や習慣を尊重し合うこと
が大切であることを
理解
できるようにすることである。

--------------------------------

 また,国際連合の働きや我が国の国際協力に関する内容については,アの(イ)及び(ウ)とイの(イ)を関連付けて指導する。

 例えば,

地球規模で発生している課題や
世界の国々が抱えている課題,
それらの解決に向けた連携・協力
などに着目して,

地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,
まとめ,

国際連合の働きや
我が国の国際協力
の様子を捉え,

国際社会において
我が国が果たしている役割を考え,
表現すること

を通して,

我が国は,

平和な世界の実現のために
国際連合の一員として
重要な役割を果たしたり,

諸外国の発展のために
援助や協力を行ったりしていること

を理解できるようにすることである。

 
 
 アは,「知識及び技能」に関わる事項である。
 アの(ア)及び(イ)は,知識に関わる事項である。

 アの(ア)の我が国と経済や文化などの面でつながりが深い国の人々の生活は多様であることを理解することとは,

外国の文化や習慣を背景とした人々の生活の様子には違いがあること,その違いがその国の文化や習慣を特徴付けていることなどを基に,世界の人々の生活は多様であることについて理解することである。

--------------------------------

 また,スポーツや文化などを通して他国と交流し,異なる文化や習慣を尊重し合うことが大切であることを理解することとは,

オリンピック・パラリンピックをはじめとした国際的なスポーツ交流,様々な文化を通した国際交流が行われていることなどを基に,異なる文化や習慣を尊重し合うことの大切さについて理解することである。

 アの(イ)の我が国は,平和な世界の実現のために国際連合の一員として重要な役割を果たしたり,諸外国の発展のために援助や協力を行ったりしていることを理解することとは,

国際連合は,
平和な国際社会の実現のための
大きな役割を果たしていること,

我が国は,
国際連合の一員として
ユニセフやユネスコの活動に
協力していることなど,
平和な国際社会の実現のために
大きな役割を果たしていることや,

我が国が
教育や医学,農業などの分野で
諸外国の発展に貢献していること,

今後も国際社会の平和と発展のために
果たさなければならない
責任と義務があること

などを基に,
グローバル化する国際社会における
我が国の役割について
理解することである。

 アの(ウ)は,技能に関わる事項である。

--------------------------------

 地図帳や地球儀,各種の資料で調べ,まとめることとは,

グローバル化する世界と日本の役割
について,

地図帳や地球儀を用いて,
取り上げる国や地域の
名称と位置などを調べたり,

学校図書館や公共図書館,
コンピュータなどの活用,

留学生や地域に住む外国人,
国際交流活動や国際協力活動に
参加した人
などへの聞き取り調査

などにより,
外国の人々の生活の様子を
調べたりして,まとめることである。

 ここでは,

地図帳や地球儀を用いて,
国や地域の位置,
日本との位置関係
などを適切に読み取る技能,

調べたことを適切にまとめる技能

を身に付けるようにすること
が大切である。

 
 
 イは,「思考力,判断力,表現力等」に関わる事項である。

 イの(ア)の外国の人々の生活の様子などに着目して,日本の文化や習慣との違いを捉え,国際交流の果たす役割を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
日本の文化や習慣との違いについて,

例えば,

その国の人々の生活や文化には
どのような特色があるか,

その国の人々の生活には
どのような習慣が見られるか

などの問いを設けて調べたり,

互いの国の文化や習慣を
理解し合うための国際交流の役割
を考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

--------------------------------

 外国の人々の生活の様子に着目するとは,

貿易や経済協力などの面,
歴史や文化,スポーツの交流などの面
でつながりが深い国

の人々の

衣服や料理,
食事の習慣,
住居,
挨拶の仕方やマナー,
子供たちの遊びや学校生活,
気候や地形の特色に合わせたくらし
の様子,
娯楽,
国民に親しまれている行事

などの生活の様子について
調べることである。

----------------

 これらの学習を通して異なる文化や習慣を理解し関心を深めるようにすることは,

外国の人々の物事の捉え方や考え方
を理解し,尊重すること
につながるものである。

 このようにして調べたことを手掛かりに,
日本の文化や習慣との違いを捉えることができるようにする。

--------------------------------

 国際交流の果たす役割を考え,表現することとは,例えば,

世界の国々の文化や習慣は
多様であることと

スポーツや文化などを通して
他国と交流すること

を関連付けて,
異なる文化を相互に理解するために
果たしている国際交流の役割を考え,

レポートなどにまとめたり,
根拠や理由を明確にして
議論したりすることである。

 イの(イ)の地球規模で発生している課題の解決に向けた連携・協力などに着目して,国際連合の働きや我が国の国際協力の様子を捉え,国際社会において我が国が果たしている役割を考え,表現することとは,

社会的事象の見方・考え方を働かせ,
国際連合の働きや
我が国の国際協力の様子について,

例えば,
世界ではどのような課題が
発生しているか,

国際連合や我が国は
課題を解決するために
どのような連携や協力を行っているか

などの問いを設けて調べたり,

地球規模で発生している課題と
その解決のための連携や協力の様子
を関連付けて,
我が国が果たしている役割を
考えたりして,

調べたことや考えたことを
表現することである。

--------------------------------

 地球規模で発生している課題の解決に向けた連携・協力に着目するとは,

紛争,環境破壊,飢餓,貧困,
自然災害,人権など
国境を越えた課題,

その解決のための
国際連合の働きや
我が国の国際協力の様子

について調べることである。

 

 その際,
国際紛争を避ける努力や
国と国との安全保障
の大切さにも
触れるようにする。

 このようにして調べたことを
手掛かりに,
国際連合の働きや
我が国の国際協力
の様子を捉える

ことができるようにする。

--------------------------------

 国際社会において我が国が果たしている役割を考え,表現することとは,例えば,

地球規模で発生している課題
の解決策と
我が国の国際協力の様子を
関連付けて,

我が国が国際社会において
果たしている役割

を考え,
文章で記述したり,
根拠や理由を明確にして
議論したりすることである。

 実際の指導に当たっては,学習が具体的に展開できるよう,外国語科の学習などとの関連を図り,そこで出会った外国人を招いて話を聞く活動や,地域に住む留学生や外国で生まれ育った人などとの交流,青年海外協力隊の元隊員などから話を聞く活動などが考えられる。

 また,外国の人々の生活の様子については,児童が調べた国について,相互に交流し合う活動を取り入れたり,取り上げた国々と日本との国際交流の様子などを取り上げたりして,文化や習慣が多様であることや人間としての願いが共通であることなどを考える学習などが考えられる。

 
 

(内容の取扱い)

(3) 内容の(3)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア アについては,我が国の国旗と国歌の意義を理解し,これを尊重する態度を養うとともに,諸外国の国旗と国歌も同様に尊重する態度を養うよう配慮すること。

--------------------------------

イ アの(ア)については,我が国とつながりが深い国から数か国を取り上げること。

 その際,児童が1か国を選択して調べるよう配慮すること。

--------------------------------

ウ アの(ア)については,我が国や諸外国の伝統や文化を尊重しようとする態度を養うよう配慮すること。

--------------------------------

エ イについては,世界の人々と共に生きていくために大切なことや,今後,我が国が国際社会において果たすべき役割などを多角的に考えたり選択・判断したりできるよう配慮すること。

--------------------------------

オ イの(イ)については,網羅的,抽象的な扱いを避けるため,「国際連合の働き」については,ユニセフやユネスコの身近な活動を取り上げること。

 また,「我が国の国際協力の様子」については,教育,医療,農業などの分野で世界に貢献している事例の中から選択して取り上げること。

 内容の取扱いの(3)のアは,内容の(3)のアの(ア)及び(イ)における国旗と国歌の指導について,それを取り扱う際の配慮事項を示したものである。

 内容の(3)のアの(ア)の世界の国の人々の生活,アの(イ)の国際連合や我が国の国際協力に関わる学習においては,

国旗と国歌について関連して
指導するようにする。

--------------------------------

 国旗と国歌の指導については,国際社会においては,国旗と国歌が重んじられていることに気付かせるとともに,我が国の国旗と国歌の意義を理解させ,これを尊重する態度を養うことが大切である。

 また,諸外国の国旗と国歌についても同様にこれを尊重する態度を養い,国際社会に生きる日本人としての自覚と資質を育成することが大切である。

--------------------------------

 国旗と国歌の意義については,第3学年及び第4学年,第5学年における国旗に関わる指導の上に立って,次のような事柄について理解できるようにする必要がある。

@ 国旗と国歌はいずれの国ももっていること。

A 国旗と国歌はいずれの国でもその国の象徴として大切にされており,互いに尊重し合うことが必要であること。

B 我が国の国旗と国歌は,それぞれの歴史を背景に,長年の慣行により,「日章旗」が国旗であり,「君が代」が国歌であることが広く国民の認識として定着していることを踏まえて,法律によって定められていること。

C 我が国の国歌「君が代」は,日本国憲法の下においては,日本国民の総意に基づき天皇を日本国及び日本国民統合の象徴とする我が国の末永い繁栄と平和を祈念した歌であること。

--------------------------------

 また,国歌「君が代」については,音楽科における指導との関連を重視するとともに,入学式や卒業式などにおける国旗や国歌の指導などとも関連付けながら指導することが大切である。

 内容の取扱いの(3)のイは,内容(3)のアの(ア)について指導する際の配慮事項について示したものである。

--------------------------------

 ここでは,

我が国と経済や文化などの面で
つながりの深い国から,
教師が3か国程度を取り上げ,

その中から児童一人一人が
自らの興味・関心や問題意識に基づいて
1か国を選択して
主体的に調べることができる
ようにすること,

それぞれの児童が選択して調べた国の
人々の生活の違いなどから,
文化や習慣には多様性が見られること
について
具体的に考え理解できる
ように配慮することが大切である。

-----------------

 その際,
取り上げる国が
特定の地域に偏らないように
配慮することが大切である。

 また,
児童が選んだ国によって
調べる資料の量などに
大きな違いが生じることのないよう,
個に応じた適切な指導を心掛ける
ようにする。

 内容の取扱いの(3)のウは,内容(3)のアの(ア)について指導する際の配慮事項について示したものである。

--------------------------------

 ここでは,それぞれの児童が選択して調べた国の人々の生活などについて互いに発表し,考えたことを話し合う学習活動を位置付けることなどにより,外国の人々の生活や文化の違いに触れ,その違いを理解し尊重することが,外国の人々と共に生きる上で大切であることを考えることができるようにする。

 その際,これまでの学習で身に付けた自国に対する理解との関連を図りながら,多様な文化を適切に理解できるように配慮する必要がある。

 その上で,我が国や諸外国の伝統や文化を尊重しようとする態度を養うようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(3)のエは,内容のイについて指導する際の配慮事項について示したものである。

--------------------------------

 ここでは,世界の国の人々の生活,国際連合や我が国の国際協力について学習したことを基に,グローバル化する国際社会において,今後,我が国が果たすべき役割,義務や責任について,過去の戦争や原爆による人類最初の災禍を経験した我が国の立場,国際的な協力や援助を必要としている国や地域の人々などの立場,国際連合など国際的な機関の立場などから多角的に考えたり,世界の人々と共に生きていくために大切なことについて,自分たちにできることを考えたり選択・判断したりして,世界の平和に向けた自分の考えをまとめるようにすることが大切である。

 内容の取扱いの(3)のオは,内容の(3)のイの(イ)について指導する際の配慮事項について示したものである。

--------------------------------

 「国際連合の働き」について指導する際には,児童にとって身近なユニセフやユネスコの活動を取り上げて具体的に調べることができるよう配慮する必要がある。

--------------------------------

 「我が国の国際協力の様子」については,教育,医学,農業など様々な分野で技術者を海外に派遣したり,国内に海外からの研修生を受け入れたりしている事例を取り上げることが考えられる。

 それらを具体的に調べることを通して,国際社会における我が国の役割を具体的に考えるようにする。

--------------------------------

 こうした学習を通して,過去の戦争や原爆による人類最初の災禍などの経験を生かし,国際社会の平和と発展のために,我が国や日本人が今後果たさなければならない責任と義務があることに気付くようにするとともに,世界平和の大切さと我が国が世界において重要な役割を果たしていることを考えることができるようにすることが大切である。

 
 

  第6学年においては,
内容の(1)から(3)までを通して,

社会的事象について,

学習問題を
主体的に解決しようとする態度や,

よりよい社会を考え
学習したことを
社会生活に生かそうとする態度

を養うとともに,

多角的な思考や理解を通して,

我が国の歴史や伝統を大切にして
国を愛する心情,

我が国の将来を担う国民としての自覚や

平和を願う日本人として
世界の国々の人々と共に生きること
の大切さについての自覚

を養うようにすることが大切である。

 
 
→ 小学校社会編 目次
→ 中学校社会編 目次
→ 小学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ