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 算数科の目標は,算数の学習指導全体を通して達成させようとするものであることから,極めて一般的かつ包括的に示している。

 また,小学校修了時において身に付ける資質・能力を示したものでもある。

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 この目標を実際の指導で達成させるためには,さらに具体的な目標が必要となる。

 これを算数の内容の系統性と児童の発達の段階に応じて,学年ごとに明らかにしたものが各学年の目標である。

 この各学年の目標は,それぞれの学年で身に付けるべき資質・能力について示したものである。

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 したがって,「算数科の目標」を具体化したものが「学年の目標」であり,学年の目標を実現するために「内容」があるといえる。

 学年の目標は,それぞれの学年だけで捉えられがちであるが,小学校の6年間で漸次達成していく目標としてその系統性にも注意を払い,後述する「内容構成の考え方」との関連を踏まえておく必要がある。

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 学年の目標は,算数科の目標と同様に各学年で育成を目指す資質・能力の三つの柱である「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」に沿ってそれぞれを(1),(2),(3)と示した。

 また,(1),(2)については,各学年で指導すべき主な内容に対応させた。

 なお,今回の改訂では,児童の発達の段階に応じて,第1学年,第2学年と第3学年,第4学年と第5学年,第6学年の四つの段階を意識した記述とした。

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 各学年で指導する内容は,「A数と計算」,「B図形」,「C測定」(下学年),「C変化と関係」(上学年)及び「Dデータの活用」の五つの領域及び〔数学的活動〕とした。

 各領域におけるそれぞれの内容において育成を目指す資質・能力は,各領域やそれぞれの内容で閉じたものばかりではなく,異なる領域間で相互に関連し合っているものもある。

 例えば,「A数と計算」の領域の第5学年での小数の乗法・除法の学習では,整数の場合と同様の乗法・除法のきまりや性質が成り立つことを確認するなど,演算の意味を統合・発展させることになる。

 また,この小数の乗法・除法の学習で身に付ける内容は,「C変化と関係」の領域の同じく第5学年での二つの数量の関係を取り扱う割合や単位量当たりの大きさの内容の理解を支えるものであり,相互の学習が影響し合いながら演算や計算結果の意味を統合的に捉える力が漸次育成されていくことになる。

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 このような趣旨から,常に,「算数科の目標」と「学年の目標」との関連,そして領域相互の関連を考えて,「内容」の指導に当たっていくことが必要である。

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 なお,各学年の目標には明記していないが,「算数科の目標」にある「数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・能力の育成を目指すこと」はいずれの学年においても重要であり,指導に際しては常に留意することが大切である。

 
 

[第1学年]

 数の概念とその表し方及び計算の意味を理解し,量,図形及び数量の関係についての理解の基礎となる経験を重ね,数量や図形についての感覚を豊かにするとともに,

 加法及び減法の計算をしたり,形を構成したり,身の回りにある量の大きさを比べたり,簡単な絵や図などに表したりすることなどについての技能を身に付けるようにする。

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[第2学年]

 数の概念についての理解を深め,計算の意味と性質,基本的な図形の概念,量の概念,簡単な表とグラフなどについて理解し,数量や図形についての感覚を豊かにするとともに,

 加法,減法及び乗法の計算をしたり,図形を構成したり,長さやかさなどを測定したり,表やグラフに表したりすることなどについての技能を身に付けるようにする。

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[第3学年]

 数の表し方,整数の計算の意味と性質,小数及び分数の意味と表し方,基本的な図形の概念,量の概念,棒グラフなどについて理解し,数量や図形についての感覚を豊かにするとともに,

 整数などの計算をしたり,図形を構成したり,長さや重さなどを測定したり,表やグラフに表したりすることなどについての技能を身に付けるようにする。

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[第4学年]

 小数及び分数の意味と表し方,四則の関係,平面図形と立体図形,面積,角の大きさ,折れ線グラフなどについて理解するとともに,

 整数,小数及び分数の計算をしたり,図形を構成したり,図形の面積や角の大きさを求めたり,表やグラフに表したりすることなどについての技能を身に付けるようにする。

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[第5学年]

 整数の性質,分数の意味,小数と分数の計算の意味,面積の公式,図形の意味と性質,図形の体積,速さ,割合,帯グラフなどについて理解するとともに,

 小数や分数の計算をしたり,図形の性質を調べたり,図形の面積や体積を求めたり,表やグラフに表したりすることなどについての技能を身に付けるようにする。

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[第6学年]

 分数の計算の意味,文字を用いた式,図形の意味,図形の体積,比例,度数分布を表す表などについて理解するとともに,

 分数の計算をしたり,図形を構成したり,図形の面積や体積を求めたり,表やグラフに表したりすることなどについての技能を身に付けるようにする。

 
 

[第1学年]

 ものの数に着目し,具体物や図などを用いて数の数え方や計算の仕方を考える力,

 ものの形に着目して特徴を捉えたり,具体的な操作を通して形の構成について考えたりする力,

 身の回りにあるものの特徴を量に着目して捉え,量の大きさの比べ方を考える力,

 データの個数に着目して身の回りの事象の特徴を捉える力などを養う。

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[第2学年]

 数とその表現や数量の関係に着目し,必要に応じて具体物や図などを用いて数の表し方や計算の仕方などを考察する力,

 平面図形の特徴を図形を構成する要素に着目して捉えたり,身の回りの事象を図形の性質から考察したりする力,

 身の回りにあるものの特徴を量に着目して捉え,量の単位を用いて的確に表現する力,

 身の回りの事象をデータの特徴に着目して捉え,簡潔に表現したり考察したりする力などを養う。

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[第3学年]

 数とその表現や数量の関係に着目し,必要に応じて具体物や図などを用いて数の表し方や計算の仕方などを考察する力,

 平面図形の特徴を図形を構成する要素に着目して捉えたり,身の回りの事象を図形の性質から考察したりする力,

 身の回りにあるものの特徴を量に着目して捉え,量の単位を用いて的確に表現する力,

 身の回りの事象をデータの特徴に着目して捉え,簡潔に表現したり適切に判断したりする力などを養う。

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[第4学年]

 数とその表現や数量の関係に着目し,目的に合った表現方法を用いて計算の仕方などを考察する力,

 図形を構成する要素及びそれらの位置関係に着目し,図形の性質や図形の計量について考察する力,

 伴って変わる二つの数量やそれらの関係に着目し,変化や対応の特徴を見いだして,二つの数量の関係を表や式を用いて考察する力,

 目的に応じてデータを収集し,データの特徴や傾向に着目して表やグラフに的確に表現し,それらを用いて問題解決したり,解決の過程や結果を多面的に捉え考察したりする力などを養う。

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[第5学年]

 数とその表現や計算の意味に着目し,目的に合った表現方法を用いて数の性質や計算の仕方などを考察する力,

 図形を構成する要素や図形間の関係などに着目し,図形の性質や図形の計量について考察する力,

 伴って変わる二つの数量やそれらの関係に着目し,変化や対応の特徴を見いだして,二つの数量の関係を表や式を用いて考察する力,

 目的に応じてデータを収集し,データの特徴や傾向に着目して表やグラフに的確に表現し,それらを用いて問題解決したり,解決の過程や結果を多面的に捉え考察したりする力などを養う。

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[第6学年]

 数とその表現や計算の意味に着目し,発展的に考察して問題を見いだすとともに,目的に応じて多様な表現方法を用いながら数の表し方や計算の仕方などを考察する力,

 図形を構成する要素や図形間の関係などに着目し,図形の性質や図形の計量について考察する力,

 伴って変わる二つの数量やそれらの関係に着目し,変化や対応の特徴を見いだして,二つの数量の関係を表や式,グラフを用いて考察する力,

 身の回りの事象から設定した問題について,目的に応じてデータを収集し,データの特徴や傾向に着目して適切な手法を選択して分析を行い,それらを用いて問題解決したり,解決の過程や結果を批判的に考察したりする力などを養う。

 
 

[第1学年]

 数量や図形に親しみ,算数で学んだことのよさや楽しさを感じながら学ぶ態度を養う。

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[第2学年]

 数量や図形に進んで関わり,数学的に表現・処理したことを振り返り,数理的な処理のよさに気付き生活や学習に活用しようとする態度を養う。

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[第3学年]

 数量や図形に進んで関わり,数学的に表現・処理したことを振り返り,数理的な処理のよさに気付き生活や学習に活用しようとする態度を養う。

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[第4学年]

 数学的に表現・処理したことを振り返り,多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考える態度,数学のよさに気付き学習したことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。

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[第5学年]

 数学的に表現・処理したことを振り返り,多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考える態度,数学のよさに気付き学習したことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。

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[第6学年]

 数学的に表現・処理したことを振り返り,多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考える態度,数学のよさに気付き学習したことを生活や学習に活用しようとする態度を養う。

 
 
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