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小学校 学習指導要領 【解説】 |
算数編 |
第2章 算数科の目標及び内容 |
第2節 算数科の内容 |
2 各領域の内容の概観 |
A 数と計算 |
(3) 「A 数と計算」の領域で育成を目指す資質・能力 |
@ 数の概念について理解し,その表し方や数の性質について考察すること |
整数 |
整数は,ものの個数を表したり,ものの順番を表したりするときに用いられる。 整数は,十進位取り記数法によって表される。第1学年では整数のことを数(かず)と呼んで指導し,第3学年からは小数や分数と区別するために,整数という用語を 用いるようにする。 -------------------------------- 第1学年では,数のまとまりに着目し,ものとものとを対応させることによって個数を比べること,個数や順番を正しく数えたり表したりすること,数を大小の順に並べること,一つの数をほかの数の和や差としてみることなどを指導して,整数の意味について理解できるようにする。 -------------------------------- 第2学年から第4学年では,数のまとまりに着目し,十進位取り記数法により数を表すこと,数を十,百,千,万などを単位としてみること,一つの数をほかの数の積としてみることを指導し,十進位取り記数法の理解を深め,数の比べ方や表し方を統合的に捉えることができるようにする。 -------------------------------- 第5学年では,乗法及び除法に着目し,観点を決めて整数を類別する仕方を考えたり,数の構成について考察したりすることを指導する。 具体的には,偶数,奇数また約数,倍数について指導して,整数の性質についての理解を深めるようにする。 -------------------------------- また,数の表し方の仕組みに着目し,数の相対的な大きさを考察することを指導 する。 |
小数と分数 |
小数および分数は,端数部分の大きさを表すのに用いることで導入される。 第3学年では,小数が 1/10 の幾つ分かで表せることや,分数が単位分数の幾つ分かで表せることを指導する。 例えば,0.6 は 0.1 の六つ分を意味し, 3/4 は 1/4 という単位分数の三つ分を意味することを指導する。 なお,第2学年では,分数や割合の指導の素地として,1/2 や 1/3 などの簡単な分数を指導する。 ここでは,ある大きさのものを2等分,3等分したものを,もとの大きさの 1/2,1/3 と表すことや,1/2 ,1/3 の大きさをそれぞれ二つ,三つ集めるともとの大きさに戻ることを指導する。 -------------------------------- また,第3学年では,数のまとまりに着目し,小数や分数でも数を比べたり計算したりできるかどうかを考えることを指導する。 ここでは,小数や分数がそれぞれ 0.1 や1/3 などの単位で構成されていることの理解を深めるために,1/10 の位までの小数の加法及び減法,簡単な場合についての分数の加法及び減法についても指導する。 -------------------------------- 小数については,第4学年から第5学年で,1/100 の位,1/1000 の位などについて指導し,小数が十進位取り記数法によって表されることの理解を深めるようにする。 整数の場合と同様に数の相対的な大きさについて指導し,小数も整数と同様に十進位取り記数法に基づく数の表し方であることを統合的に理解できるようにする。 -------------------------------- 分数については,第4学年で,数を構成する単位に着目し,簡単な場合について,大きさの等しい分数があることを指導する。 また,1より小さい分数を真分数ということ,1に等しいか1より大きい分数を仮分数ということ,ならびに,仮分数を整数と真分数の和の形で表したものを帯分数ということを指導する。 第5学年では,分数の表現に着目し,除法の結果の表し方を振り返り,分数の意味をまとめることについて指導する。 例えば,2÷3=2/3 などのように,整数の除法の結果を分数で表すことを指導する。 また,分数を小数で表すことや,異分母の分数の大小の比べ方などについて指導し,分数についての理解を深めるようにする。 |
計算の仕方 |
第1学年では,数量の関係に着目し,1位数どうしの加法及びその逆の減法について計算の意味や計算の仕方を考えることを指導する。 ここでは,数の合成・分解や10のまとまりに着目させることが大切である。 -------------------------------- 第2学年から第4学年では,数量の関係に着目し,整数の加法,減法,乗法,除法の計算の仕方を考えたり計算に関して成り立つ性質を見いだし,それらを活用したりすることを指導する。 -------------------------------- 整数の加法や減法については,十進位取り記数法に着目し,それぞれの位毎に計算することで,多数桁の計算が第1学年で学習した加法や減法の計算に帰着できることを理解させる。 また,交換法則や結合法則を学習することで,繰り上がり,繰り下がりが少なくなるなどの計算の工夫について考えさせる。 -------------------------------- 整数の乗法については,第2学年で乗法九九を指導する。 乗法九九の学習では, 例えば3×4の場合,その結果が12であることを乗法の意味から考えることと,その結果を「さんしじゅうに」と唱え習熟させることが必要である。 このことを基礎として,第3学年から第4学年では,多数桁の乗法を指導する。 ここでは計算の意味を拡張する必要はないが,計算を同数累加で行うことは効率的ではない。 十進位取り記数法の仕組みに着目し,分配法則を活用することで,計算の仕方を考え, -------------------------------- 筆算形式と関連付けていく。 また,交換法則や結合法則について理解し,これらを活用した計算の工夫について考えさせる。 -------------------------------- 整数の除法については,第3学年において,乗法や減法との関係に着目し,計算の仕方を考えさせる。 また,余りのある計算について理解させ,その計算に習熟させることが大切である。 第4学年では,第3学年までの学習を基に,多数桁の除法の計算の仕方を考えさせる。 このとき,十進位取り記数法の仕組みに着目するとともに,乗法,減法,商の見積りなどを活用することが大切である。 また,「除数及び被除数に同じ数をかけても,同じ数で割って計算しても商は変わらない」という除法に関して成り立つ性質を調べさせるとともに,それを活用した計算の工夫を考えさせる。 -------------------------------- 小数の計算については,数の表し方の仕組みや数を構成する単位に着目し,計算の仕方を考えさせる。 小数の計算では,0.1 や0.01 の幾つ分という見方によって,整数の計算に帰着できることに気付かせることが大切である。 また,第5学年での乗数が小数の乗法や除数が小数の除法では,具体的な場面の比例の関係を根拠にして計算の仕方を考えさせるとともに,計算に関して成り立つ性質を活用した計算の仕方を考えさせることも大切である。 -------------------------------- 分数の計算についても,数の表し方の仕組みや数を構成する単位に着目し,計算の仕方を考えさせる。 小数が十進位取り記数法で表されているのに対して,分数は二つの数の関係で一つの数が表されており,構成する単位が分数によって異なることに着目する必要がある。 同分母の分数の加法及び減法については,n/m を1/m の幾つ分とみることで,整数の加法及び減法に帰着することができる。 異分母の分数の加法及び減法については,分母を通分することで同分母の加法及び減法に帰着することができる。 -------------------------------- 第6学年では,分数の乗法及び除法を指導する。 分数の意味と表現及び計算について成り立つ性質に着目し,分数の乗法及び除法の計算の仕方を多面的に考えることを指導する。 上で述べたとおり,小数と分数では数の表し方の仕組みは異なるけれども,小数で学習した比例の関係を根拠にした計算の仕方や,計算に関して成り立つ性質を活用した計算の仕方から類推的に計算の仕方を考えることができる。 また,a÷b=a/b という関係を活用するなど,分数に固有な計算の性質を活用して,計算の仕方を多面的に考えさせることが大切である。 -------------------------------- なお,除数が分数の除法は逆数を用いることによって乗法に直すことができること,整数,小数,分数の乗法は,分数に揃えることで,いつでも計算できることなどを指導し,中学校での数学の学習への円滑な接続を図る。 |
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