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 整数は,ものの個数を表したり,ものの順番を表したりするときに用いられる。

 整数は,十進位取り記数法によって表される。第1学年では整数のことを数(かず)と呼んで指導し,第3学年からは小数や分数と区別するために,整数という用語を 用いるようにする。

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 第1学年では,数のまとまりに着目し,ものとものとを対応させることによって個数を比べること,個数や順番を正しく数えたり表したりすること,数を大小の順に並べること,一つの数をほかの数の和や差としてみることなどを指導して,整数の意味について理解できるようにする。

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 第2学年から第4学年では,数のまとまりに着目し,十進位取り記数法により数を表すこと,数を十,百,千,万などを単位としてみること,一つの数をほかの数の積としてみることを指導し,十進位取り記数法の理解を深め,数の比べ方や表し方を統合的に捉えることができるようにする。

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 第5学年では,乗法及び除法に着目し,観点を決めて整数を類別する仕方を考えたり,数の構成について考察したりすることを指導する。

 具体的には,偶数,奇数また約数,倍数について指導して,整数の性質についての理解を深めるようにする。

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 また,数の表し方の仕組みに着目し,数の相対的な大きさを考察することを指導 する。

 
 

 小数および分数は,端数部分の大きさを表すのに用いることで導入される。

 第3学年では,小数が 1/10 の幾つ分かで表せることや,分数が単位分数の幾つ分かで表せることを指導する。

 例えば,0.6 は 0.1 の六つ分を意味し, 3/4 は 1/4 という単位分数の三つ分を意味することを指導する。

 なお,第2学年では,分数や割合の指導の素地として,1/2 や 1/3 などの簡単な分数を指導する。

 ここでは,ある大きさのものを2等分,3等分したものを,もとの大きさの 1/2,1/3 と表すことや,1/2 ,1/3 の大きさをそれぞれ二つ,三つ集めるともとの大きさに戻ることを指導する。

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 また,第3学年では,数のまとまりに着目し,小数や分数でも数を比べたり計算したりできるかどうかを考えることを指導する。

 ここでは,小数や分数がそれぞれ 0.1 や1/3 などの単位で構成されていることの理解を深めるために,1/10 の位までの小数の加法及び減法,簡単な場合についての分数の加法及び減法についても指導する。

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 小数については,第4学年から第5学年で,1/100 の位,1/1000 の位などについて指導し,小数が十進位取り記数法によって表されることの理解を深めるようにする。

 整数の場合と同様に数の相対的な大きさについて指導し,小数も整数と同様に十進位取り記数法に基づく数の表し方であることを統合的に理解できるようにする。

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 分数については,第4学年で,数を構成する単位に着目し,簡単な場合について,大きさの等しい分数があることを指導する。

 また,1より小さい分数を真分数ということ,1に等しいか1より大きい分数を仮分数ということ,ならびに,仮分数を整数と真分数の和の形で表したものを帯分数ということを指導する。

 第5学年では,分数の表現に着目し,除法の結果の表し方を振り返り,分数の意味をまとめることについて指導する。

 例えば,2÷3=2/3 などのように,整数の除法の結果を分数で表すことを指導する。

 また,分数を小数で表すことや,異分母の分数の大小の比べ方などについて指導し,分数についての理解を深めるようにする。

 
 

 第1学年では,数量の関係に着目し,加法及び減法の意味を指導する。

 加法は二つの集合を合わせて新しい集合を作ったときの要素を求めるものであり,また,加法が用いられる場面には,合併,増加,順序数を含む加法などがある。

 さらに,第1学年では,どの場面でも同じ結果が得られることを具体的な操作や結果を通して理解できるようにする。

 減法は加法の逆演算であり,求残と求差の場面などを取り扱う。

 このとき,

 求差の問題を解決するための

 「1対1に対応させ,
  対応がつかなったものの
  数を数える操作」と

 「大きい方の数から
  小さい方の数を取り去ったときの
  残りの数を求める操作」

 とを対応付け,
 同じ結果が得られること
 を理解できるよう にする。

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 数量の関係に着目し,第2学年では乗法の意味を,第3学年では除法の意味を指 導する。

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 第2学年では,

 乗法は,
 一つ分の大きさがaのものの
 b個分の大きさ,あるいは
 b倍に当たる大きさ
 を求める計算
 として意味付けられることや,

 素朴には
 aをb個だけ加えること(同数累加)
 によって,
 その大きさを求めることができること
 を指導する。

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 第3学年では,
 除法は乗法の逆演算であること
 を指導する。

 除法の場面には,
 等分除
 (一つ分の大きさを求める場合)と
 包含除
 (幾つ分になるかを求める場合)
 がある。

 これらは,計算の仕方としては同一のものとみることができるので,除法としては一つのものとして捉えることができるようにする。

 なお,包含除の学習と第2学年の倍の学習を関連付け,除法によってある数量が別の数量の何倍かを求めることができることも指導する。

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 第4学年では,整数を整数で割ったときに商が小数になる場合を扱うこととの関わりから小数を用いた倍について指導する。

 例えば,
 「12cmは8cmの何倍か調べる」
 という場面で
 12÷8=1.5 であることから,
 「12cmは8cmの1.5倍」
 ということを指導する。

 第5学年では,数量の関係に着目し,乗法では乗数が小数の場合に,除法では除数が小数の場合に,それらの計算の意味を拡張する。

 乗法については,B×p を「Bを基準にする大きさ(1)とみたときに,割合pに当たる大きさを求める計算」と意味を捉え直すことができ,

 例えば,「1mが40円のリボンを2.3m買ったときの 代金」を求める式は 40×2.3 と表すことができることを指導する。

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 上述の割合pに当たる大きさをAとするとB×p=A と表すことができ,この関係から,除法が小数の場合に除法を拡張することができる。

 このとき,上の乗法の逆として割合pを求める場合(@)と,基準にする大きさBを求める場合(A)とが ある。

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 @ p=A÷B

 A B=A÷p

 @は,AがBの何倍かを求める考えであり,除法の意味としては,pが整数の場合には,包含除の考えに当たる。

 Aは基準にする大きさを求める考えであり,除法の意味としては,pが整数の場合には,等分除の考えに当たる。

 第6学年では,乗数が分数の乗法や除数が分数の除法を学習するが,これは乗法や除法の意味の拡張というよりは,適用される数の範囲の拡張である。

 第5学年での乗法,除法の意味を基にして,分数の乗法や除法の意味を理解できるようにする必要がある。

 
 

 第1学年では,数量の関係に着目し,1位数どうしの加法及びその逆の減法について計算の意味や計算の仕方を考えることを指導する。

 ここでは,数の合成・分解や10のまとまりに着目させることが大切である。

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 第2学年から第4学年では,数量の関係に着目し,整数の加法,減法,乗法,除法の計算の仕方を考えたり計算に関して成り立つ性質を見いだし,それらを活用したりすることを指導する。

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 整数の加法や減法については,十進位取り記数法に着目し,それぞれの位毎に計算することで,多数桁の計算が第1学年で学習した加法や減法の計算に帰着できることを理解させる。

 また,交換法則や結合法則を学習することで,繰り上がり,繰り下がりが少なくなるなどの計算の工夫について考えさせる。

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 整数の乗法については,第2学年で乗法九九を指導する。

 乗法九九の学習では, 例えば3×4の場合,その結果が12であることを乗法の意味から考えることと,その結果を「さんしじゅうに」と唱え習熟させることが必要である。

 このことを基礎として,第3学年から第4学年では,多数桁の乗法を指導する。

 ここでは計算の意味を拡張する必要はないが,計算を同数累加で行うことは効率的ではない。

 十進位取り記数法の仕組みに着目し,分配法則を活用することで,計算の仕方を考え,

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 筆算形式と関連付けていく。

 また,交換法則や結合法則について理解し,これらを活用した計算の工夫について考えさせる。

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 整数の除法については,第3学年において,乗法や減法との関係に着目し,計算の仕方を考えさせる。

 また,余りのある計算について理解させ,その計算に習熟させることが大切である。

 第4学年では,第3学年までの学習を基に,多数桁の除法の計算の仕方を考えさせる。

 このとき,十進位取り記数法の仕組みに着目するとともに,乗法,減法,商の見積りなどを活用することが大切である。

 また,「除数及び被除数に同じ数をかけても,同じ数で割って計算しても商は変わらない」という除法に関して成り立つ性質を調べさせるとともに,それを活用した計算の工夫を考えさせる。

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 小数の計算については,数の表し方の仕組みや数を構成する単位に着目し,計算の仕方を考えさせる。

 小数の計算では,0.1 や0.01 の幾つ分という見方によって,整数の計算に帰着できることに気付かせることが大切である。

 また,第5学年での乗数が小数の乗法や除数が小数の除法では,具体的な場面の比例の関係を根拠にして計算の仕方を考えさせるとともに,計算に関して成り立つ性質を活用した計算の仕方を考えさせることも大切である。

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 分数の計算についても,数の表し方の仕組みや数を構成する単位に着目し,計算の仕方を考えさせる。

 小数が十進位取り記数法で表されているのに対して,分数は二つの数の関係で一つの数が表されており,構成する単位が分数によって異なることに着目する必要がある。

 同分母の分数の加法及び減法については,n/m を1/m の幾つ分とみることで,整数の加法及び減法に帰着することができる。

 異分母の分数の加法及び減法については,分母を通分することで同分母の加法及び減法に帰着することができる。

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 第6学年では,分数の乗法及び除法を指導する。

 分数の意味と表現及び計算について成り立つ性質に着目し,分数の乗法及び除法の計算の仕方を多面的に考えることを指導する。

 上で述べたとおり,小数と分数では数の表し方の仕組みは異なるけれども,小数で学習した比例の関係を根拠にした計算の仕方や,計算に関して成り立つ性質を活用した計算の仕方から類推的に計算の仕方を考えることができる。

 また,a÷b=a/b という関係を活用するなど,分数に固有な計算の性質を活用して,計算の仕方を多面的に考えさせることが大切である。

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 なお,除数が分数の除法は逆数を用いることによって乗法に直すことができること,整数,小数,分数の乗法は,分数に揃えることで,いつでも計算できることなどを指導し,中学校での数学の学習への円滑な接続を図る。

 
 

 日常の事象の中に見られる数量やその関係などを表現する方法として,言葉,図,数,式,表,グラフがある。

 その中でも式は,事柄や関係を簡潔,明瞭,的確に,また,一般的に表すことができる優れた表現方法である。

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 式の指導においては,具体的な場面に対応させながら,事柄や関係を式に表すことができるようにする。

 さらに,式を通して場面などの意味を読み取り言葉や図を用いて表したり,式と図などによる表現を関連付けて考えたり,表現したりすることが大切である。

 さらに,式を,言葉,図,表,グラフなどと関連付けて用いて自分の考えを説明したり,分かりやすく伝え合ったりできるようにすることが大切である。

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 式には,
 2+3,
 □×5,
 x−5などのような式と,

 2+3=5,
 □×3=12,
 a×b=b×a
 などのような等号を含む式がある。

 また,
 (単価)×(個数)=(代金)
 のような「言葉の式」もある。

 

 最初の例については,
 例えば2+3 という式が,
 ある場面での数量についての事柄
 を表している
 という見方ができること
 が大切である。

 また,
 等号を含む式については,
 例えば
 □+3=△,
 x+3=8
 という式が,
 ある場面での数量の関係を表している
 という見方ができること
 が大切である。

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 式ではこのほかに,( )などを用いて表したり,複数の事柄を−つの式(総合式) で表したりすることもある。

 式には,次のような働きがある。

(ア) 事柄や関係を簡潔,明瞭,的確に,また,一般的に表すことができる。

(イ) 式の表す具体的な意味を離れて,形式的に処理することができる。

(ウ) 式から具体的な事柄や関係を読み取ったり,より正確に考察したりすることができる。

(エ) 自分の思考過程を表現することができ,それを互いに的確に伝え合うことができる。

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 次に,式の読み方として,次のような場合がある。

(ア) 式からそれに対応する具体的な場面を読む。

(イ) 式の表す事柄や関係を一般化して読む。

(ウ) 式に当てはまる数の範囲を,例えば,整数から小数へと拡張して,発展的に読む。

(エ) 式から問題解決などにおける思考過程を読む。

(オ) 数直線などのモデルと対応させて式を読む。

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 このような式について,第1学年では,数量の関係に着目し,加法及び減法が用いられる場面を式に表したり式を読み取ったりすることを指導する。

 例えば,

 「3人で遊んでいるところに
  4人来たので,
  全部で7人になりました。」
 という場面を,
 3+4=7 という式に表したり,

 5+3という式をみて,
 「5人で遊んでいるところに
  3人来ました。」
 というような
 具体的な場面を考えること

 などを指導する。

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 第2学年では,数量の関係に着目し,乗法が用いられる場面を式に表したり式を読み取ったりすることや加法と減法の相互関係について指導する。

 また,( )や□を用いて式に表すこともできる。

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 第3学年では,数量の関係に着目し,除法が用いられる場面を式に表したり式を読み取ったりすることや,数量の関係を図や式を用いて簡潔に表したり,式と図を関連付けて式を読んだりすることを指導する。

 なお,ここでは文字としての役割をもつものとしての□を用いた式を指導する。

 例えば,12÷3 の答えを3×□=12 の□に当てはまる数として捉える場合に□を用いる。

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 第4学年では,四則の混合した式や公式について指導するとともに,問題場面の数量の関係に着目し,数量の関係を文字としての役割をもつ□,△などを用いて簡潔に,また一般的に表現したり,式の意味を読み取ったりすることを指導する。

 ここでは,文字の種類が増えるだけでなく,この□や△などは変量を表す記号として用いられるものである。

 第5学年では,第4学年までの理解の上に,二つの数量の対応や変わり方に着目し,数量の関係を表す式についての理解を深める。

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 第6学年では,問題場面の数量の関係に着目し,数量の関係を文字a,x などを用いて簡潔かつ一般的に表現したり,式の意味を読み取ったりすることを指導し,中学校での数学の学習への円滑な接続を図る。

 
 

 数は日常生活のいろいろな場面で活用されるものである。

 例えば,物の個数を表したり,順序を表したりするのに数が使われるし,物の値段にも数が活用されている。

 また,長さ,広さ,かさ,重さ,速さなどの量も本質的には数によってその大きさが表されている。

 数概念は人が生涯にわたって活用していくものであり,小学校段階で確実に定着させておく必要がある。

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 計算についても,物を買うときに加法や減法などを用いるし,同じ数のものが幾つかあるときは,乗法を用いてその総数を能率的に求めることができる。

 利益や消費税に関する計算をするときには,割合の概念を基に,小数や分数の乗法及び除法が確実にできることが大切である。

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 第4学年では,概数や四則計算の結果の見積りについて指導する。

 日常の事象における場面に着目し,目的に応じた四捨五入,切り上げなどの数の処理の仕方を考えさせ,その考え方を日常生活に生かせるように指導する。

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 なお,数やその計算の学習の内容は,第1学年の2位数などの数の学習や1位数や簡単な2位数の加法及び減法の学習から始まり,その範囲や演算の種類が学年毎に広がっていく。

 特に,大きな数や小数,分数などについては形式的な扱いにとどまらず,数についての感覚を豊かにしつつ,活用できる数の範囲が広がることを実感させながら,数や計算を生活や学習に活用しようとする態度を育むことが大切である。

 
 
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