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小学校 学習指導要領 【解説】 |
算数編 |
第2章 算数科の目標及び内容 |
第2節 算数科の内容 |
2 各領域の内容の概観 |
B 図形 |
(3) 「B 図形」で育成を目指す資質・能力 |
@ 図形の概念について理解し,その性質について考察すること |
図形の性質の考察においては,観察や構成などの活動を通して,図形の意味を理解したり,図形の性質を見付けたり,図形の性質を確かめたりすることができるようにする。 次の三つに分けて述べていく。 ・ ものの形に着目して考察すること ・ 図形を構成する要素に着目して,図形の性質について考察すること ・ 図形を構成する要素及びそれらの位置関係に着目して,図形の性質を考察すること |
ものの形に着目して考察すること |
第1学年では,仲間分けしたり,形遊びをしたり,箱を積んだり,箱でものを作ったり,面を写し取ったりすることを通して,ものの形を認め,形の特徴について捉え,図形についての理解の基礎となる経験を豊かにする。 ものの形について,児童が例えば,「さんかく」「しかく」「まる」「箱の形」「ボールの形」などと呼んだり,その特徴を調べたりできるようにする。 また,児童は,身近にある箱等を,形に限定せず多様な視点から捉えていくことが予想される。 例えば,箱には何が入っていたのか,箱は何色か,箱は大きいか小さいかなど,目的に応じて,色,大きさ,位置,材質,機能,形等の多様な属性に着目するわけである。 ものを弁別する際には多様な観点があり,その中の一つに形があるのだという意識がもてるように指導することが大切である。 |
図形を構成する要素に着目して,図形の性質について考察すること |
次に,図形を構成する要素などに着目して図形の性質を考察することを指導する。 辺の数,面の数,角の数などに着目させる。 また,図形を,辺の長さや角の大きさが等しいかどうかに着目して分類できるようにする。 -------------------------------- 第2学年では,辺の数,直角に着目して三角形,四角形,直角三角形を指導する。 また,正方形,長方形,直角三角形も指導する。 例えば,四つの辺の長さが等しく,四つの角が直角であるような四角形を正方形と捉えられるようにする。 -------------------------------- 第3学年では,二等辺三角形,正三角形を指導する。二等辺三角形は,二つの辺の長さが等しい三角形である。 例えば,二等辺三角形を二つに折るなどの活動を通して,二つの角の大きさが等しいという図形の性質を見いだせるようにする。 また,中心,半径,直径に着目して円について指導するとともに,球の直径等について,平面図形の円と比べながら指導する。 -------------------------------- 第4学年では,正方形,長方形の数に着目して立方体,直方体を指導する。 -------------------------------- 第5学年では,辺の数や長さなどに着目して多角形や正多角形を,また,底面,側面に着目して,角柱,円柱を指導する。 -------------------------------- 各々の図形指導では,それを構成したり弁別したりする活動を取り入れ,その性質が発見できるように指導するとともに,図形の性質を筋道を立てて説明できるようにする。 |
図形を構成する要素やそれらの位置関係に着目して図形の性質について考察すること |
次に,図形を構成する要素だけでなく,図形を構成する要素の間の関係に着目する。 辺と辺,辺と面,面と面の間にある垂直,平行といった位置関係,辺の長さや角の大きさの間にある数量的な関係を取り上げる。 -------------------------------- 第4学年では,まず直線の位置関係に着目する。 辺の長さ,角の大きさといった量ではなく,平行,垂直といった直線どうしの位置関係から図形を特徴付け,平行四辺形,ひし形,台形を指導する。 平行四辺形については, ひし形について, を指導する。 また,直方体に関連して,直線や平面の平行や垂直の関係について理解できるようにする。 -------------------------------- さらに,対称軸を見いだし,それに対する両側の点,辺の位置関係等を考えることにより,図形を対称といった見方から捉えることができる。 第6学年においては,線対称,点対称な図形を指導する。 線対称な図形とは,ある直線を折り目として折ったとき,ぴったり重なる図形をさす。 また,点対称な図形とは,一つの点を中心にして180度回転したときにぴったり重なる図形をさす。 -------------------------------- そして,新たな見方が獲得されると,既習の図形をその見方で統合的に捉え直すことが肝要である。 第4学年では,これまで学習した正方形,長方形等を平行,垂直といった見方から捉え直し, 第5学年では,角柱における底面,側面といった見方から既習の立方体,直方体を捉え直し, 第6学年では,線対称,点対称といった見方から,正方形,長方形,平行四辺形,台形,ひし形等を捉え直すことになる。 ここで,二等辺三角形,正三角形,正方形,長方形,ひし形は線対称な図形であり,正方形,長方形,ひし形,平行四辺形は点対称な図形である。 -------------------------------- さらに,図形を構成する要素の数量的な関係について考察していく。 例えば,三角形を取り上げると,図形を構成する要素である三つの辺,三つの角の間に,何か一般的な性質がないかを考えることを指導する。 第5学年では,三角形の三つの角の大きさの和が180度であること,四角形の四つの角の大きさの和が360度であること等を取り扱う。 既に分かっていることを基に,筋道を立てて論理的に説明できるように指導する。 |
図形間の関係に着目して,図形の構成の仕方について考察すること |
ここでは,二つの図形の関係に着目して,合同な図形,あるいは,拡大,縮小した図形の構成の仕方などを考察していく。 -------------------------------- 二つの形が同じかどうかを判断する際,その置き方によらず,動かしてぴったり重なれば,同じ形だと判断できる。 「置き方によらない」ことに着目することで,合同の基礎となる考えに焦点があてられる。 -------------------------------- しかし,「ぴったり重ねる」という行為は,具体的な操作が許されない場合,作図等の構成活動を通して合同な図形を写し取ることになる。 その際,具体的な操作における「ぴったり重ねる」という行為は,図形を構成する要素に着目して「対応する辺や角が全て等しくなるように作図する」行為に置き換えられることになる。 これが第5学年における合同な図形の学習である。 第6学年では,合同の考えを基に,縮小もしくは拡大してぴったり重なるかどうかが論点になり,ここでは,縮図や拡大図を指導する。 角の大きさの相等に加えて,対応する辺の長さが同じ割合になっていることに着目して考えていくとともに,作図等の活動を振り返り,筋道を立てて論理的に説明できるように指導する。 -------------------------------- さらに,立体図形が考察の対象になると,見取図や展開図と立体図形の関係についての考察が始まる。 図形を構成する要素である面と面,辺と辺等の位置関係に着目しながら,立体図形を見取図や展開図で表したり,逆に,見取図や展開図から立体図形を構成したりすることになる。 第4学年では,直方体の見取図,展開図を指導し, 第5学年では,柱体の見取図や展開図を指導する。 |
図形を構成する要素に着目して,面積,体積の計算による求め方を考察すること |
面積,体積の概念が学習されると,次に,図形を構成する要素などに着目して,その面積,体積の求め方を指導する。 -------------------------------- 第5学年では,三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を考えることを指導する。 例えば,平行四辺形では,具体的な操作等を通して長方形に変形することで面積が求められる。 そして,長方形に変形できることについては,操作的・感覚的な確かめに加えて,平行四辺形の性質(平行四辺形の向かい合う辺の長さは等しい等)を用いた説明も少しずつできるようにする。 -------------------------------- 第6学年では,身の回りにある図形の概形とおよその面積などとともに円の面積を指導する。 面積などを測定しようとする身の回りにある図形については,その概形を捉え,見通しをもちその面積などを考察することが大切である。 平面図形では,三角形や四角形のように測定しやすい形とみたり,それらに分けたりする。 立体図形では,直方体や立方体とみたり,それらに分ける工夫をしたりする。 円の面積では,はじめに面積の大きさの見通しをもつとともに,既習の求積が可能な図形に変形して考えていくことが大切である。 -------------------------------- さらに,第6学年において,角柱及び円柱の体積の求め方について指導する。 ここでは,基本的な空間図形の体積の求め方を,図形を構成する要素などに着目して,既習の求積が可能な図形の体積の求め方を基に考えたり,図形の面積の学習と関連付けたりする。 |
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