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小学校 学習指導要領 【解説】 |
算数編 |
第2章 算数科の目標及び内容 |
第2節 算数科の内容 |
2 各領域の内容の概観 |
C 測定 |
(3) 「C 測定」の領域で育成を目指す資質・能力 |
@ 量の概念を理解し,その大きさの比べ方を見いだすこと |
量の概念と基本的な性質 |
量とはものの大きさを表すものである。 -------------------------------- ものの個数は,数えることなどを通して整数で表すことができる。 一方,ひもの長さや水の重さなどのような量の大きさは,いくらでも細分することができるものであり,必ずしも整数で表せるとは限らない。 -------------------------------- 量には,基本的な量として,長さ,重さ,時間のほかに,広さ,かさ,角の大きさ,速さなどがある。 -------------------------------- これらの量の概念の育成に当たっては,具体物などの量の大きさを比べる活動を行うことが大切である。 児童の身の回りにあるものには,長さ,広さ,かさ,重さといった量とともに,色や材質,形状といった特徴がある。 ものを実際に比較する活動を通して,どのようなものの量を比べようとしているのか,その量がどのような大きさであるのかが捉えやすくなり,量の概念が次第に形成されていく。 -------------------------------- ものの大小を比較するときは, 例えば, また, などといって, -------------------------------- 長さ,広さ,かさ,重さ,角の大きさなどの量については,次のような基本的な性質がある。 例えば,かさは,ある容器に入っている液量を別の形をした容器に移したり,幾つかの容器に分けたりしても,総量は変わらない。 このように,ものの形を変形したり,幾つかに分割したり,位置を動かしたりしても,そのものの量の大きさは変わらない性質を,量の保存性という。 また,量の保存性を基にすると,例えば,300g のものと500g のものを合わせると物の重さの合計は800g になるといった量の加法性が確かめられる。 -------------------------------- また第5学年の「B図形」の領域では,平行四辺形の一部を切り取って二つにして,それらを組み合わせて長方形を作ったとき,はじめの平行四辺形の面積と,あとの長方形の面積は同じであると説明できる。 ここでも,量の保存性や,量の加法性が使われている。 -------------------------------- 「C測定」の領域では,これらの量の中から,長さ,広さ,かさ,時間について扱う。 |
基本的な性質をもつ量の大きさの比べ方 |
基本的な性質をもつ量の大きさを比べる際に,直接比較や間接比較,任意単位を用いた測定による比較について指導する。 -------------------------------- 直接比較では,二つの大きさを直接に比較する。 例えば,2本の鉛筆AとBの長さを比較するとき,一方の端を揃えて,他方の端の位置によって大小判断をする。 -------------------------------- 間接比較では,AとBの大きさをそれと等しい別のものに置き換えて,間接的に比較する。 例えば,机の縦と横の長さを紙テープの長さに置き換え,紙テープに写した長さを比較して大小判断をする。 直接比較や間接比較をすることで,具体的なものの属性のうち,比べようとしている量は何なのかが明確になる。 -------------------------------- 任意単位による測定では,AとBの大きさを,それと同種の量の幾つ分という数値に置き換えて比較する。 例えば,机の縦と横の長さを鉛筆の長さの幾つ分かに置き換え,縦が四つ分,横が六つ分であれば,横は縦より鉛筆二つ分だけ長いなどと大小判断をする。 このように数値化することにより,大きさの違いを明確に表して比べることができるようになる。 -------------------------------- 量の測定とは,量Bを基準にとるとき,他の量Aがその何倍に等しいかを調べ,この何倍に当たる数pによって量Aの大きさを表現することである。 -------------------------------- 量の大きさを比べる指導においては,場面や目的及び身の回りのものの特徴に応じて量の大きさの比べ方を見いだすことができるようにすることが大切である。 このことは,目的に応じて量の大きさの比べ方を柔軟に選択し,学習した方法を活用する資質・能力の育成を目指す上で特に重要である。 |
長さ,広さ,かさ,重さの概念と単位 |
長さは,児童にとって,これまでにも大きさを比較した経験が多い量である。 第1学年では,これまでの経験を基に,まず,長さの直接比較を指導する。 次に,長さを直接比較することができない曲線の長さなどの間接比較を指導し,身の回りの具体物から長さを取り出し,長さの比較ができるようにする。 さらには,身の回りの具体物の長さを共通単位(任意単位)として設定し,身の回りの具体物の長さを数で捉え大きさを比較することを指導する。 第2学年では,長さの普遍単位の意味を理解できるようにし,長さの単位(ミリメートル(mm),センチメートル(cm),メートル(m))と,それらを用いた測定について指導する。 その際,測定する対象の大きさに応じた単位を選択し,測定できるようにすることが大切である。 第3学年では,キロメートル(km)の単位について指導する。 また,長さについて,測定する対象の大きさや形状に応じた単位や計器を適切に選んで測定できるようにすることが大切である。 |
広さは,広がりをもつ面の大きさであり,長さと同様に児童が大きさを比較した経験がある量と考えられる。 第1学年では,まず,具体物を直接重ねるなどの活動を通して,広さも長さと同様に直接比較することができる量であることを指導する。 次に,身の回りの具体物の広さを紙などに写し取って,直接比較をすることが難しい広さを間接比較することを指導する。 さらには,身の回りの具体物の広さを共通単位(任意単位)として設定し,身の回りの具体物の広さを数で捉え大きさを比較することを指導する。 その際,広さは,二次元の広がりをもつものの量なので,長さだけでは大きさの判断がつかないことを理解できるようにすることが大切である。 このような広さを比較する活動が,第4学年以降の「B図形」の領域における面積の学習の理解の基礎となる経験となる。 |
かさは,三次元の広がりをもつものの量であり,児童にとっては身の回りの入れ物の大きさなどとして捉えることができる量である。 第1学年では,具体物を重ねるなどの活動を通して,かさの直接比較などを指導する。 第2学年では,かさの単位について理解できるようにし,かさの単位(ミリリットル(mL),デシリットル(dL),リットル(L))とそれらの単位を用いた測定について指導する。 その際,かさは,長さや広さだけでは大きさの判断がつかないことを理解できるようにすることが大切である。 このように,かさの大きさを比べる活動が,第5学年以降の「B 図形」の領域における図形の体積の学習の理解の基礎となる経験となる。 |
重さは,ものの見かけだけでは捉えられない大きさであり,具体物を手に持ったり体に身に付けたりして,重さを実感しながら測定することで重さの概念を理解できるようにすることが大切である。 第3学年では,重さの単位(グラム(g),キログラム(kg))とそれらの単位を用いた測定について指導する。 |
時間の単位 |
時間については,日常生活との関連を大切にしながら指導することが大切である。 第1学年では,日常生活の中で時刻を読むことができるようにする。 第2学年では,時間の単位(日,時,分)とそれらの関係について理解できるようにする。 第3学年では,時間の単位(秒)と,時刻や時間の計算について指導する。 その際,長針や短針の動きを観察するなどの活動を設定し,時間の概念を実感をもって理解できるようにすることが大切である。 |
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