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(1) 身の回りにあるものの形に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) ものの形を認め,形の特徴を知ること。

(イ) 具体物を用いて形を作ったり分解したりすること。

(ウ) 前後,左右,上下など方向や位置についての言葉を用いて,ものの位置を表すこと。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) ものの形に着目し,身の回りにあるものの特徴を捉えたり,具体的な操作を通して形の構成について考えたりすること。

 具体物を操作しながら図形に関わりをもつとともに算数に関心をもつ活動を行うことにより,積み木や箱などを積んだり並べたりすることや,折り紙を折ったり重ね合わせたり比べたりすることなどの児童の日常生活や学校生活の場面と算数の学習をつなげていくことが大切である。

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 第1学年では,これを踏まえて,身の回りにあるものの形を観察や構成の対象とし,形を見付けたり,形作りをしたりする活動を重視するとともに,構成や分解の様子を,言葉を使って表すことを指導する。

 これらの活動を通して,次第に,ものの色,大きさ,位置や材質を捨象して,形を認め,形の特徴について捉えることができるようにする。

 同時に,形について学ぶことの楽しさを感じる経験を通して,図形に対する関心を喚起し,感覚を豊かなものとする。

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 ここで育成される資質・能力は,第2学年での三角形,四角形などの考察に生かされるものである。

 
 

 第1学年ではものの形に着目して,その形の特徴を捉えることを指導する。

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 「ものの形を認める」とは,児童の身の回りにある具体物の中から,色や大きさ,位置や材質などを捨象し,ものの形のみに着目してものを捉えることである。

 また,箱の形,筒の形,ボールの形などの身の回りにある立体については,立体を構成している面の形に着目して,「さんかく」,「しかく」,「まる」などの形を見付けることができることである。

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 このときは個々の辺の長さや角の大きさについては着目せず全体で形を捉えるため,例えば楽器のトライアングルのようにかどが丸みを帯びていたり,一部が切れている形も「さんかく」に含まれることになる。

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 「形の特徴を知る」とは,「さんかく」や「しかく」は「まる」と比べてかどがある,「さんかく」のかどは三つある,「さんかく」と「しかく」を比べるとかどの個数が異なるといった形状の特徴を捉えることができることである。

 また,箱の形は平らなところがあるが,ボールの形は平らなところがないといった立体の形状を捉えることや,筒の形は置き方によって,転がりやすくなったり,重ねて積み上げることができたりする形であること,また,ボールの形は転がりやすい形であること,箱の形は,重ねて積み上げることができる形であることなどの機能的な性質についても指導する。

 
 

 具体物を用いて形を作るとは,色板などを使って身の回りにある具体物の形を作ったり,作った形から逆に具体物を想像したりすることである。

 例えば,積み木や箱などの立体を用いて身の回りにある具体物の形を作ることや,色板などを組み合わせたり点を結んで身の回りにあるものの形を作ったりすることが考えられる。

 具体物を用いて形を分解したりするとは,身の回りにある立体や色板等を用いて作った形から,「さんかく」や「しかく」などを見付けられるようにすることである。

 例えば,箱の側面の形を観察したり,その面を写し取った形と同じ形が身の回りのどこにあるかを見いだしたりすることを通して箱の形の多くは「しかく」で構成されていることを理解できるようにする。

 色板での形作りでは「しかく」は「さんかく」二枚で構成できること,「ましかく」が二つで「ながしかく」が構成できることなどに児童が気付けるよう配慮する。

 また,形を構成したり分解したりする活動では,ずらす,まわす,裏返すなどと図形を移動したり,ぴったり同じ形や大きさは違うが似ている形を作ったりすることなどの活動を豊富にさせることが大切である。

 
 

 方向や位置に関する言葉には,前後,左右,上下などの方向を表すものと,一番前や何番目,真ん中などの位置を表すものがある。

 これらを用いる際には一定のものを基準として表現する必要があることを児童が理解することが大切である。

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 例えば,教室の中の二つのものの位置関係を表すために,「壁に掛かっている時計は時間割の上にある」や「自分から見て,黒板の左にテレビがある」というように表すことができるようにする。

 この学習では,実際に児童が一列に並ぶ体験や具体物を並べる活動を取り入れることで,方向や位置を実感的に捉えられるようにする。

 
 

 ものの形に着目し身の回りにあるものの特徴を捉えるとは,ものの形や立体が身の回りでどのようなところに見られるか,それらの用いられ方にどのような特徴があるかということに気付いたり,敷き詰められた模様の中にいろいろな形を認めたりすることである。

 また,具体的な操作を通して形の構成について考えるとは,形を作ったり分解したりすることを通して,形の構成の仕方について考えることである。

 このような活動は,例えば色板などを用いて,ロケットや家の形をつくることなどが考えられる。

 さらに,箱の形であるならば平らな面を使って重ねたり立てたりすることができるというように,その形のもつ性質や特徴を用いて目的を達成したり問題を解決したりすることができるようにし,この学年以降も児童が図形に親しみを深めていけるよう指導することが大切である。

 
 
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