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(1) 身の回りのものの大きさに関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 長さ,広さ,かさなどの量を,具体的な操作によって直接比べたり,他のものを用いて比べたりすること。

(イ) 身の回りにあるものの大きさを単位として,その幾つ分かで大きさを比べること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 身の回りのものの特徴に着目し,量の大きさの比べ方を見いだすこと。

 具体物を操作しながら量に関わりをもつとともに算数に関心をもつ活動を行うことにより,様々な量の大きさを比べるとなどの児童の日常生活や学校生活の場面と算数の学習をつなげていくことが大切である。

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 第1学年では,これを踏まえて,量の単位を用いて測定する前段階として,身の回りのものの特徴に着目し,量の大きさの比べ方を見いだしたり量の大きさを表現したりすることを主なねらいとしている。

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 第1学年の量と測定についての理解の基礎となる学習では,児童が体験を通して,学習の中で取り上げられた具体的なものの長さ,広さ,かさなど,身の回りに広くある量に関心をもって調べたり,身の回りのものの大きさの比べ方を見いだそうとしたりする態度を養う。

 ここで育成される資質・能力は,第2学年の以降の長さ,広さ,かさの大きさの測定や数値化などの学習に生かされるものである。

 
 

 量の単位や測定の意味を指導する上で大切なことは,まず,直接あるいは間接的に大きさを比べる活動を通して,その量についての理解を深めていくことである。

 長さ,広さ,かさのうち,特に長さは,「測定」で取り扱う様々な量の中で基本的な量である。

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 量の大きさを比較する際,ものを移動して,直接重ね合わせることで比べることがある。

 これを直接比較という。

 直接比較で比べられない場合,別のものに写し取ることや,水のようなかさであれば別の容器に入れるなど媒介物を用いて間接的に比較することがある。

 これを間接比較という。

 第1学年では,これらの活動を十分に行うことが大切である。

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 長さの直接比較については,例えば,2本の鉛筆の長さを比べるといった移動のできるものを比べる場合には,並べて置いたり重ねたりして比べることができる。

 この場合は,一方の端を揃えることにより,反対側の端で長さの大小を比べることができる。

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 広さについては,例えば2枚のレジャーシートの大きさを比べる場合には,右のように角を揃えて重ねることにより,一方が他方に完全に含まれるのであれば,広さの大小を比べることができる。

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 かさについては,長さや広さに比べて捉えにくい場合がある。

 しかし,例えば,大きな箱の中に小さな箱を直接入れることにより,二つのかさを比べることができる。

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 量の大きさを比べる際,ものを移動して,直接重ね合わせることが難しい場合がある。

 その場合,媒介物を用いて量の大小を比べることができる。

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 長さの間接比較については,例えば,机の縦と横の長さを比べる場合は,紙テープや棒を用いて長さを写し取ることにより,基になる大きさと比べることができる。

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 広さやかさの大きさも同様に,形を紙に写し取ったり,二つの入れ物にそれぞれにいっぱいに入れた水を第三の容器に移したりすると比べることができる。

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 このような直接比較や間接比較についての理解は,第3学年の重さや第4学年の角の大きさを比べる際にも必要になる。

 
 

 量の大きさを比較する際,ものを移動して直接重ね合わせることが難しかったり,適当な大きさの媒介物がなかったりする場合がある。

 また,二つや三つの量を比べるのでなく,多くのものの量を比べる場合がある。

 そのようなとき,測るものより小さい任意のものの大きさを単位として,それが幾つ分あるかを調べることで,大きさを数で表すことができ,その数で比べることができる。

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 長さの任意単位による測定については,例えば,机の縦と横の長さを,鉛筆の長さの幾つ分かに置き換えるなどの具体的な操作を通して調べ,これを数で表せば比べることができる。

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 広さについては,例えば,それぞれの広さの上に同じ大きさの色板を並べ,色板が幾つ分あるかを数えることで比べることができる。

 色板を並べたり,方眼紙を塗りつぶしたりといった活動を通して,任意単位を用いた広さの比べ方を理解できるようにする。

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 かさについては,二つの容器いっぱいに入れた水を,同じコップや茶碗で何杯分あるかを数えるなどして比べることができる。

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 このように,身の回りにあるものの大きさを単位として数値化することにより,大きさの違いを数に表して比べることができるようになる。

 様々な場面で,比較や測定を行うことを通して,長さが長いとは,広さが広いとは,かさが大きいとはといったそれぞれの量の意味やその測定の仕方についての理解をより確かなものにしたり,量の大きさについての感覚を豊かにしたりする。

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 なお,属性の捨象や量の保存性,量の加法性といった量のもつ基本的な性質については,(ア),(イ)の活動を通して次第に理解できるようにしていく。

 
 

 身の回りにあるものから,まず,比べたい量を明確にすることが大切である。

 例えば,2冊の本の大きさについて比べようとするとき,「どちらの本が長いのか」「どちらの本が広いのか」「どちらの本が厚いのか」というように,どの量に着目しているのかを明確にする必要がある。

 そして,その目的に応じて直接比較をして比べる。また,どのくらい違うのかを知りたいときは数値化して比べる。

 このように,目的に応じて効率よく量の大きさを比べることが大切である。

 さらに比較の過程では,比べ方について問いを見いだしたり,試行錯誤したりすることが大切である。

 そして,長さでの比較や測定の仕方と同じように,広さやかさについても,直接比較,間接比較,任意単位による測定という比べ方ができることについて気付くことができるようにする。

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 また,比べ方の表現については,長さにおいては「大きい・小さい」ではなく,「長い・短い」という表現を用い,使われる長さ(距離)や場所によっては,「遠い・近い」「高い・低い」などの言葉でも多様に表現されることにも触れ,生活の中にある長さについての見方を広げていくことも大切である。

 
 
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