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(6) 分数とその表し方に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 等分してできる部分の大きさや端数部分の大きさを表すのに分数を用いることを知ること。また,分数の表し方について知ること。

(イ) 分数が単位分数の幾つ分かで表すことができることを知ること。

(ウ) 簡単な場合について,分数の加法及び減法の意味について理解し,それらの計算ができることを知ること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 数のまとまりに着目し,分数でも数の大きさを比べたり計算したりできるかどうかを考えるとともに,分数を日常生活に生かすこと。

〔用語・記号〕 分母 分子

(内容の取扱い)

(5) 内容の「A数と計算」の(5)及び(6)については,小数の0.1 と分数の1/10 などを数直線を用いて関連付けて取り扱うものとする。

 第2学年では,1/2 や1/3 など簡単な分数について知り,元の大きさに着目し,数の大きさについて考え,日常生活に生かすことを指導してきた。

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 第3学年では,分数の意味や表し方について理解できるようにするとともに,分数についても整数と同様に加法及び減法ができることを知り,簡単な場合について,それらの計算ができることを知ることをねらいとしている。

 また,単位分数の大きさに着目し,分数でも数を比べたり計算したりできるかどうかを考えたり,計算の意味や仕方を考えたりするとともに,分数を日常生活に生かそうとする態度や能力を高めることもねらいとしている。

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 ここで育成される資質・能力は,第4学年の同分母の分数の加法及び減法について,単位分数に着目した計算の仕方などの考察に生かされるものである。

 
 

 分数は,等分してできる部分の大きさや端数部分の大きさを表すのに用いられる。

 分数を指導する際,「分母」,「分子」の用語について扱う。

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 分数の意味について,その観点の置き方によって,様々な捉え方ができる。

 2/3 を例にすると,次のようである。

@ 具体物を3等分したものの二つ分の大きさを表す。

A 2/3L,2/3mのように,測定したときの量の大きさを表す。

B 1を3等分したもの(単位分数である1/3)の二つ分の大きさを表す。

C AはBの2/3 というように,Bを1としたときのAの大きさの割合を表す。

D 整数の除法「2÷3」の結果(商)を表す。

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 これらは便宜上分けたところもある。

 指導に当たっては,幾つかの考えを同時に用いることが多い。

 第3学年では,上記の@,A,Bなどの考え方を用いる。

 C,Dについては,第5学年で取り扱う。

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 例えば,次のページの図のような2mのテープがあるとする。

 このとき,テープの色が付いた部分はテープ全体の1/4(@)である。

 だから,テープ全体の長さが2mだとすると,色が付いた部分の長さは,2mの1/4(@)であるといえる。

 一方,実際の長さを分数で表すと1mの1/2(@)なので,1/2m(A)である。

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 なお,「内容の取扱い」の(5)では,「小数の0.1 と分数の1/10 などを数直線を用いて関連付けて取り扱うものとする」と示している。

 分数を数として捉えることができるようにするために,分数を数直線の上に表示するなどの指導の工夫が必要である。

 さらに,小数の0.1 と分数の1/10 などを同一の数直線の上下に表し,大きさが同じ数であることを実感できるよう配慮する。

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 また,小数や分数を数直線上に表す過程や,0.2+0.8 や 2/10+8/10 という計算を行う過程で,1.0 という表記や 10/10 という表記をすることがある。

 小学校では,有効数字の概念はまだ学習していないので,結果としての表記は1と簡潔・明瞭に表現できるようにすることが大切である。

 一方,1−0.2 や1−2/10 を計算する過程では,1を1.0 とみたり 10/10 とみたりできるようにすることも大切である。

 このように,数の概念としての1には,表記として1,1.0,10/10 などがあることを理解できるようにし,表記としては必要に応じて使うことができるようにすることが大切である。

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 1/10 などの大きさを単位として表す小数に対して,分数は1/3,1/4,1/5 など,単位として都合のよい大きさを選ぶことができる。

 このような点に,分数で表すことのよさがある。

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 1/3,1/4,1/5 のように,分子が1である分数を単位分数という。

 分数は,単位分数の幾つ分かで表すことができる。

 例えば,2/3 は1/3 の二つ分であり,1より小さい分数である。

 また,4/3 は1/3 の四つ分であり,1より大きい分数である。

 
 

 同分母の分数の加法及び減法の意味やその計算の仕方について理解できるようにする。

 簡単な場合として,真分数どうしの加法及び減法を指導し,和が1までの加法と,その逆の減法を取り扱う。

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 例えば,1/5m と 2/5m を合わせると何mになるかという場面について,1/5+2/5 という式を立て,1/5mの三つ分(単位分数の三つ分)なので,3/5mになることが理解できるようにする。

 
 

 整数と同じように,分数でも数の大きさを比べることができるかどうかを考え,同分母どうしの場合は,単位分数の個数に着目することによって,分子の大きさを比べることで,分数の大きさを比べることができることに気付くようにする。

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 また,整数と同じように,分数でも計算ができるかどうかを考え,同分母の分数の加法及び減法は,単位分数の個数に着目することによって,整数の場合と同様に処理できることに気付くようにする。

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 大小比較や計算をする際に図に表したりするときには,1の大きさを決めることでそれが可能となることに気付くようにすることが大切である。

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 さらに,分数の大小比較や計算ができることから,分数も整数と同じように数としてみることができるようにする。

 身の回りから分数を用いた表現を見いだしたり,大きさを分数を用いて考えたりするなど,分数を用いた数の処理や分数の見方を日常生活に生かそうとする態度を育むようにする。

 
 
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