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(1) データの分析に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 日時の観点や場所の観点などからデータを分類整理し,表に表したり読んだりすること。

(イ) 棒グラフの特徴やその用い方を理解すること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) データを整理する観点に着目し,身の回りの事象について表やグラフを用いて考察して,見いだしたことを表現すること。

(内容の取扱い)

(8) 内容の「Dデータの活用」の(1)のアの(イ)については,最小目盛りが2,5又は20,50 などの棒グラフや,複数の棒グラフを組み合わせたグラフなどにも触れるものとする。

 第2学年では,身の回りにある数量を分類整理し,簡単な表やグラフを用いて表して,事象について考察することを指導してきている。

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 第3学年では,これらの指導を基にして,身の回りにある事象について観点を定め,データを分類整理して表やグラフに表し,データの特徴を捉え考察したり,見いだしたことを表現したりできるようにすることをねらいとしている。

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 ここで育成される資質・能力は,第4学年で学習する二次元の表や折れ線グラフを用いて分析することに生かされるものである。

 
 

 この学年では,日時,曜日,時間や場所などの観点から分類の項目を選び,資料を目的にあった手際のよい方法で,分かりやすく整理することを通して,表の意味を理解し,表を用いて表したり,表を読んだりすることができるようにすることをねらいとしている。

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 また,日時の観点や場所の観点など一つの観点で作った表を幾つか組み合わせて一つの表にまとめた簡単な二次元の表を取り扱い,組み合わせて作成した表を読むこともできるようにする。

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 そのため,次の点に配慮するようにする。

@ 目的を明らかにし,集める資料の条件を考えたり,目的にあった分類の観点を選んだりすること。

A 資料に落ちや重なりがないように項目を決めたり,資料を分類したりすること。

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 指導に当たっては,機械的に処理したり表を考察したりするだけではなく,児童自身が課題を明確に捉え,それに沿って資料を積極的に集め,観点を決めて分類整理していこうとする態度や能力を伸ばすよう配慮することが大切である。

 そのためには,資料に落ちや重なりがないか調べたり,集計に当たって誤りがないか確かめたりするなど,誤りがおきにくいような方法を工夫する活動を重視する必要がある。

 その際,合計欄の意味に着目させ,合計の数と資料の数が一致しているかを確かめるなど,表の知識や技能を活用できるように指導する必要がある。

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 なお,表については,分類の仕方や,表し方に様々な種類があるので,それぞれの特色について理解したり,目的に応じて用いたりすることができるようにすることが大切である。

 
 

 第2学年までのグラフについての指導を基に,第3学年では,棒グラフについて,数量の大小や差などを読むことに加えて,最大値や最小値を捉えたり,項目間の関係,集団のもつ全体的な特徴などを読み取ったりすることができるようにすることをねらいとしている。

 その際,表と関連付けながら,児童が見いだしたことを表現することを通して,データの中の数量の大きさの違いを一目で捉えることができるという棒グラフの特徴についても気付くことができるようにする。

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 指導に当たっては,児童の分かりやすく表そうとする工夫を生かしながら,項目の取り方や並べ方,表題の付け方などについて正しく指導する必要がある。

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 また,目盛りの付け方,読み方については,ものさしを用いた測定のときの手続きや数直線の目盛りの付け方を生かす指導とも関連して,最小目盛りが1,10,100 に当たるものを中心とし,「内容の取扱い」の(8)にあるように,目的によっては最小目盛りが2,5又は20,50 などに当たるものについても,読んだりかいたりできるようにする。

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 その際,同じグラフを異なる目盛りの付け方で表した複数のグラフを比較したり,何種類かのグラフ用紙の中から適切な用紙を選択したりする活動を通して,グラフ用紙の大きさなどに応じて目盛りの付け方を工夫し,目的にあった目盛りを用いることができるようにする。

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 また,「内容の取扱い」の(8)には,「複数の棒グラフを組み合わせたグラフなどにも触れるものとする」と示している。

 一つの観点で作成した表を組み合わせた表について棒グラフに表す際,複数の棒グラフを組み合わせたグラフができることにも気付かせ,このような棒グラフを読むことができるようにする。

 
 

 データを整理する観点に着目するとは,データをどのように分類整理すればよいかについて,解決したい問題に応じて観点を定めることである。

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 例えば,学年全体で遊び調べをして,児童の学級,性別,好きな遊びや嫌いな遊び,よくする遊びやしたことがない遊びなど様々なことを調べたデータがあった際に,分類整理する観点によって特徴として捉えられることは変わってくる。

 どの観点で整理することでどんな特徴が捉えられるか考察することが必要になってくる。

 
 

 身の回りの事象について表やグラフを用いて考察するとは,自分たちの生活する身の回りの様々な事象における,解決したい問題に応じて定めた観点によって,データを表に分類整理したり,グラフにまとめたりすることで特徴や傾向を捉え考察することである。

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 例えば,遊び調べのデータについて,学級ごとに好きな遊びに違いはあるのかを分析するという観点で,下のように表に分類整理したり棒グラフに表したりすることで,どちらのクラスも「ハンカチ落とし」や「いす取りゲーム」は好きな人が多いといった特徴を捉えることができ,その背景として例えば「室内で皆が遊べる遊びは,ほかにあまりないからだろう。」といった考察をしていくようにする。

 
 

 見いだしたことを表現するとは,表やグラフから特徴や傾向を捉えたり,考察したりしたことを,表のどの部分から,あるいはグラフのどの部分からそのように考えたりしたのかを,ほかの人にも分かるように伝えることである。

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 その際,部分と部分や,複数のグラフを比べ,同じところや似ているところ,少し違うところや大きく違うところなどを見いだし,表現できるようにするとともに,伝え合うことで様々な考えがあることに気付くことができるようにする。

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 上の例では,適切なグラフを用いてそのグラフを示しながら,ハンカチ落としが全体的に人気があることや,ハンカチ落としとかくれんぼはクラスによって違いがあることなどを学級内で発表して伝えることなどができる。

 
 
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