cosnavi.jp

(2) 概数に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

--------------------------------

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 概数が用いられる場合について知ること。

(イ) 四捨五入について知ること。

(ウ) 目的に応じて四則計算の結果の見積りをすること。

--------------------------------

イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 日常の事象における場面に着目し,目的に合った数の処理の仕方を考えるとともに,それを日常生活に生かすこと。

〔用語・記号〕

  和 差 積 商 以上 以下 未満

(内容の取扱い)

(2) 内容の「A数と計算」の(2)のアの(ウ)及び(3)については,簡単な計算は暗算でできるよう配慮するものとする。

 また,暗算を筆算や見積りに生かすよう配慮するものとする。

 第3学年までに,計算の結果を見積もったり,測定値を読み取ったりする際におよその見当を付けることを経験してきている。

--------------------------------

 第4学年では,概数の意味を理解し,数を手際よく捉えたり処理したりすることができるようにするとともに,場面の意味に着目して数の捉え方を考え,目的に応じて概数を用いることができるようにする。

 また,概数を用いると数の大きさが捉えやすくなることや,物事の判断や処理が容易になること,見通しを立てやすくなることなどのよさに気付き,目的に応じて自ら概数で事象を把握しようとする態度を養うようにする。

--------------------------------

 ここで育成される資質・能力は,除法の商の処理や,グラフをかく際に目盛りの単位に数を合わせる場合に用いるほか,見当を付けるなど数を用いた判断や考察に広く生かされるものである。

 
 

 概数を用いる場合には,次のようなものがある。

 概数を用いるときは,その目的を明確にしながら,用い方を理解できるようにすることが大切である。

@ 野球場の入場者数を約何万何千人と概数で表現して伝えるように,詳しい数値が分かっていても,目的に応じて数を丸めて表記する場合。

A 都市の人口を棒グラフを用いて比較するように,棒の長さなどで数のおよその大きさを表す場合。

B ある時点での日本の人口のように,真の値を把握することが難しく,概数で代用する場合。

 
 

 四捨五入は,概数を作る場合に,最も広く用いられる。

 その方法は,測定で端下の数を最も近い目盛りで読み取る考えによっているということができる。

 この四捨五入では,ある単位未満のところを処理する場合に,その単位の一つ下の位の数が4以下であるか5以上であるかをみるだけでその処理ができる。

 例えば,42948 を四捨五入して千の位までの概数で表す場合,千の一つ下の位である百の位にある数「9」を見て,切り上げになると判断し,43000 と表す。

--------------------------------

 数直線のような図を用いて,
 概数にしても,
 数の大きさが大きくは変わらない
 (例えば
  4320 を上から2桁の概数にする際に
  43 や430 にはならない)
 ことを実感的に理解できるよう
 配慮することが大切である。

--------------------------------

 また,
 以上,以下,未満の用語とその意味
 について指導する。

 例えば,
 「5以下」は5と同じか,
 それより小さい数を表す一方,
 「5未満」は5を含まず
 5より小さい数を表すこと
 を確認する。

 
 

 加法,減法,乗法,除法を用いる具体的な問題の場面で,目的に応じて和,差,積,商を概数で見積もることを指導する。

 「内容の取扱い」の(2)に示したとおり,計算の結果の見積りで暗算を活用する。

 また,四則計算の結果について,和,差,積,商という用語を使えるようにする。

--------------------------------

 目的に応じて用いるとは,何のために見当を付けるのかそのねらいを明らかにし,ねらいに応じた詳しさの概数にしたり,切り上げや切り捨てを用いて大きく見積もったり小さく見積もったりすることである。

--------------------------------

 問題場面での必要性に応じて,必要な範囲内の詳しさでの概数にしたり,切り上げや切り捨てによって大きく見積もったり小さく見積もったりする機会を設けることが大切である。

 
 

 日常の事象の問題を解決する場合,解決の目的に合った処理の仕方を考えることが大切であり,その問題場面自体に着目する必要がある。

--------------------------------

 例えば,ア(ア)のように概数を用いる場合,どの程度の概数にすればよいか,目的に合った数の処理の仕方を考え,判断することが大切である。

 例えば,グラフをかく場合,紙の大きさなどによって最小目盛りが決まる。

 この目盛りの取り方により,何桁の概数にするかを判断できるようにする。

--------------------------------

 また,四則計算の結果の見積りについて,結果の見通しを立てたり,大きな誤りを防いだりするよさに気付かせたりするとともに,目的に合った見積りの仕方を考える。

 例えば,ある物を千円で買うことができるかどうかを見積もる場合,値段を大きくみて(切り上げて)概算することが望ましい。

--------------------------------

 このように,処理としては
 「どの位までの概数にするのか。」
 「切り上げるのか,切り捨てるのか,
  四捨五入するのか。」
 ということを,
 児童自らが判断する場面や,
 それが適切であるかどうかを
 振り返る場面を
 設けることが大切である。

 
 

 概数を用いる場合,対象となる数について,四捨五入等の処理をし,その処理した数を用いて計算する。

 このとき,そのまま計算するときと比べると処理の回数が増えることから,概数を用いるよさを感じにくい場合がある。

 それゆえ,形式的に処理するのみでなく,日常生活の場面の目的に応じて,概数を用いることで,より能率的に処理できることに気付くようにする。

 また,他教科等の学習場面や新聞記事などでは,概数が多く用いられている。

 概数を読み取ったり,自ら概数を用いる場面を設けたりするなど,概数を日常生活に生かすよう配慮する。

--------------------------------

 なお,概算によって積,商を見積もることは,除数が2位数の除法における商の見当を付ける場面において重要な役割を担うことに留意して指導することが大切である。

 
 
→ 小学校算数編 目次
→ 中学校数学編 目次
→ 小学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ