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(1) 平面図形に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 直線の平行や垂直の関係について理解すること。

(イ) 平行四辺形,ひし形,台形について知ること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 図形を構成する要素及びそれらの位置関係に着目し,構成の仕方を考察し図形の性質を見いだすとともに,その性質を基に既習の図形を捉え直すこと。

〔用語・記号〕  平行 垂直 対角線

(内容の取扱い)

(7) 内容の「B図形」の(1)については,平行四辺形,ひし形,台形で平面を敷き詰めるなどの操作的な活動を重視するよう配慮するものとする。

 第2学年では,正方形,長方形について,図形を構成する要素に着目し,正方形,長方形を観察したり構成したりする活動を行っており,二つの直線の平行や垂直についての理解の基礎となる経験をしている。

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 これを受けて,第4学年では,図形を構成する要素である辺の平行や垂直の関係に着目し,平行四辺形,ひし形,台形の性質を見いだし,これらの図形の構成の仕方について考える。

 そして,見いだした性質を基に,既習の正方形,長方形を捉え直すことをねらいにしている。

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 さらに,これらの図形の性質が見いだされると,それらの性質間の関係を考察することが次の問題となる。

 平行四辺形になるための条件など,「AならばBである」ことを証明することは,中学校第2学年において指導される。

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 なお,〔用語・記号〕では,平行,垂直,対角線という用語を示している。

 これらの用語を用いて説明したり,表現したりできるようにすることが大切である。

 
 

 2本の直線の平行については,「二つの直線がどこまでいっても交わらないとき,この二つの直線は平行である」と約束することができる。

 しかし「どこまでいっても」という表現では,実際に操作で確かめることができない。

 そこで,はじめに垂直の関係について約束し,その上で,平行の関係について約束する。

 次の2点が理解できるようにする。

@ 二つの直線が直角に交わっているとき,この二つの直線は垂直であるという。

A 一つの直線に垂直な二つの直線があるとき,この二つの直線は平行であるという。

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 そして,Aの約束を基に,平行な二直線には,「平行な二つの直線は,どこまでいっても交わらない」「平行な二つの直線の幅は,どこでも等しい」といった性質があることを理解する。

 ここで,垂直とは二直線の位置関係を表すものであり,形としての直角とは異なることに注意する。

 さらに,日常生活の中には,平行な二直線や,垂直な二直線が数多く見いだせることを知る。

 
 

 直線の位置関係や辺の長さに着目することで,平行四辺形,ひし形,台形について知る。

 すなわち,向かい合った二組の辺が平行な四角形を平行四辺形といい,四つの辺の長さが等しい四角形をひし形といい,向かい合った一組の辺が平行な四角形を台形という。

 こうした四角形の名称を知り,図形の置き方をいろいろと変えても,その図形の名称が判断できるようにする。

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 そして,各々の四角形の性質について理解できるようにする。

 平行四辺形には,向かい合う辺の長さが等しい,向かい合う角の大きさが等しいなどの性質がある。

 ひし形には,二組の向かい合う角がそれぞれ等しいという性質がある。

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 さらに,対角線の意味と用語について指導する。四角形の対角線とは,向かい合う頂点を結んでできる直線である。

 対角線に関わる図形の性質として,平行四辺形には,2本の対角線が互いに二等分されるという性質があること,ひし形には,2本の対角線が互いに垂直に交わることや,互いに二等分されていることにも着目できるようにする。

 さらに,ひし形については,平行四辺形の性質を全て備えている四角形であることにも着目できるようにする。

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 また,「内容の取扱い」の(7)で「平行四辺形,ひし形,台形で平面を敷き詰めるなどの操作的な活動を重視するよう配慮するものとする」と示している。

 平行四辺形,ひし形,台形によって平面を敷き詰めることができることを確かめ,敷き詰めた図形の中にほかの図形を認めたり,平行線の性質に気付いたりするなど,図形についての見方や感覚を豊かにする。

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 例えば,台形アイウエによって平面を敷き詰めると上のようになり,台形で平面を敷き詰められることが確かめられる。

 そして,その中に平行四辺形を認めることができる。

 また,角アと角イの大きさを合わせたり,角ウと角エの大きさを合わせたりすると,どちらも180度であることに気付くことができる。

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 さらに,敷き詰めた形に色を塗ったり,それに様々なデザインを工夫したりすることにより,図形の美しさに触れていくことができる。

 
 

 図形を構成する要素として辺を取り上げ,それを直線として捉えることにより,二直線の位置関係が問題となる。

 そして,二直線の位置関係には,交わる場合と交わらない場合があること,さらに,交わる場合においては,特殊な場合として90度で交わる場合があることが分かる。

 このような考察により,二直線の関係には,特殊な場合として,垂直に交わる場合と,交わることのない平行の場合があることが引き出される。

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 そして,平行といった直線の位置関係に焦点化したとき,平行が何組あるかに着目することで,図形を分類することが可能になる。

 四角形を取り上げると,一組しかない四角形(台形)と二組ある四角形(平行四辺形,ひし形)に分類することができる。

 さらに,図形を構成する要素である辺の長さや角の大きさに着目することで,さらなる図形の性質が見いだされる。

 辺の長さに着目すると,平行な二組の辺の長さはそれぞれ等しいこと(平行四辺形の性質),さらに,その特殊な場合として,二組の平行な辺の長さが全て等しい場合(ひし形)のあることが分かる。

 さらに,角の大きさや,対角線の長さや位置関係を考えることで,さらなる性質が引き出される。

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 そして,見いだされた性質を基にすると,図形を作図することが可能になるとともに,身の回りから,平行四辺形,ひし形,台形の形をした具体物を見付けることができる。

 
 

 平行が何組あるかという視点から既習の四角形について振り返り,統合的にみることが肝要である。

 正方形,長方形は,二組の向かい合う辺が平行であることから,平行四辺形と同じ性質をもっている図形として捉え直すことができる。

 また,辺の長さも加味して考察すると,正方形は,二組の平行な辺の長さが全て等しいことから,ひし形と同じ性質をもっている図形として捉え直すことができる。

 さらに,対角線の長さや位置関係に着目することで,正方形,長方形を捉え直すこともできる。

 
 
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