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(4) 平面図形の面積に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 面積の単位
   (平方センチメートル(cm2),
    平方メートル(u),
    平方キロメートル(km2))
   について知ること。

(イ) 正方形及び長方形の面積の計算による求め方について理解すること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 面積の単位や図形を構成する要素に着目し,図形の面積の求め方を考えるとともに,面積の単位とこれまでに学習した単位との関係を考察すること。

(8) 内容の「B図形」の(4)のアの(ア)については,アール(a),ヘクタール(ha)の単位についても触れるものとする。

 第4学年の面積の学習は,第1学年における広さの学習や長さ,かさ,重さなど,量の比較や測定の経験を踏まえ,正方形や長方形といった図形の面積について,単位と測定の意味を理解し,面積の単位や図形を構成する要素に着目して面積の求め方について考え,それらを用いることができるようにすることを主なねらいとしている。

 なお,日常語としての広い,狭いという言葉は,「道幅が広い(狭い)」などと用いられることがあり,必ずしも面積の大小を意味している訳ではないことに注意する。

 また,今までに指導してきた量は,計器を用いて測定してきた。

 しかし面積は,計器を用いて測定するのではなく,辺の長さなどを用いて計算によって求めることに注意する。

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 第4学年の面積の学習においては,図形の中でも特に,正方形や長方形の面積の求め方を考えるとともに,面積の求め方を振り返り,効率的・能率的な求め方を探求し,公式として導き,導いた公式を活用する資質・能力が育成されることが大切である。

 さらには,面積の単位間の関係についても振り返り,面積の大きさを実感をもって理解できるようにすることも大切である。

 
 

 面積の測定については,長さやかさなどの量についての測定の学習と同様に,その大きさを数値化して表すことのよさに気付くことができるようにする。

 そして,単位とする大きさを決めると,その幾つ分として面積の大きさが数値化できることを理解できるようにすることが大切である。

 単位とする大きさとしては,例えば,一辺の長さが1pの正方形の面積などを用いると便利であることについて理解できるようにすることが大切である。

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 面積の単位としては,平方センチメートル(cm2)のほかに,平方メートル(u),平方キロメートル(km2)などを指導する。

 その際,面積を求める対象の大きさに応じて,単位間の関係に注意しながら単位の大きさを柔軟に選択し,適切な単位を用いることができるようにすることが大切である。

 例えば,教室や体育館などの面積を表すとき,平方センチメートルを単位とすると数値が大きくなり扱いにくくなるので,平方メートルなどの別の単位を用いるとよいことなどである。

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 「内容の取扱い」の(8)では,この内容に関わって「アール(a),ヘクタール(ha)の単位についても触れるものとする」と示されている。

 アール(a),ヘクタール(ha)という単位は,社会科など他教科等の学習とも関連する。

 ここでは,田や畑などの面積を表す場合に平方メートル(u)を単位とすると数値が大きくなるので,アール(a),ヘクタール(ha)の単位を使うと便利であることが分かるよう配慮する。

 その際,単位面積を正方形によって表すとき,平方メートルや平方キロメートルとアールやヘクタールの単位間の関係についても触れるものとする。

 
 

 右のような図形の面積は
 単位正方形の数を数えると
 求めることができる。

 ここで,
 左上の単位正方形を
 左下に移動させると
 全体が長方形になるが,
 そのとき面積は,
 辺の長さを測るだけで
 計算で求められる。

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 例えば,
 右の図のような長方形の面積を
 求めるには,
 面積の意味を考えれば,
 単位の正方形を敷き詰めて
 その個数を求めればよい。

 単位正方形が
 規則正しく並んでいるので,
 乗法を用いると,
 手際よく個数を求めることができる。

 このとき縦や横の長さを,
 1pを単位として測っておけば,
 その数値について
 (縦)×(横)(又は(横)×(縦))
 の計算をした結果が,
 1cm2を単位とした大きさとして
 表されることになる。

 このことより,

 (長方形の面積)
  =(縦)×(横)(又は(横)×(縦))

 という公式について
 理解できるようにする。

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 また,国際的な調査(例えばTIMSS調査など)の結果から,長方形の周りの長さを問うているのに面積を答えるという誤りが見られることが報告されている。

 この公式と具体的な図の併用で,長方形の辺の長さが2倍や3倍になるときの面積の変化を考えさせるなどして,式の観点からの理解を深めたり,図形の周りの長さと面積との混同を防いだりすることも大切である。

 
 

 第4学年では,長方形や正方形,及びそれらを組み合わせた図形の面積を求める際,単位となる正方形を敷き詰めるのではなく計算によって面積を求める方法について考えることができるようにすることが大切である。

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 その際,正方形や長方形では,辺にそって単位正方形が規則正しく並んでいるので,乗法を用いると,その個数を手際よく求めることができるよさに気付き,計算を用いて面積を求めたり,

 (長方形の面積)
  =(縦)×(横)(又は(横)×(縦))

 という公式を見いだしたりすることで,これまでに学習してきた乗法の一層の理解を深めるといった既習を基に統合的・発展的に考察する態度も養われる。

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 長方形を組み合わせた図形とは,L字型,凹字型などの図形のことである。

 例えば,左下のようなL字型の図形の面積の求め方を考えるとは,次のようなことである。

 この形の面積を求める際には,
 (あ)のように
 具体的に方眼を引いて考え,
 「1cm2 が幾つあるか数えたら
  24cm2になる」
 と説明できる。

 これは面積の意味に基づく説明である。

 また,
 (い)のように三つの長方形に分けたり,
 (う)のように二つの長方形に分けたり
 して,
 それぞれの長方形の面積を計算により
 求めてから合わせる
 と考えることもできる。

 さらに,
 (え)のように,
 大きな長方形の面積から
 斜線部分の長方形の面積を引く
 と考えることもできる。

 
 

 単位面積を正方形によって表すとき,次のような関係が成り立っていることに気付かせ,平方メートルや平方キロメートルとアールやヘクタールの単位の関連について考察できるようにする。

 すなわち,長さの単位間の関係を基に,面積の単位間の関係を考察することで,その違いと理由を理解できるようにすることが大切である。

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 さらには,このような思考力,判断力,表現力が育成される学習を充実させることで,面積の大きさについての感覚を培えるよう,測定の経験を豊かにすることも大切である。

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 計算の上では,1u=10000cm2 であると分かっていても,長さの単位換算での経験から類推して,1u=100cm2 と誤ってしまう児童もいる。

 これは100cm2 という面積の大きさについての感覚が身につき,1uという面積の意味が理解できていれば防げることである。

 そこで,身の回りにある正方形や長方形の面積を実際に調べる活動が有効になる。

 調べる対象は,児童の使っている折り紙,机の面,教室の床,花壇,体育館などである。

 活動に取り組むときは,児童の実態に合わせて目的意識をもたせ,例えば教室と図書室の面積の違いを調べることなどを通して,面積の学習が日常生活に役立つものであることを実感させるようにする。

 
 
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