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(1) データの収集とその分析に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) データを二つの観点から分類整理する方法を知ること。

(イ) 折れ線グラフの特徴とその用い方を理解すること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 目的に応じてデータを集めて分類整理し,データの特徴や傾向に着目し,問題を解決するために適切なグラフを選択して判断し,その結論について考察すること。

(内容の取扱い)

(9) 内容の「Dデータの活用」の(1)のアの(ア)については,資料を調べるときに,落ちや重なりがないようにすることを取り扱うものとする。

(10) 内容の「Dデータの活用」の(1)のアの(イ)については,複数系列のグラフや組み合わせたグラフにも触れるものとする。

 第3学年までは,文字情報として得られる「質的データ」や数値情報として得られる「量的データ」について簡単な表に分類整理することや,棒グラフなどを用いて大小を比べることを学んできている。

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 第4学年では,目的に応じてデータを集めて分類整理し,特徴や傾向に着目して,適切なグラフを選択して表すことで判断したり,結論について考察したりすることができるようになることをねらいとしている。

 また,その過程でデータを二つの観点から分類整理した二次元の表に表して分析したり,時間変化に沿って得られた「時系列データ」について折れ線グラフに表して,時間的変化を分析したりできるようになることをねらいとしている。

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 この内容は,第5学年での円グラフや帯グラフの学習の素地となるものである。

 また,折れ線グラフに表したり読み取ったりすることは関数的な関係を捉えることにも通じるため「変化と関係」の学習にも関連する。

 
 

 この学年では,日時,曜日,時間や場所などの観点から項目を二つ選び,分類整理して表を用いて表したり,そうした表を読んだりすることができるようにすることをねらいとしている。

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 その際,データを集めて分類整理するに当たって,目的に応じ,ある観点から起こり得る場合を分類し,項目を決めることが必要である。

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 また,A,Bの二つの観点からデータを調べるとき,Aからみてデータは「性質aをもっている」と「性質aをもっていない」の場合が考えられ,またBからみてデータは「性質bをもっている」と「性質bをもっていない」の場合が考えられる。

 そのとき,これらを組み合わせると,データについてA,B二つの観点からみて,四つの場合が考えられる。

 このように,二つの観点から,物事を分類整理したり,論理的に起こり得る場合を調べたり,落ちや重なりがないように考えたりすることもできるようにする。

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 なお,「内容の取扱い」の(9)では,「資料を調べるときに,落ちや重なりがないようにすることを取り扱うものとする」と示している。

 ここで取り扱う落ちや重なりがないようにすることについては,データの読み飛ばしのないように順序よく数えること,あらかじめ起こり得る場合を整理すること,重複して数えることがないように数えたデータに色や印を付けることなど,数え間違いをなくす方法を具体的に指導する必要がある。

 その際,正しい結果が得られるように間違いをなくしていこうとする態度を養うよう配慮する必要がある。

 
 

 「C変化と関係」領域では,関数的な関係を表すことに関して折れ線グラフを指導している。

 「Dデータの活用」領域においては,時間の経過に伴って,データがどのように変化するかを表すために折れ線グラフを用いている。

 一般的には横軸に時間経過,縦軸にデータの値を記入し,各時間に相当する大きさを点で表し,それを折れ線で結んで変化を表す。

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 指導に当たっては,折れ線グラフについて,紙面の大きさや目的に応じて,適切な一目盛りの大きさやグラフ全体の大きさを決めることができるようにする。

 その際,同じグラフであっても,折れ線グラフの縦軸の幅を変えることなどによって,見え方が異なることに気付かせるようにする。

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 また,「内容の取扱い」の(10)では,「複数系列のグラフや組み合わせたグラフにも触れるものとする」と示している。

 ここで取り扱う複数系列のグラフや組み合わせたグラフについては,例えば,気温の変化を折れ線グラフで表し,太陽のかげの長さを棒グラフで表したり,二つの地域の気温の変化を一つのグラフ用紙に表したりするなどである。

 このように二つの種類のグラフを組み合わせたものについても扱い,特徴を読み取れるようにする。

 
 

 目的に応じてデータを集めて分類整理するとは,解決すべき問題や調べてみたいことがらに関して適したデータを収集し分類整理することである。

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 まず,児童にとって身近な興味や気付きなどから,判断や考察したい事象を問題場面として設定できるようにする。

 例えば「図書室にある怖い話の本は,人気があるから借りにくい。」という気付きがあり,そこから「怖い話の本は,どんな人たちがよく借りているのか。」というような問題場面を設定したとする。

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 次に,この問題を解決するという目的でデータを集めることになる。

 その際,結果の見通しを立てることで観点がはっきりし,分類整理できるようになる。

 先の例では「怖い話の本は文字が多いので,主に高学年の児童に人気があるのだろう。」,「怖い話は,○年生の国語の教科書に出ていたので,○年生がその学習をする時期に借りるのではないか。」というような見通しをもつことで,データを集める観点をはっきりさせると,低学年と高学年など学年別にデータを集める,時期別にデータを集める,という計画が立てられる。

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 そして,アンケートや聞き取り,幾つかの怖い話の本の貸し出しリストなどから,必要とするデータを集め,表などに分類整理することになる。

 
 

 各々の観点で集めたデータを,どのように整理して表せば問題に対する結論を出しやすいかを考える。

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 第3学年までに学習している一次元の表や,絵グラフ,棒グラフだけでなく,二次元の表や折れ線グラフについても知り,それらから適切なグラフや表を選択する。

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 先の例は質的データであり,各々を一次元の表にまとめることで特徴や傾向をつかみ,結論を導くことができるが,二次元の表にまとめると新たな結論も見いだせる。

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 また,グラフに表す場合,この例は時系列データではないので折れ線グラフでなく,棒グラフを用いる方が適当であると判断し,棒グラフを選択することになる。

 一次元の表から棒グラフをかくことや,二次元の表からは複数の棒グラフを組み合わせたグラフをかくことで,その特徴を表すことができる。

 
 

 こうして集めたデータを分類整理し,表やグラフなどに表して導いた結論が,問題の解決にかなうものであるのかどうか,また結論は誤りではないか,ということを考察する。

 結論が誤りかどうかは,データの集め方や他との比較を考えることで考察しやすくなる。

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 例えば先の例では,怖い本だけでなく図書室の利用者数に男女のかたよりがあるのではないか,といったことや,ほかの本と比べずに人気があるかどうか判断してよいか,といったようなことである。

 
 
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