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(2) 異種の二つの量の割合として捉えられる数量に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 速さなど単位量当たりの大きさの意味及び表し方について理解し,それを求めること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 異種の二つの量の割合として捉えられる数量の関係に着目し,目的に応じて大きさを比べたり表現したりする方法を考察し,それらを日常生活に生かすこと。

 第5学年では,これまでに学習した量のほかに,異種の二つの量の割合として捉えられる数量があることを学習する。

 異種の二つの量の割合として捉えられる数量の比べ方や表し方について理解し,その数量を求めるとともに,目的に応じて大きさを比べたり表現したりする方法を日常生活に生かすことができるようにすることを主なねらいとしている。

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 第5学年の速さなど単位量当たりの大きさの学習においては,基本的な量の性質をもっていない量を比較するのは初めてであるので,異種の二つの量の割合として捉えられる量を比べることの意味を十分理解できるようにすることが大切である。

 この意味の理解に基づいて,目的に応じて速さや人口密度などを考察する方法を工夫し,日常の事象の解決に活用することができる資質・能力の育成を目指すことが大切である。

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 ここで育成される資質・能力は,児童の生活に生かされるだけでなく,小学校のこれからの算数の学習や,中学校の理科における考察にも生かされるものとなる。

 
 

 児童は日常生活において,人の走る速さや乗り物が移動する速さなどを,速い,遅いなどと表現して捉える経験をしてきている。

 速さを量として表すには,移動する長さと,移動にかかる時間という二つの量が必要になる。

 速さを,単位時間当たりに移動する長さとして捉えると,(速さ)=(長さ)÷(時間)として表すことができる。

 例えば,時速60qの速さとは,1時間に60qの長さを移動する速さということになる。

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 一方で日常生活などでは,速さを,一定の長さを移動するのにかかる時間として捉えることがある。

 例えば100m走などの競技では,100mを走るのにかかる時間によって速さを表している。

 時間が短いほど,速さが速いということになる。

 速さを,単位時間当たりに移動する長さとして捉えると,速いほど大きな数値が対応することになる。

 また,速さを,一定の長さを移動するのにかかる時間として捉えると,速いほど小さな数値が対応することになる。

 一般に速さについては速いほど大きな数値を対応させた方が都合がよいため,時間を単位量として,単位時間当たりの長さで比べることが多い。

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 二つの量の割合で捉えられる数量を比べるとき,三つ以上のものを比べたり,いつでも比べられるようにしたりするためには,単位量当たりの大きさを用いて比べるとより能率的に比べられることを理解し,単位量当たりの大きさを用いて比べることができるようにすることが大切である。

 例えば,米の収量を比較するのに,1a 当たりの収量で比べたり,人口の疎密を比べるのに1km2 当たりの人口,すなわち人口密度を用いたりすることが,これに当たる。

 
 

 速さなど単位量当たりの大きさの学習においては,まず,一つの量だけでは比較することができない事象に着目することが大切である。

 次に,そのような量は,どのようにすると比べることができるかを考えたり,数値化することができるかを考えたりすることが大切である。

 さらに,例えば速さであれば,単位時間当たりに移動する長さとして捉えたり,一定の長さを移動するのにかかる時間として捉えたりするなど,目的に応じた処理の仕方を工夫することが大切である。

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 具体的には,次のような指導を通して,異種の二つの量の割合として捉えられる量を比べることの意味を十分理解させるように指導する。

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 混み具合のように,一つの量,例えば人数だけに着目したのでは比べることができないし,単位となる数量が幾つ分あるかを数えるという測定の考えでも数値化することができない量があることを理解できるようにする。

 その場合,具体的な場面を用意して,長さや重さのような量と対比させながら,そのような量があることをできるだけ児童自身が見いだせるようにすることが大切である。

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 例えば,運動場が混み合っているかどうかは,運動場の面積と運動場にいる児童の人数とを組み合わせなければ決められないことなどに,長さ比べや重さ比べと対比させながら気付かせることが考えられる。

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 次に,このような量は,どのようにすると比べることができるか,どのようにして数値化したらよいかについて考えられるようにする。

 一般には,二つの量が関わっているので,その一方を揃えてほかの量で比較する方法が用いられる。

 これらの考えを用いるときには,二つの数量の間に比例関係があるという前提がある。

 また,平均の考えなども前提にしている。

 そこで指導に当たっては,これらのことについても着目させ,その意味を理解させていくような配慮が必要である。

 例えば,混み具合を比べる場合,人数と面積の二つの量が関わっている。

 このとき,人数を2倍,3倍,4倍,…にしたとき,面積も2倍,3倍,4倍,…すれば混み具合が変わらないことを用いて,比較するときには,どちらか一方の量,例えば面積を揃えて,もう一方の量の人数の大小で比べると比べやすいことに気付かせる。

 つまり10uの部屋に7人いる場合と15uの部屋に10人いる場合について混み具合を比べる際,30uに揃えるとそれぞれ21人と20人になるが,このように面積を揃えて人数で比べることが考えられる。

 
 
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