cosnavi.jp

(1) 平面図形に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

--------------------------------

ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 縮図や拡大図について理解すること。

(イ) 対称な図形について理解すること。

--------------------------------

イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 図形を構成する要素及び図形間の関係に着目し,構成の仕方を考察したり図形の性質を見いだしたりするとともに,その性質を基に既習の図形を捉え直したり日常生活に生かしたりすること。

〔用語・記号〕

  線対称 点対称 
  対称の軸 対称の中心

 第5学年では,図形の合同については,図形間の関係に着目し,与えられた図形と合同な図形を構成する活動を通して,二つの図形が合同になることについて考察してきた。

--------------------------------

 第6学年では,縮図や拡大図,並びに,図形の対称性の見方を指導する。

--------------------------------

 縮図や拡大図については,二つの図形間の関係に着目し,合同についての考察を基に,二つの図形が拡大,縮小の関係にあるのかについて考察する。

--------------------------------

 また,対称な図形については,図形を構成する要素どうしの関係に着目し,対称性といった観点から図形の性質を考察していくことをねらいにしている。

 さらに,対称性といった観点から,既習の図形を捉え直すとともに,その性質を日常生活に生かすことをねらいにしている。

 対称性については,既に低学年から図形を取り扱う際に,例えば,第3学年で二等辺三角形は底辺の垂直二等分線を折り目にして折り重ねたときにぴったり重なるなど,具体的な操作に関連して着目してきている。

 第6学年では,観察や構成,作図などの活動を通して,均整のとれた美しさ,安定性など,図形のもつ美しさにも着目できるように指導する。

 上記のような観点から図形の理解を深め,図形に対する感覚を豊かにすることができるようにする。

--------------------------------

 なお,〔用語・記号〕では,線対称,点対称,対称の軸,対称の中心という用語を示している。

 これらの用語を用いて説明したり,表現したりできるようにすることが大切である。

 
 

 二つの図形が形も大きさも同じであるときに合同という。

 縮図や拡大図は,大きさを問題にしないで,形が同じであるかどうかの観点から図形を捉えたものである。

 互いに縮図や拡大図の関係にある図形については,その対応している角の大きさは全て等しく,対応している辺の長さの比はどこでも一定である。

--------------------------------

 実際に,縮図や拡大図をかくに当たっては,次の図のように方眼の縦,横の両方の向きに同じ割合で縮小,拡大したものを用いる場合や,一つの頂点に集まる辺や対角線の長さの比を一定にしてかく場合がある。

 このような縮図や拡大図の意味や特徴について,作図することを通して理解できるようにする。

★↑画像をクリックすると拡大します!

 
 

 対称性については,一つの図形について,線対称,点対称の二つの観点から考察できることを理解する。

--------------------------------

 線対称な図形とは,1本の直線を折り目として折ったとき,ぴったり重なる図形をさす。

 そのとき,対応する点を結ぶ線分は,全て折り目にした直線によって垂直に二等分される。

 この直線を対称の軸という。

--------------------------------

 点対称な図形とは,一つの点Oを中心にして180度回転したときに重なり合う図形である。

 そのとき,対応する点を結ぶ線分は全て,中心にした点Oを通り,その中心によって二等分される。

 この中心のことを対称の中心という。

--------------------------------

 このような線対称,点対称の意味について,観察や構成,作図などの活動を通して理解できるようにし,線対称な図形,点対称な図形,線対称かつ点対称な図形を弁別するなどの活動を通して,図形の見方を深めることが大切である。

 
 

 第5学年では,二つの図形の関係について,辺の長さ,角の大きさが全て同じになる合同について学習してきた。

 第6学年では,大きさは異なるが,形が同じに見える図形について考察する。

 このような形が同じ二つの図形において,構成する要素の関係はどうなっているかを調べることになる。

 角の大きさに着目すると,二つの図形では全ての角の大きさが一致していることが分かるが,辺の長さに着目すると,長さは一致していないことが分かる。

 ここで,「同じ」をどのように捉え直すかが重要な論点となる。

 線分の長さの比に着目し,それが同じかどうかによって,同じ形かどうかを取り決めすることになる。

 そして,対応している角の大きさが全て等しく,対応している辺の長さの比がどこでも一定であることを見いだしていく。

 そしてこれを活用することで,縮図や拡大図をかくことが可能になる。

 
 

 図形の性質を調べるには,その図形を構成する要素に着目し,それらの関係を考察していくことになる。

 第6学年では,辺の長さや角の大きさの相等関係について考察し,図形の性質を見いだしていくことになる。

--------------------------------

 例えば,ある直線に関して,左右両側が同じに見える図形がある。

 これを確かめるには,一本の直線を折り目にして二つに折ってみて,折り目の両側の形がぴったり重なるかどうかを確かめればよい。

 この行為は,図形を構成する要素に着目すると,一本の直線に対して両側にある,対応する点,対応する辺の長さ,対応する角の大きさがぴったり重なり合っていること,言い換えると合同になっていることを意味する。

 このように,一本の直線に対して両側にある,対応する点,対応する辺の長さ,対応する角の大きさが同じであるかどうかに着目することは,図形の性質(線対称)を見いだすための一つの着眼点となる。

--------------------------------

 また,左右両側が同じに見えるのに,一本の直線を折り目にして二つに折ってみても,重ならない図形がある。

 このような図形の中には,直線で折るのではなく,ある1点を中心に180度回転させてみることで,点,辺の長さ,角の大きさがぴったり重なり合う図形がある。

 このような図形では,ある1点を中心に180度回転させたとき,対応する点,対応する辺の長さ,対応する角の大きさが同じであるかどうかに着目することが,図形の性質(点対称)を見いだすための一つの着眼点となる。

--------------------------------

 この線対称,点対称の性質を活用することで,線対称,点対称な図形を作図することが可能になる。

 
 

 対称性については,既習の三角形,四角形,さらには,正多角形について,線対称な図形,点対称な図形,線対称かつ点対称な図形を弁別し,既習の図形を対称性といった観点から捉え直すことが大切である。

 例えば,線対称という観点から三角形をみると,二等辺三角形と正三角形を線対称な図形と捉えることができる。

 また,点対称という観点から四角形をみると,平行四辺形,ひし形,長方形,正方形を点対称な図形と捉えることができる。

 
 

 縮図や拡大図においては,日常生活にも活用されており,どのようなところで,どのように活用できるかを探ることが大切である。

 そして,縮図や拡大図では,対応する角の大きさが全て等しく,対応する辺の長さの比がどこでも一定であることを活用することで,日常生活の問題解決に生かしていけるようにする。

--------------------------------

 例えば,縮図や拡大図が,コピー機,地図,設計図,顕微鏡による像,写真,映画など,日常生活の中でいろいろと活用されていることに着目させたり,身の回りに見られる合同な図形が敷き詰められた床や壁などの模様から縮図や拡大図を見付けたりさせる。

 さらに,縮図や拡大図の考え方を活用する場面として,木の高さのように測定しにくい部分を測定しやすい影の長さを測って求めさせたり,比との関連で,地図上で1:100 とあるのは地図上の1pが実際の1mを表していることから,地図上の長さから実際の長さを計算で求めさせたりする活動を通して,進んで生活に生かそうとする態度が育成されるようにする。

 例えば,学校のプールの図と縮尺を基にして,実際のプールの長さを計算で求める活動がある。

--------------------------------

 対称性については,身の回りから対称な図形を見付ける活動を通して,図形のもつ美しさや,日常生活に対称な形が用いられていることを実感的に理解できるようにすることをねらいとしている。

 対称な図形については,敷き詰められた図形や敷き詰められた模様などを通して,整った形の美しさとして日常生活でも見付けることができる。

 また,対称な図形は,植物や動物,装飾品,模様,地図記号や都道府県のマークなど,身の回りのいたるところで見られるので,それらを見付ける活動を大切にしていくようにする。

 
 
→ 小学校算数編 目次
→ 中学校数学編 目次
→ 小学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ