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(2) 二つの数量の関係に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 比の意味や表し方を理解し,数量の関係を比で表したり,等しい比をつくったりすること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 日常の事象における数量の関係に着目し,図や式などを用いて数量の関係の比べ方を考察し,それを日常生活に生かすこと。

〔用語・記号〕 比の値 :

 第5学年では,ある二つの数量の関係と別の二つの数量の関係とを比べる場合に割合を用いる場合があることや百分率について理解し,日常の事象を割合で捉え,図や式などを用いて,二つの数量の関係どうしの比べ方を考察し,日常生活に生かすことを指導してきた。

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 第6学年では,比の意味や表し方を理解するとともに,図や式などを用いて数量の関係の比べ方を考え,それを日常生活に生かす力を更に伸ばしていくことをねらいとしている。

 また,日常の事象を,目的に応じて比で捉えることやその処理のよさを感じて,それらを学習や生活に生かそうとする態度を養うことも大切である。

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 ここで育成される資質・能力は,中学校における「数と式」領域,「関数」領域などでの考察に生かされるものである。

 
 

 二つの数量の大きさを比較しその割合を表す場合に,どちらか一方を基準量とすることなく,簡単な整数などの組を用いて表す方法が比である。

 第5学年までに,倍や割合に関する指導,分数の指導,比例関係に関する指導などの中で,比の素地を指導してきている。

 第6学年では,これらの上に,a:b という比の表し方を指導する。

 比の相等(等しい比)及びそれらの意味を明らかにし,比について理解できるようにする。

 これに関連し,a/b をa:b の比の値ということや,比の値を用いると比の相等(等しい比)を確かめることができることを理解できるようにする。

 このようなことから,数量の関係を比で表したり,等しい比をつくったりすることができるようにする。

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 指導に当たっては,具体的な場面によって,比の相等とそれらの意味について理解させる。

 例えば,同じ大きさのコップで3杯と5杯の2種類の液体を混ぜ合わせた液体を作ったとき,これと同じ濃さの液体を別に作ることを考える。

 そこでもう一回同じ大きさのコップで3杯と5杯の2種類の液体を混ぜ合わせた液体を作り,もとの液体と合わせると,同じ濃さの液体を合わせたから同じ濃さになる。

 このとき6杯と10杯の液体を混ぜ合わせたことになることから,3杯と5杯の割合で混ぜても,6杯と10杯の割合で混ぜても濃さは等しくなる。

 このようなことから,二つの数量の間には比例関係があることや,3:5は,6:10,9:15 などや 1.5:2.5 などと等しいことを理解させる。

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 また,比は,比例,反比例や縮図・拡大図などと深く関連するものであるので,その指導の順序や取扱いについては,相互に理解を深めることができるよう配慮する必要がある。

 
 

 第5学年までに,日常の事象について,二つの数量の関係どうしを比べる際に,どちらか一方を基準としたときに,基準量,比較量,割合という数量の関係に着目することを指導してきた。

 第6学年においては,比べるために必要となる二つの数量の関係を,比例の関係を前提に,割合でみてよいかを判断する。

 そして,どちらか一方を基準にすることなく,簡単な整数の組としての二つの数量の関係に着目する。

 これは,例えば,「水3の,凝縮液2に対する割合」で作ったジュースの濃さは,凝縮液の量を2倍,3倍,…としたときに,水の量も2倍,3倍,…にすれば濃さは変わらないと考え,それらを同じ関係とみて,3:2のように表すことである。

 「水は凝縮液の1.5倍の量」のように,一方を基準として二つの数量の関係を捉えることもできるが,整数の組で捉えた方が,数量の関係が見やすかったり,処理がしやすかったりすることも多い。

 
 

 比では,上述したように,二つの数量の割合を一つの数で表すのではなく,簡単な二つの整数の組を用いて表す。

 そして,表したその二つの数量についての比例関係がその背後にあることを使って,数量の関係を考察していくことになる。

 すなわち,2:3というのは,4:6,6:9,…などを同じ関係としてみていることを表しているという考えによって,数量の関係を比べたり,知りたい数量の大きさを求めたりしていく。

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 数量の関係を考察する上では,関係を図や式などを用いて表したり,それらを読み取ったりすることが有効である。

 これまでの学年と同様に,目的に応じて,図や式を関連付けたり用いたりしながら,数量の関係を考察し,結論を導いていく。

 また,考察によって得られた結果を,日常の事象に戻して,その意味を考え,必要に応じて,考察の方法や表現方法を見直すことが大切である。

 さらに,これまで学習してきた割合による比べ方の考察と比較することで,比を用いて物事を処理することの特徴やよさを振り返ることも大切である。

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 指導に当たっては,児童が考察において書き表す様々な図や式を取り上げ,それらを相互に読み取ったり,より適切なものへと改善していったりすることも大切である。

 
 

 比は,日常生活のいろいろな場面で用いられる。

 例えば,二つの液量を混合したり,二つの長さを組み合わせたりするなど,部分と部分の関係どうしを考察する場面,二つの数量を配分する場面で,数量の関係を比で表現し,等しい比をつくるなどして考察した結果を活用して,課題を解決する。

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 日常生活において,比によって数量の関係を表現している事象を探す活動を通して,比による数量の関係への着目の仕方に親しむことも大切である。

 
 
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