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(2) 起こり得る場合に関わる数学的活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

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ア 次のような知識及び技能を身に付けること。

(ア) 起こり得る場合を順序よく整理するための図や表などの用い方を知ること。

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イ 次のような思考力,判断力,表現力等を身に付けること。

(ア) 事象の特徴に着目し,順序よく整理する観点を決めて,落ちや重なりなく調べる方法を考察すること。

 第5学年までに,表などを用いて分類整理して表したり読み取ったりすることを学習してきている。

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 第6学年では,起こり得る全ての場合を適切な観点から分類整理して,順序よく列挙できるようにすることをねらいとしている。

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 ここで育成される資質・能力は,中学校第2学年で学習する確率などの考察につながっていくものである。

 
 

 第6学年では,起こり得る場合を順序よく整理して調べることができるようにする。

 起こり得る場合を順序よく整理して調べるとは,思いつくままに列挙していたのでは落ちや重なりが生じるような順序や組み合わせなどの事象について,規則に従って正しく並べたり,整理して見やすくしたりして,誤りなく全ての場合を明らかにすることを指している。

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 例えば,4人が一列に並ぶ場合を考えるときには,特定のAに着目して,まずAが先頭に立つ場合を考える。

 2番目の位置にBが並ぶとすれば,3番目はCかDになる。次に,2番目の位置にCが並ぶ場合,Dが並ぶ場合と考えを進めていく。

 そうすると,Aが先頭に立つ場合は,次の図のように6通りであることを明らかにすることができる。

 Aのほかにも,B,C,Dが先頭に立つことができることから,起こり得る場合を図にかいて調べると24通りであることが分かる。

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 また,四つのチームの対戦の組み合わせを考えるときには,次の図や表に示すような方法で,全ての場合を落ちや重なりがないように調べていくことができる。

 このように,図や表を適切に用いることができるようにする。

 
 

 起こり得る場合を考える際に,落ちや重なりなく調べるには,観点を決めて考えていく。観点を決めるとは,あるものを固定して考えるなどのことである。

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 例えば,大中小3種類のコインの裏表の出方の場合を調べる場面があるとする。

 (大コインが表,中コインが表,小コインが表)の場合を考えたのち,大コインは表のまま変えずに,中コインと小コインの場合のみ考えていくようなことである。

 すると(中コイン表,小コイン裏)(中コイン裏,小コイン表)(中コイン裏,小コイン裏)の四つの場合を見いだすことができ,これ以外の場合はないことが分かる。

 
 

 落ちや重なりなく調べるためには,図や表などに整理して表すことが有効に働く。

 順序よく調べていこうとしても,場合が多かったり複雑だったりすると,落ちや重なりが発生する可能性が増すことになる。

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 先のコインの例で考えてみる。

 (大コイン表,…)などと書いて挙げていくより,記号などを使って表を〇,裏を×で表すことを考えたり,大コイン,中コイン,小コインをそれぞれ位置で(左中右)で表すなどして簡潔に示すことができる。

 (大コイン表,中コイン表,小コイン裏)を(〇〇×)と表すようなことである。

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 落ちや重なりがないように考えていくことは,思考や表現の方法を工夫することや,筋道を立てて考えていくことにつながるものである。

 多様な考えに触れ,それぞれのよさに気付くようにしていく。

 
 
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