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小学校 学習指導要領 【解説】 |
算数編 |
第3章 各学年の内容 |
第6節 第6学年の目標及び内容 |
2 第6学年の内容 |
〔数学的活動〕 |
小学校 学習指導要領 【本文】 |
(1) 内容の「A数と計算」,「B図形」,「C変化と関係」及び「Dデータの活用」に示す学習については,次のような数学的活動に取り組むものとする。 ア 日常の事象を数理的に捉え問題を見いだして解決し,解決過程を振り返り,結果や方法を改善したり,日常生活等に生かしたりする活動 イ 算数の学習場面から算数の問題を見いだして解決し,解決過程を振り返り統合的・発展的に考察する活動 ウ 問題解決の過程や結果を,目的に応じて図や式などを用いて数学的に表現し伝え合う活動 |
小学校 学習指導要領 【解説】 |
第5学年までの算数の学習経験を踏まえて,児童が目的意識をもって数学的活動に主体的に取り組み,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身に付けるとともに,数学的な思考力,判断力,表現力等を高め,算数に関わりをもったり,算数を学ぶことの楽しさやよさを実感したりできるようにすることを重視する。 -------------------------------- 日常の事象や算数の学習場面から算数の問題を見いだしたり,その解決に既習事項を活用しながら数,式,図やグラフなどの方法を有効に使うなどして思考したり表現したりできるようにする。 -------------------------------- なお,児童の発達の段階を考慮して,これらの数学的活動の視点は次の中学校第1学年と内容との整合性を図る必要がある。 |
縮図や拡大図を日常生活に利用する活動 〜大きな図や小さな図をかく〜 |
この活動は,「B図形」の(1)の指導における数学的活動であり,形が同じである図形どうしの関係に着目して,縮図や拡大図をかく方法を日常生活に活用することを通して,縮図や拡大図の理解を深め,その有用性を感じることをねらいとしている。 -------------------------------- 例えば,運動会でソーラン節を演技する際にクラスの大漁旗を作ることを計画する場面において,児童は次のような数学的活動を遂行することが考えられる。 -------------------------------- 大漁旗を作ることになり, 「この下絵を旗の布のサイズまで 「どうすれば,この下絵を という目的や問いが生まれる。 -------------------------------- 「コピー機では 「自分たちの手描きで という話し合いから, -------------------------------- これまでの学習を振り返りながら,対応する角の大きさや辺の長さの比に着目する考え方,あるいは,ある1点から対応する頂点への長さの比を等しくする考え方,下絵に描かれた方眼の一辺の長さを旗のサイズに応じて拡大していく考え方など多様な考え方があったことを確認する。 そこで描きたい形によってそれぞれの考え方の長所・短所を考えていくことになる。 そして,どのようにしたら描けるかをクラスで話し合い,みんなで協力しながら大漁旗を描く活動へと結びつけていく。 -------------------------------- 他の例として,第2学年の生活科「町探検」の学習に関連して,6年生が2年生の教室に模造紙数枚分の掲示用の地図をかいてあげる場面がある。 -------------------------------- プリントに示された地図を拡大図にするためにはどうすればよいかを考え,方眼を利用して拡大図をかいた学習を生かし,「模造紙にもマス目があるから,このプリントにも同じようにマス目をかいたら拡大図をかくことができるのではないか」と見通しを立てる。 -------------------------------- 辺の長さの比が等しくなることや,角の大きさは変わらないといった学習内容を用いながらかいていく。 -------------------------------- また,国語や総合的な学習の時間でつくるようなパンフレットやリーフレットに縮図を用いて挿絵をかくといった場合にも,小さい方眼をかき,それを使って縮図をかくような活動も考えられる。 -------------------------------- このように,他教科等の学習も含めて生活場面で縮図や拡大図の学習を生かす活動を設け,そのよさを感じ,進んで生活に生かそうとする態度の育成を目指す。 |
計算の意味を統合的に考察する活動 〜分数の乗法〜 |
この活動は,「A数と計算」の(1)の指導における数学的活動であり,整数の乗法や小数の乗法の意味や計算の方法に着目することで,乗法の意味を拡張したり統合的に捉え直したりすることをねらいとするものである。 -------------------------------- 児童は第5学年において,乗数が小数である場合の乗法について考え,乗法の意味の拡張を経験している。 ここではこれらの経験を踏まえて,乗数が分数の場合について考えていくようにする。 -------------------------------- 例えば,1mの値段が120円のリボンの4/5m分の値段を求めることについて考える場面で,児童は次のような数学的活動を遂行すると考えられる。 -------------------------------- この場面では,120×4/5 と立式したとき「リボンの長さが分数の場合でも値段を求めることができるだろうか」と考えるだろう。 実際,この場合は,1/5m分の値段を求めて4倍すれば値段は求めることができる。 120÷5×4=96 と,96円であることを導き出すだろう。 -------------------------------- このとき「120×4/5 と式を立ててよいのだろうか」という問いをもつことも考えられる。 -------------------------------- 4/5m=0.8m なので,同じリボンが0.8m分の値段を求める場合を振り返り,このことを基に類推して,乗数が分数の場合についても乗法が成り立つことについて説明しようという見通しをもつ。 -------------------------------- 児童は,第5学年で, その際, また,比例関係についても, -------------------------------- そこで,ここでも, 「1m120円のリボンが, とかけ算の意味を確認していくだろう。 -------------------------------- このように,例えば, 「なぜ, 「そもそも乗法とはどういう計算なのか」 などの問いをもって -------------------------------- このような活動を重ねることによって,乗数が整数や小数の場合と乗数が分数の場合とを統合的にみるなどにより,数学的な見方・考え方を豊かで確かなものにしていく。 また,学んだことを振り返って考えようとする態度を養うとともに,類似の事柄をつなげて考えることによって新しい考え方を生み出していこうとする態度を養うようにする。 |
比例の関係を発展的に考察する活動 〜比例〜 |
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この活動は,「C変化と関係」の(1)の指導における数学的活動であり,数学的な見方・考え方を働かせて二つの数量の関係を考察し,乗法の式で表されたほかの場面についても比例であるかどうかを発展的に考えていくことをねらいとしている。 -------------------------------- 例えば,直方体の水そうに水を入れていき,水の量と水の深さの関係を調べる場面において,児童は次のような数学的活動を遂行することが考えられる。
そして, 「表を横にみると, 「表を縦にみて, 「それなら, 「式にすると, -------------------------------- 表から数量の関係を考えていく時にこのように表の数値を横に関連付けて変化の特徴をみたり,縦に関連付けて対応の特徴をみたりすることは,第4学年からの学習を生かす場である。 -------------------------------- 一方,算数の学習で学んだことを振り返り,それを統合的・発展的に捉え直す場を設けていくことも大切である。 例えばここでは,比例関係を表した式を振り返り,既習と関連付けて考えていくことが考えられる。 -------------------------------- 例えば, 「y=0.8×x というような式は, という問いである。 「(円周)=(直径)×3.14 「0.8 でなくても,かけ算でよいなら, 「では, -------------------------------- このようにして, そして, 「私は, 表にすると 「ぼくは, これは, -------------------------------- 第6学年で比例を学習することは,このようにこれまで学習してきたかけ算に関する学習内容が全て比例の関係を表しているという見方で統合的にみることができることにつなげることができるということである。 |
データを批判的に考察した結果を表現し伝え合う活動 〜柱状グラフ〜 |
この活動は,「Dデータの活用」の(1)の指導における数学的活動であり,統計的に問題解決した一連の活動を振り返り,集めたデータや分析や判断の仕方,結論に問題点や誤りはなかったかどうかを検討することができるようにすることをねらいとしている。 -------------------------------- 統計的な問題解決活動においては,データを集める際の対象に偏りがあったり,アンケートの聞き方によって回答結果が歪められてしまったりする場合があり,また分析して見いだされたデータの特徴や傾向についても,観点を変えると異なる特徴や傾向が見いだされてしまうこともある。 そのためデータの収集方法に偏りなどはなかったか,分析の仕方やそこから導き出した結論は本当に妥当なものであるかどうか,振り返って検討する活動が大切である。 -------------------------------- 例えば,1組と2組の2クラスで -------------------------------- それぞれのクラスの児童の夏休みの図書館での本の貸し出し冊数について調査する。 それを一人ひとりそれぞれが何冊読んだのかを示す表にまとめる。 -------------------------------- まず考えられるのは,合計の冊数で比べることである。 しかし,クラスの人数が異なる場合,合計冊数だけでは比べられないので,冊数の平均値を求めてみると,1組は8.2冊で2組は8.6冊であることから,2組の方が読書冊数が多いという結論を出すことができる。 -------------------------------- さらに,「たくさん読んでいる子もいるけど,少ない子も多いよ。」という気付きから,ドットプロットに表してみる。 -------------------------------- 「2組は, 「分布が横に広がりすぎていて, -------------------------------- そこで幾つかずつデータをまとめて度数分布を表す表を作成し,柱状グラフに表してみる。 中央値や最頻値も求めてみるとどちらも1組の方が多くなっていたり,1組は左右対称な山型をしているのに対して,2組は冊数の多い右側に伸びていることから,2組には他の児童よりもかなり多くの本を読んだ児童がわずかにいることで平均値は大きくなり,2組全体としてはそれほど読んでいないことを柱状グラフで確認することができる。 -------------------------------- この結論を受けて,2組の方が読書冊数が多いという結論についても再考しようとすることも考えられる。 -------------------------------- このように分析した結果や結論について,別の観点から考えて検討することで,より妥当な結論について追究を深めていくことが大切である。 -------------------------------- また, 学校の図書館で借りた本だけでなく, 総ページ数についてはどうか, データの収集過程についても -------------------------------- このような活動を通じて,統計的な問題解決の過程や結果を安易に受け止めるのではなく,様々な視点から多面的に吟味し,より妥当な判断を下したり,問題点を改善して遂行したりする力が育成される。 -------------------------------- さらに,自分たちの問題解決の過程を批判的に検討する活動を行うことで,第三者から提示された統計的な主張についても多面的に吟味し,その信頼性や妥当性を評価できるようになる。 |
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