cosnavi.jp

 身の回りの生物について,探したり育てたりする中で,それらの様子や周辺の環境,成長の過程や体のつくりに着目して,それらを比較しながら調べる活動を通して,次の事項を身に付けることができるよう指導する。

--------------------------------

ア 次のことを理解するとともに,観察,実験などに関する技能を身に付けること。

(ア) 生物は,色,形,大きさなど,姿に違いがあること。
 また,周辺の環境と関わって生きていること。

(イ) 昆虫の育ち方には一定の順序があること。
 また,成虫の体は頭,胸及び腹からできていること。

(ウ) 植物の育ち方には一定の順序があること。
 また,その体は根,茎及び葉からできていること。

--------------------------------

イ 身の回りの生物の様子について追究する中で,差異点や共通点を基に,身の回りの生物と環境との関わり,昆虫や植物の成長のきまりや体のつくりについての問題を見いだし,表現すること。

(内容の取扱い)

(3) 内容の「B生命・地球」の(1)については,次のとおり取り扱うものとする。

ア アの(イ)及び(ウ)については,飼育,栽培を通して行うこと。

イ アの(ウ)の「植物の育ち方」については,夏生一年生の双子葉植物を扱うこと。

 本内容は,
 生活科「(7)動植物の飼育・栽培」の
 学習を踏まえて,
 「生命」についての基本的な概念等を
 柱とした内容のうちの
 「生物の構造と機能」,
 「生命の連続性」,
 「生物と環境の関わり」
 に関わるものであり,

 第4学年
 「B(1)人の体のつくりと運動」,
 「B(2)季節と生物」,

 第6学年
 「B(2)植物の養分と水の通り道」,

 中学校第2分野
 「(1)いろいろな生物とその共通点」

 の学習につながるものである。

--------------------------------

 ここでは,
 児童が,
 身の回りの生物について,
 探したり育てたりする中で,

 これらの様子や
 周辺の環境,
 成長の過程や
 体のつくり
 に着目して,

 それらを比較しながら,
 生物と環境との関わり,
 昆虫や植物の
 成長のきまりや体のつくり
 を調べる活動を通して,

 それらについての理解を図り,
 観察,実験などに関する技能を
 身に付けるとともに,

 主に差異点や共通点を基に,
 問題を見いだす力や
 生物を愛護する態度,
 主体的に問題解決しようとする態度
 を育成することがねらいである。

 
 

(ア) 児童の身の回りに見られる様々な生物の色,形,大きさなどに着目して,それらを比較しながら,身の回りの生物の特徴を調べる。

 これらの活動を通して,差異点や共通点を基に,生物の姿についての問題を見いだし,表現するとともに,生物にはそれぞれに固有の形態があることを捉えるようにする。

 例えば,植物については,タンポポやチューリップなどの様々な種類の植物を観察し,着目した点に即して比較する。

 また,動物についても,アリやカエルなどの様々な種類の動物を観察し,同様に比較する。

 その際,児童が身の回りの様々な種類の植物や動物を見たり触れたりにおいを感じたりするなど直接観察することを通して,諸感覚で確認できる特徴を見いだし,捉えるようにする。

--------------------------------

 また,多様な環境の下で生きている様々な生物について,生物が生息している場所に着目して,それらを比較しながら,生物が生息している様子を調べる。

 これらの活動を通して,生物と環境との関わりについて,問題を見いだし,表現するとともに,生物が周辺の環境と関わって生きていることを捉えるようにする。

 例えば,植物に集まる昆虫や植物に生息する昆虫の様子を観察し,昆虫には植物の花の蜜を吸ったり葉を食べたりして生活しているものがいることや,植物をすみかにしているものがいること,また,石のかげなどで生活しているものがいることに気付くようにすることが考えられる。

 
 

(イ) 昆虫の成長の過程に着目して,複数の種類の昆虫の成長の過程を比較しながら,成長による体の変化を調べる。

 これらの活動を通して,差異点や共通点を基に,昆虫の成長についての問題を見いだし,表現するとともに,昆虫の育ち方には,「卵→幼虫→蛹→成虫」というような一定の順序があることを捉えるようにする。

 その際,幼虫の時期には食べ物を食べ,脱皮をして体が大きくなることや,蛹の時期には食べ物を食べないことを捉えるようにする。

 昆虫の育ち方については,「卵→幼虫→蛹→成虫」や「卵→幼虫→成虫」などの変態の仕方の違う昆虫を用意し,それらを比較することによって,その過程が異なるものがあることにも触れるようにする。

--------------------------------

 また,昆虫の体のつくりに着目して,複数の種類の昆虫の体のつくりを比較しながら調べる。

 これらの活動を通して,差異点や共通点を基に,昆虫の体のつくりについての問題を見いだし,表現するとともに,昆虫の成虫の体は頭,胸,腹の三つの部分からできていること,頭には目や触角,口があること,胸には3対6本のあしがあり,はねのついているものがあること,腹はいくつかの節からできていることなどの体のつくりの特徴を捉えるようにする。

 
 

(ウ) 植物の成長の過程に着目して,複数の種類の植物の成長の過程を比較しながら,成長による体の変化を調べる。

 これらの活動を通して,差異点や共通点を基に,植物の育ち方についての問題を見いだし,表現するとともに,植物の育ち方には,種子から発芽し子葉が出て,葉がしげり,花が咲き,果実がなって種子ができた後に個体は枯死するという,一定の順序があることを捉えるようにする。

--------------------------------

 また,植物の体のつくりに着目して,複数の種類の植物の体のつくりを比較しながら調べる。

 これらの活動を通して,差異点や共通点を基に,植物の体のつくりについての問題を見いだし,表現するとともに,植物の体は根,茎及び葉からできていて,根は地中にあること,茎は葉や花をつけることなどの体のつくりの特徴を捉えるようにする。

 
 

 ここで扱う対象としては,(ア)については,学校で栽培している植物に加え,校庭などの身近な場所に生育する野草として,例えばキク科などの植物が考えられる。

 また,環境との関わりについては,昆虫との関わりがよく分かるような植物として,例えば,アブラナ科,ミカン科などの植物が考えられる。

 環境との関わりがよく分かるような動物としては,例えば,身近な昆虫やダンゴムシなどの節足動物が考えられる。

 (イ)ついては,飼育が簡単で,身近に見られる昆虫を扱うようにする。

 (ウ)については,栽培が簡単で,身近に見られるもので,夏生一年生の双子葉植物を扱うようにする。

--------------------------------

 ここでの指導に当たっては,生活科の学習との関連を考慮しながら,理科の学習の基盤となる自然体験活動の充実を図り,児童の野外での発見や気付きを大切にする。

 また,観察の際は,直接観察することに加え,細かい部分を拡大するなどして,生物の特徴を図や絵で記録するなど,身の回りの生物について考えたり,説明したりする活動の充実を図るようにする。

 その際,例えば,虫眼鏡や携帯型の顕微鏡などの器具の使用が考えられる。

 (ア)については,例えば,校庭などの身近な場所で,花の色や葉の形,大きさなどに着目して観察を行い,比較しながら特徴を見いだしていくようにする。

 その際,観察の後に振り返りを行ったり,着目した点に即して,仲間分けなどの活動を取り入れたりするなど,児童の生物への興味・関心が高まるよう工夫するようにする。

 (イ),(ウ)については,昆虫の卵や幼虫を探し,それらを飼育し観察したり,植物を栽培し観察したりする活動を継続して行い,昆虫や植物の育ち方についての理解の充実を図るとともに,昆虫が食べ物を食べて成長していく様子や,植物が発芽し成長し花が咲き,果実がなって種子ができて枯れていく様子などから,生物を愛護しようとする態度を養うようにする。

 さらに,昆虫の体のつくりを調べる際には,頭,胸,腹の三つの部分から体ができていて,胸には3対6本のあしがあるものを「昆虫」という名称を使用して考察し,適切に説明できるようにすることが考えられる。

--------------------------------

 なお,野外での学習に際しては,毒をもつ生物に注意するとともに事故に遭わないようにするなど,安全に配慮するように指導する。

 さらに,自然環境の中で,生物の採取は必要最小限にとどめるなど,生態系の維持に配慮するようにし,環境保全の態度を育てるようにする。

 
 
→ 小学校理科編 目次
→ 中学校理科編 目次
→ 小学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ