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 道徳性とは,人間としてよりよく生きようとする人格的特性であり,道徳教育は道徳性を構成する諸様相である道徳的判断力,道徳的心情,道徳的実践意欲と態度を養うことを求めている。

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 道徳性の諸様相については,様々な考え方があるが,学校教育において道徳教育を行うに当たっては,次のように捉えるようにする。

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 道徳的判断力は,それぞれの場面において善悪を判断する能力である。

 つまり,人間として生きるために道徳的価値が大切なことを理解し,様々な状況下において人間としてどのように対処することが望まれるかを判断する力である。

 的確な道徳的判断力をもつことによって,それぞれの場面において機に応じた道徳的行為が可能になる。

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 道徳的心情は,道徳的価値の大切さを感じ取り,善を行うことを喜び,悪を憎む感情のことである。

 人間としてのよりよい生き方や善を志向する感情であるとも言える。それは,道徳的行為への動機として強く作用するものである。

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 道徳的実践意欲と態度は,道徳的判断力や道徳的心情によって価値があるとされた行動をとろうとする傾向性を意味する。

 道徳的実践意欲は,道徳的判断力や道徳的心情を基盤とし道徳的価値を実現しようとする意志の働きであり,道徳的態度は,それらに裏付けられた具体的な道徳的行為への身構えと言うことができる。

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 これらの道徳性の諸様相には,特に序列や段階があるということではない。

 一人一人の児童が道徳的価値を自覚し,自己の生き方についての考えを深め,日常生活や今後出会うであろう様々な場面,状況において,道徳的価値を実現するための適切な行為を主体的に選択し,実践することができるような内面的資質を意味している。

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 道徳性を養うことを目的とする道徳科においては,その目標を十分に理解して,教師の一方的な押し付けや単なる生活経験の話合いなどに終始することのないように特に留意し,それにふさわしい指導の計画や方法を講じ,指導の効果を高める工夫をすることが大切である。

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 道徳性は,徐々に,しかも着実に養われることによって,潜在的,持続的な作用を行為や人格に及ぼすものであるだけに,長期的展望と綿密な計画に基づいた丹念な指導がなされ,道徳的実践につなげていくことができるようにすることが求められる。

 
 
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