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 年間指導計画を活用しやすいものにし,指導の効果を高めるために,特に創意工夫し留意すべきこととして次のことが挙げられる。

 ねらいと教材で構成する主題の設定においては,特に主題に関わる道徳教育の状況,それに伴う児童の実態などを考慮する。

 まず,ねらいとしては,道徳的価値の理解に基づいて自己を見つめるための根源的なものを押さえておく必要がある。

 また,教材は,ねらいとの関連において児童が自分との関わりで考えることができるものを適切に選択する。

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 さらに,主題の配列に当たっては,主題の性格,他の教育活動との関連,地域社会の行事,季節的変化などを十分に考慮することが望まれる。

 内容項目相互の関連性や,学年段階ごとの発展性を考慮して,6学年間を見通した計画的,発展的な指導が行えるよう心掛ける。

 また,児童が進学する中学校における道徳科との関連を図るよう工夫することも望まれる。

 各学年段階の内容項目の指導については,児童や学校の実態に応じて重点的指導を工夫し,内容項目全体の効果的な指導が行えるよう配慮する必要がある。

 その場合には,学校が重点的に指導しようとする内容項目の指導時間数を増やし,一定の期間をおいて繰り返し取り上げる,何回かに分けて指導するなどの配列を工夫したり,内容項目によっては,ねらいや教材の質的な深まりを図ったり,問題解決的な学習など,多様な指導方法を用いたりするなどの工夫が考えられる。

 
 

 年間にわたって位置付けた主題については,各教科等との関連を図ることで指導の効果が高められる場合は,指導の内容及び時期を配慮して年間指導計画に位置付けるなど,具体的な関連の見通しをもつことができるようにする。

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 また,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動などの道徳性を養うための体験活動と道徳科の指導の時期や内容との関連を考慮し,道徳的価値の理解を基に自己を見つめるなどの指導の工夫を図ることも大切である。

 道徳科においては,一つの主題を1単位時間で取り扱うことが一般的であるが,内容によっては複数の時間の関連を図った指導の工夫などを計画的に位置付けて行うことも考えられる。

 例えば,一つの主題を2単位時間にわたって指導し,道徳的価値の理解に基づいて自己を見つめる学習を充実させる方法,重点的な指導を行う内容を複数の教材による指導と関連させて進める方法など,様々な方法が考えられる。

 道徳科の内容が学年段階ごとに児童の発達の段階等を踏まえて示されている意義を理解し,全体にわたる効果的な指導を工夫することを基本とする。

 なお,特に必要な場合には,当該学年の内容の指導を行った上で学校の特色や実態,課題などに応じて他学年段階の内容を加えることができる。

 
 

 年間指導計画は,学校の教育計画として意図的,計画的に作成されたものであり,指導者の恣意による不用意な変更や修正が行われるべきではない。

 変更や修正を行う場合は,児童の道徳性を養うという観点から考えて,より大きな効果を期待できるという判断を前提として,学年などによる検討を経て校長の了解を得ることが必要である。

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 そして,変更した理由を備考欄などに記入し,今後の検討課題にすることが大切である。

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 なお,年間指導計画の弾力的な取扱いについては,次のような場合が考えられる。

ア 時期,時数の変更

 児童の実態などに即して,指導の時期,時数を変更することが考えられる。

 しかし,指導者の恣意による変更や,あらかじめ年間指導計画の一部を空白にしておくことは,指導計画の在り方から考えて,避けなければならない。

イ ねらいの変更

 年間指導計画に予定されている主題のねらいを一部変更することが考えられる。

 ねらいの変更は,年間指導計画の全体構想の上に立ち,協議を経て行うことが大切である。

ウ 教材の変更

 主題ごとに主に用いる教材は,ねらいを達成するために中心的な役割を担うものであり,安易に変更することは避けなければならない。

 変更する場合は,そのことによって一層効果が期待できるという判断を前提とし,少なくとも同一学年の他の教師や道徳教育推進教師と話し合った上で,校長の了解を得て変更することが望ましい。

エ 学習指導過程,指導方法の変更

 学習指導過程や指導方法については,児童や学級の実態などに応じて適切な方法を開発する姿勢が大切である。

 しかし,基本的な学習指導過程についての共通理解は大切なことであり,変更する場合は,それらの工夫や成果を校内研修会などで発表するなど意見の交換を積極的に行うことが望まれる。

 
 

 年間指導計画に基づく授業が一層効果的に行われるためには,授業実施の反省に基づき,上記により生じた検討課題を踏まえながら,全教師の共通理解の下に,年間指導計画の評価と改善を行うことが必要である。

 そのためには,日常から実施上の課題を備考欄に記入したり,検討したりするための資料を収集することにも心掛けることが大切である。

 
 
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