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 第1章総則の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき,よりよく生きるための基盤となる道徳性を養うため,道徳的諸価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,道徳的な判断力,心情,実践意欲と態度を育てる。

 道徳科においては,各教科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動における道徳教育と密接な関連を図りながら,年間指導計画に基づき,児童や学級の実態に即して適切な指導を展開しなければならない。

 そのためには,以下に述べるような指導の基本方針を確認する必要がある。

 道徳科は,児童一人一人が,ねらいに含まれる一定の道徳的価値についての理解を基に,自己を見つめ,物事を多面的・多角的に考え,自己の生き方についての考えを深める学習を通して,内面的資質としての道徳性を主体的に養っていく時間である。

 このことを共通に理解して授業を工夫することが大切である。

 道徳科の指導は,児童が道徳的価値に関わる感じ方や考え方を交流し合うことで自己を見つめ,自己の生き方についての考えを深める学習を行う。

 このような学習を効果的に行えるようにするためには,学級内での信頼関係の構築が基盤となる。

 教師と児童の信頼関係や児童相互の人間関係を育て,一人一人が自分の感じ方や考え方を伸び伸びと表現することができる雰囲気を日常の学級経営の中でつくるようにすることが大切である。

 
 

 道徳科の指導の目指すものは,個々の道徳的行為や日常生活の問題処理に終わるものではなく,児童自らが時と場に応じて望ましい行動がとれるような内面的資質を高めることにある。

 つまり,道徳科は,道徳的価値についての単なる知的理解に終始したり,行為の仕方そのものを指導したりする時間ではなく,ねらいとする道徳的価値について児童自身がどのように捉え,どのような葛藤があるのか,また道徳的価値を実現することにどのような意味を見いだすことができるのかなど,道徳的価値を自分との関わりにおいて捉える時間である。

 したがって,児童が道徳的価値を自覚できるよう指導方法の工夫に努めなければならない。

 児童には,年齢相応の発達の段階があるとともに,個人差も大きいことに留意し,一人一人の感じ方や考え方を大切にした授業の展開を工夫することにより,児童が現在の自分の在り方やこれからの生き方を積極的に考えられるようにする。

 
 

 学校生活を送る上では,例えば,相反する道徳的価値について,どちらか一方の選択を求められる場面も数多く存在する。

 その場合の多くは,答えは一つではなく正解は存在しない。

 こうした問題について,多面的・多角的に考察し,主体的に判断し,よりよく生きていくための資質・能力を養うためには,児童が道徳的価値を自分との関わりで考えることができるような問題解決的な学習を取り入れることが有効である。

 また,学校の教育活動全体で行う道徳教育の要として,それぞれの教育活動で行われた指導を補ったり,深めたり,まとめたりするなどの役割を果たす道徳科の特質を踏まえ,ねらいに含まれる道徳的価値の側面から他の教育活動との関連を把握し,それを生かした授業を工夫することが大切である。

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 さらに,道徳性が効果的に養えるように,児童の日常的な体験はもちろんのこと,集団宿泊活動やボランティア活動,自然体験活動など,多様な体験活動を生かした授業を工夫し,道徳的価値のもつ意味や大切さについて深く考えられるようにする。

 
 

 道徳科の指導を計画的に推進し,また,それぞれの授業を魅力的なものとして効果を上げるためには,校長の方針の下に学校の全教師が協力しながら取組を進めていくことが大切である。

 校長の方針を明確にし,道徳教育推進教師を中心とした指導体制の充実を図るとともに,道徳科の授業への校長や教頭などの参加,他の教師との協力的指導,保護者や地域の人々の参加や協力などが得られるように工夫することが大切である。

 
 
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