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 中央教育審議会答申において,学習指導要領等改訂の基本的な方向性が示されるとともに,各教科等における改訂の具体的な方向性も示された。

 今回の総合的な学習の時間の改訂は,これらを踏まえて行われたものである。

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 総合的な学習の時間は,

 学校が
 地域や学校,児童生徒の実態等に
 応じて,

 教科等の枠を超えた
 横断的・総合的な学習とすること

 同時に,
 探究的な学習や
 協働的な学習とすること

 が重要であるとしてきた。

 

 特に,
 探究的な学習を実現するため,

  「@課題の設定

 →A情報の収集

 →B整理・分析

 →Cまとめ・表現」

 の探究のプロセスを明示し,
 学習活動を発展的に繰り返していくこと
 を重視してきた。

 

 全国学力・学習状況調査の
 分析等において,

 総合的な学習の時間で
 探究のプロセスを意識した学習活動に
 取り組んでいる児童生徒ほど
 各教科の正答率が高い傾向
 にあること,

 探究的な学習活動に
 取り組んでいる児童生徒
 の割合が増えていること

 などが明らかになっている。

 

 また,
 総合的な学習の時間の役割は

 OECDが実施する
 生徒の学習到達度調査(PISA)
 における好成績につながった
 ことのみならず,
 学習の姿勢の改善に
 大きく貢献するものとして
 OECDをはじめ
 国際的に高く評価されている。

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 その上で,課題と更なる期待として,以下の点が示された。

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・ 総合的な学習の時間を通してどのような資質・能力を育成するのかということや,総合的な学習の時間と各教科等との関連を明らかにするということについては学校により差がある。

 これまで以上に総合的な学習の時間と各教科等の相互の関わりを意識しながら,学校全体で育てたい資質・能力に対応したカリキュラム・マネジメントが行われるようにすることが求められている。

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・ 探究のプロセスの中でも「整理・分析」,「まとめ・表現」に対する取組が十分ではないという課題がある。

 探究のプロセスを通じた一人一人の資質・能力の向上をより一層意識することが求められる。

 
 
・ 総合的な学習の時間においては,探究的な学習の過程を一層重視し,各教科等で育成する資質・能力を相互に関連付け,実社会・実生活において活用できるものとするとともに,各教科等を越えた学習の基盤となる資質・能力を育成する。

・ 総合的な学習の時間の目標は,「探究的な見方・考え方」を働かせ,総合的・横断的な学習を行うことを通して,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することを目指すものであることを明確化した。

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・ 教科等横断的なカリキュラム・マネジメントの軸となるよう,各学校が総合的な学習の時間の目標を設定するに当たっては,各学校における教育目標を踏まえて設定することを示した。

・ 各学校は総合的な学習の時間の目標を実現するにふさわしい探究課題を設定するとともに,探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力を設定するよう改善した。

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・ 探究的な学習の中で,各教科等で育成する資質・能力を相互に関連付け,実社会・実生活の中で総合的に活用できるものとなるよう改善した。

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・ 教科等を越えた
 全ての学習の基盤となる資質・能力
 を育成するため,

 課題を探究する中で,
 協働して課題を解決しようとする
 学習活動や,

 言語により分析し,
 まとめたり表現したりする学習活動
 (比較する,分類する,関連付ける
  などの,
  「考えるための技法」を活用する),

 コンピュータ等を活用して,
 情報を収集・整理・発信する学習活動
 (情報手段の基本的な操作を習得し,
  情報や情報手段を
  主体的に選択,活用できるように
  することを含む)

 が行われるように示した。

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・ 自然体験やボランティア活動などの体験活動,地域の教材や学習環境を積極的に取り入れること等は引き続き重視することを示した。

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・ プログラミングを体験しながら論理的思考力を身に付ける学習活動を行う場合には,探究的な学習の過程に適切に位置付くようにすることを示した。

 
 

 なお,本解説では,第2章から第4章までは,学習指導要領の文言を基にした解説を行う。

 第5章から第9章までは,第4章までの内容を踏まえた上で,各学校における指導計画の作成,教育活動の実施に当たっての基本的な考え方やポイントを,その手順や方法,具体例などを交えて解説する。

 
 
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