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小学校 学習指導要領 【解説】 |
総合的な学習の時間編 |
第2章 総合的な学習の時間の目標 |
第2節 目標の趣旨 |
1 総合的な学習の時間の特質に応じた学習の在り方 |
(1) 探究的な見方・考え方を働かせる |
探究的な見方・考え方を働かせるということを目標の冒頭に置いたのは,探究的な学習の重要性に鑑み,探究的な学習の過程を総合的な学習の時間の本質と捉え,中心に据えることを意味している。 総合的な学習の時間における学習では,問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく。 これを探究的な学習と呼び,平成20年の「小学校学習指導要領解説総合的な学習の時間編」において,「探究的な学習における児童の学習の姿」として,図のような一連の学習過程を示した。
探究的な学習における児童の学習の姿 ★↑画像をクリックすると拡大します! -------------------------------- 児童は, @ 日常生活や社会に目を向けた時に湧き上がってくる疑問や関心に基づいて,自ら課題を見付け, A そこにある具体的な問題について情報を収集し, B その情報を整理・分析したり,知識や技能に結び付けたり,考えを出し合ったりしながら問題の解決に取り組み, C 明らかになった考えや意見などをまとめ・表現し,そこからまた新たな課題を見付け,更なる問題の解決を始める といった学習活動を発展的に繰り返していく。 要するに探究的な学習とは,物事の本質を探って見極めようとする一連の知的営みのことである。 -------------------------------- 探究的な学習では,次のような児童の姿を見いだすことができる。 事象を捉える感性や問題意識が揺さぶられて,学習活動への取組が真剣になる。 身に付けた知識及び技能を活用し,その有用性を実感する。 見方が広がったことを喜び,更なる学習への意欲を高める。 概念が具体性を増して理解が深まる。 学んだことを自己と結び付けて,自分の成長を自覚したり自己の生き方を考えたりする。 このように,探究的な学習においては,児童の豊かな学習の姿が現れる。 ただし,この@ABCの過程を固定的に捉える必要はない。 物事の本質を探って見極めようとするとき,活動の順序が入れ替わったり,ある活動が重点的に行われたりすることは,当然起こり得ることだからである。 -------------------------------- この探究のプロセスを支えるのが探究的な見方・考え方である。 探究的な見方・考え方には,二つの要素が含まれる。 -------------------------------- 一つは, 各教科等の学習においては, 総合的な学習の時間における -------------------------------- 例えば, 実社会・実生活の中の課題の探究 言葉による見方・考え方を働かせること 数学的な見方・考え方を働かせること 理科の見方・考え方を働かせること などの教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方が,繰り返し活用されることが考えられる。
実社会・実生活における問題は,そもそもどの教科等の特質に応じた視点や捉え方で考えればよいか決まっていない。 扱う対象や解決しようとする方向性などに応じて,児童が意識的に活用できるようになることが大事である。 -------------------------------- 二つは, それは,特定の教科等の視点だけで捉えきれない広範な事象を,多様な角度から俯瞰(ふかん)して捉えることであり,また,課題の探究を通して自己の生き方を問い続けるという,総合的な学習の時間に特有の物事を捉える視点や考え方である。 本解説第3章で説明するように,探究課題は,一つの決まった正しい答えがあるわけでなく,様々な教科等で学んだ見方・考え方を総合的に活用しながら,様々な角度から捉え,考えることができるものであることが求められる。 そして,課題の解決により,また新たな課題を見付けるということを繰り返していく中で,自分の生き方も問い続けていくことになる。 -------------------------------- このように,各教科等における見方・考え方を総合的に活用して,広範な事象を多様な角度から俯瞰(ふかん)して捉え,実社会・実生活の課題を探究し,自己の生き方を問い続けるという総合的な学習の時間の特質に応じた見方・考え方を,探究的な見方・考え方と呼ぶ。 それは総合的な学習の時間の中で,児童が探究的な見方・考え方を働かせながら横断的・総合的な学習に取り組むことにより,よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成することにつながるのである。 そして,学校教育のみならず,大人になった後に,実社会・実生活の中でも重要な役割を果たしていくのである。 -------------------------------- なお,総合的な学習の時間において,各教科等における見方・考え方を総合的に活用するということは,社会で生きて働く資質・能力を育成する上で,教科等の学習と教科等横断的な学習を往還することが重要であることを意味している。 系統的に構造化された内容を,それぞれの特質に応じた見方・考え方を働かせて学ぶ教科等の学習と,総合的な学習の時間において,各教科等で育成された見方・考え方を,実社会・実生活における問題において総合的に活用する教科等横断的な学習の両方が重要であるということを意味している。 このような教科等の学習と教科等横断的な学習の両方が示されていることは我が国の教育課程の大きな特色であり,今回の改訂では改めてその趣旨を明示している。 |
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