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(4) 各学校において定める内容については,目標を実現するにふさわしい探究課題,探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力を示すこと。

 各学校において定める内容について,
 今回の改訂では新たに,

 「目標を実現するにふさわしい
  探究課題」,

 「探究課題の解決を通して
  育成を目指す
  具体的な資質・能力」

 の二つを定めることが示された。

 目標を実現するにふさわしい探究課題とは,

 目標の実現に向けて
 学校として設定した,
 児童が探究的な学習に取り組む課題
 であり,
 従来「学習対象」として
 説明されてきたものに相当する。

 

 つまり,
 探究課題とは,
 探究的に関わりを深める人・もの・こと
 を示したものであり,

 例えば

 「身近な自然環境と
  そこで起きている環境問題」,

 「地域の伝統や文化と
  その継承に力を注ぐ人々」,

 「実社会で働く人々の姿と
  自己の将来」

 などである。

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 ここでいう探究課題とは,
 指導計画の作成段階において
 各学校が内容として定めるもの
 であって,
 学習活動の中で
 児童が自ら設定する課題
 のことではない。

 学校なり教師が,
 探究を通して
 児童にどのような資質・能力を
 育成したいと考えるかを,
 学習対象の水準で表現したもの
 である。

 つまり,
 単元なり1単位時間の授業において,
 どのような教材なり問題場面と
 児童を出会わせ,
 児童がどのような課題をもって
 探究的な学習活動を展開していくか
 を構想する基盤となるものが
 内容としての探究課題である。

 一方,探究課題の解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力とは,

 各学校において定める目標に
 記された資質・能力を,
 各探究課題に即して
 具体的に示したものであり,

 教師の適切な指導の下,
 児童が
 各探究課題の解決に取り組む中で,
 育成することを目指す資質・能力
 のことである。

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 この具体的な資質・能力も,
 「知識及び技能」,
 「思考力,判断力,表現力等」,
 「学びに向かう力,人間性等」
 という資質・能力の三つの柱
 に即して設定していくことになる。

 このように,
 総合的な学習の時間の内容は,
 探究課題と
 具体的な資質・能力
 の二つによって構成される。

 そして,
 両者の関係については,

 目標の実現に向けて,
 児童が
 「何を学ぶか
  (どのような対象と関わり
   探究的な学習を行うか)」
 を表したものが
 「探究課題」であり,

 各探究課題との関わりを通して,
 具体的に
 「何ができるようになるか
  (探究的な学習を通して,
   どのような児童の姿を
   実現するか)」
 を明らかにしたものが
 「具体的な資質・能力

 という関係になる。

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 第1の目標は,
 各学校において
 どのような内容を設定する
 場合であっても
 共通して育成することを目指す
 資質・能力,
 望ましい児童の成長の姿
 を記述している。

 一方,
 探究課題と共に内容を構成する,
 具体的な資質・能力とは,
 特定の領域や対象に関わる探究課題
 の解決を通して,
 どのような資質・能力の育成を
 目指すか
 を具体的に記述するものである。

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 当然のことながら,
 各探究課題には
 その課題ならではの特質があるため,
 学校の目標に示された資質・能力
 のうち,
 特定の要素や側面が
 特に効果的に育成できる
 可能性が高い
 といったことが起こりうる。

 具体的な資質・能力の設定
 に当たっては,
 そのような探究課題ごとの特質
 を踏まえ,
 各探究課題の解決を通して,
 設定した具体的な資質・能力が
 最も効果的に育成されるよう
 工夫することが求められる。

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 なお,
 全体を見通した際に,
 目標で示した資質・能力のうち,
 特定の要素や側面の育成に
 弱さや偏りが認められた場合には,
 探究課題それ自体の設定から見直す
 ことも含めて,
 内容の全体を見直していく必要がある。

 このように,
 探究課題と
 具体的な資質・能力は
 相互に深く関連している。

 したがって,
 内容の設定に際しては,
 両者の間を行きつ戻りつしながら
 柔軟に進める必要が生じることもある。

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 内容の設定において大切なのは,
 児童が
 全ての内容に関わる学びを
 経験し終わった時に,
 各学校において定める目標,
 その中に示した資質・能力が
 確かに実現されるよう,
 適切かつ効果的,効率的に
 内容を設定することである。

 
 
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