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1 指導計画の作成に当たっては,次の事項に配慮するものとする。

(1) 年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。

 その際,児童や学校,地域の実態等に応じて,児童が探究的な見方・考え方を働かせ,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習を行うなど創意工夫を生かした教育活動の充実を図ること。

 本項は,
 総合的な学習の時間の指導計画
 の作成に当たり,

 児童の
 主体的・対話的で深い学びの実現
 を目指した授業改善
 を進めることとし,

 総合的な学習の時間の特質に応じて,
 効果的な学習が展開できるように
 配慮すべき内容
 を示したものである。

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 総合的な学習の時間の指導
 に当たっては,

 (1) 「知識及び技能」が習得されること,

 (2) 「思考力,判断力,表現力等」
    を育成すること,

 (3) 「学びに向かう力,人間性等」
    を涵養すること

 が偏りなく実現されるよう,
 単元など内容や時間のまとまりを
 見通しながら,
 主体的・対話的で深い学びの実現
 に向けた授業改善を行うことが
 重要である。

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 児童に
 総合的な学習の時間の指導を通して
 「知識及び技能」や
 「思考力,判断力,表現力等」
 の育成を目指す授業改善を行うことは
 これまでも
 多くの実践が重ねられてきている。

 そのような
 着実に取り組まれてきた実践を
 否定し,
 全く異なる指導方法を
 導入しなければならない
 と捉えるのではなく,

 児童や学校の実態,
 指導の内容
 に応じ,
 「主体的な学び」,
 「対話的な学び」,
 「深い学び」
 の視点から授業改善を図ること
 が重要である。

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 主体的・対話的で深い学びは,
 必ずしも1単位時間の授業の中で
 全てが実現されるものではない。

 

 単元など内容や時間のまとまりの中で,
 例えば,

 主体的に学習に取り組めるよう
 学習の見通しを立てたり
 学習したことを振り返ったりして
 自身の学びや変容を自覚できる場面を
 どこに設定するか,

 対話によって
 自分の考えなどを
 広げたり深めたりする場面を
 どこに設定するか,

 学びの深まりをつくりだすために,
 児童が考える場面と
 教師が教える場面を
 どのように組み立てるか,

 といった視点で
 授業改善を進めることが求められる。

 

 また,
 児童や学校の実態に応じ,
 多様な学習活動を組み合わせて
 授業を組み立てていくこと
 が重要であり,

 単元のまとまりを見通した学習
 を行うに当たり
 基礎となる知識及び技能の習得に
 課題が見られる場合には,
 それを身に付けるために,
 児童の主体性を引き出す
 などの工夫を重ね,
 確実な習得を図ることが必要である。

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 主体的・対話的で深い学びの実現
 に向けた授業改善
 を進めるに当たり,

 特に「深い学び」の視点に関して,
 各教科等の学びの深まりの鍵となる
 のが「見方・考え方」である。

 

 各教科等の特質に応じた
 物事を捉える視点や考え方である
 「見方・考え方」を,

 習得・活用・探究という学びの過程
 の中で
 働かせることを通じて,

 より質の高い深い学びにつなげること
 が重要である。

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 総合的な学習の時間の第1の目標に示された「よりよく課題を解決し,自己の生き方を考えていくための資質・能力」は,年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通した授業の積み重ねによって総合的に育成されていく。

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 「資質・能力」の育成のためには,
 「主体的・対話的で深い学びの実現
  を図る」こと
 が鍵となる。

 

 探究の過程

  (@課題の設定

 →A情報の収集

 →B整理・分析

 →Cまとめ・表現)

 を充実させるとともに,

 その過程において,
 児童や学校,地域の実態等に応じて,
 児童が探究的な見方・考え方を働かせ,
 教科等の枠を超えた
 横断的・総合的な学習や
 児童の興味・関心に基づく学習
 を行うなど,

 創意工夫を生かした教育活動を
 充実させることが大切である。

 

 このことは,
 第1章総則の第3の1の(1)にも
 示されているように
 今回の改訂における
 重要な改善点である。

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 その際,
 「探究の過程」を通して,
 各教科等における見方・考え方を
 総合的に活用して,
 広範な事象を
 多様な角度から俯瞰して捉え,
 実社会・実生活の課題を探究し,
 自己の生き方を問い続けること
 が行われる。

 こうした
 総合的な学習の時間に固有な学び
 の中では,
 一つの教科等の枠に収まらない課題
 に取り組む学習活動
 を通して,

 各教科等で身に付けた
 知識や技能等を
 相互に関連付け,
 学習や生活に生かし,
 それらが児童の中で
 総合的に働くようにすること
 が一層求められる。

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 したがって,
 総合的な学習の時間では,
 これまで以上に,
 児童や学校,地域の実態等に応じ,
 創意工夫を生かした教育活動の
 充実を図ることが
 欠かせない。

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 創意工夫を生かすとは,
 他校にはない特殊なもの,
 独創性の高いもの
 を行うことが
 求められているわけではない。

 児童や学校,地域の実態に応じて,
 それぞれの学校の児童にふさわしい
 教育活動を
 適切に実施することが重要である。

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 ここで求められる実態とは,この時間の学習活動を適切に行うために十分考慮すべき実態のことである。

 児童の実態とは,知的な側面,情意的な側面,身体的な側面などに関する児童の実際の姿とこれまでの経験などが考えられる。

 学校の実態とは,児童数や学級数などの学校の規模,職員数や職員構成,校内環境や学校の風土や伝統,教育研究の積み重ねなどが考えられる。

 地域の実態としては,学校が設置されている地域の山や川などの自然環境,町やそこにある機関,歴史や文化などの社会環境,そこに住む人やその営み,思いや願いなどの人的環境などが考えられる。

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 例えば,学校の周辺に豊かな森林が広がる小規模の学校では,森や林を取り上げ,環境や資源,産業などに関する学習活動を展開する場合がある。

 そこでは,小規模校のよさを生かした異学年の縦割り集団や全校体制での学習活動を行うなどの取組が考えられる。

 また,町の中心部に位置し行政施設や商店街などを周辺に抱える学校では,町づくりや伝統文化などに関する学習活動を展開する場合がある。

 そこでは,地域の活性化に取り組む人々や組織などからの協力を得て,地域の一員として町づくりに関わろうとするなどの取組が考えられる。

 このように各学校においては,地域や学校,児童の実態を的確に把握し,それらの要素を複合的に関連付け,各学校の児童にとって必要であると考えられる教育活動を展開していかなければならない。

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 なお,特色ある教育活動の創造につなげていくためにも,地域の実態把握が欠かせない。

 教師自らが地域を探索したりフィールド調査をしたり,実際に見たり聞いたりして,地域と関わることが望まれる。

 また,児童の実態把握に関しては,教師や保護者,児童自身に対する様々な観点からの実態調査に加えて,児童に関わることの多い地域の人や専門家からの情報を集めることも有効である。

 
 
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