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(2) 全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,学校における全教育活動との関連の下に,目標及び内容,学習活動,指導方法や指導体制,学習の評価の計画などを示すこと。

 総合的な学習の時間の目標は,第1の目標を踏まえるとともに,育てたいと願う児童の姿を,育成を目指す資質・能力として各学校で定めることから,学校の教育目標と直接つながる。

 また,総合的な学習の時間の目標を実現するためには,各教科,道徳科,外国語活動及び特別活動を含めた全教育活動における総合的な学習の時間の位置付けを明確にすることが重要であり,それぞれが適切に実施され,相互に関連し合うことで教育課程は機能を果たすこととなる。

 すなわち,学校の教育目標を教育課程に反映し具現化していくに当たっては,これまで以上に総合的な学習の時間を教育課程の中核に位置付けるとともに,各教科等との関わりを意識しながら,学校の教育活動全体で資質・能力を育成するカリキュラム・マネジメントを行うことが求められる。

 したがって,総合的な学習の時間が実効性のあるものとして実施されるためには,地域や学校,児童の実態や特性を踏まえ,各教科等を視野に入れた全体計画及び年間指導計画を作成することが求められる。

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 全体計画とは,指導計画のうち,学校として,第3学年から第6学年までを見通して,この時間の教育活動の基本的な在り方を概括的・構造的に示すものである。

 一方,年間指導計画とは,全体計画を踏まえ,その実現のために,どのような学習活動を,どのような時期に,どのくらいの時数で実施するのかなどを示すものである。

 この二つの計画において,各学校が定める「目標」と,目標を実現するにふさわしい探究課題等からなる各学校が定める「内容」を明確にすることが重要である。

 さらには,それらとの関連において生み出される「学習活動」,その実施を推進していく「指導方法」や「指導体制」,児童の学習状況等を適切に把握するための「学習の評価」などが示されるべきである。

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 各学校においては,校長のビジョンとリーダーシップの下で総合的な学習の時間の全体計画及び年間指導計画を作成しなければならない。

 これらの計画を作成することによって,適切な教育活動が展開され,学校として行き届いた指導を行うことが可能となる。

 その際,これまでの各学校の教育実践の積み重ねや教育研究の実績に配慮して計画を作成することが有効である。

 なお,各学校における目標及び内容,学習活動などの設定の手順や方法については,本解説第5章,第6章で詳しく解説する。

 総合的な学習の時間の全体計画及び年間指導計画の作成に当たっては,第1章総則の第1の4に示された,組織的かつ計画的に教育活動の質の向上を図っていく,カリキュラム・マネジメントを大事にする必要がある。

 カリキュラム・マネ ジメントについては,

@ 内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと

A 教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと

B 教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくこと

 という三つの側面がある。

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 @内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくことについては,

 目標及び内容,学習活動などが,
 教科等横断的な視点で
 連続的かつ発展的に展開するように,
 教科等間・学年間の関連やつながりに
 配慮することが大切である。

 例えば,

 低学年の生活科等で身に付けた
 資質・能力が
 第3学年以降の
 総合的な学習の時間をはじめとする
 学習活動に
 生かされるように
 作成することや,

 中学年で身に付けた資質・能力が
 高学年以降の学習に
 よりよく発展するように
 配慮して作成すること

 などが考えられる。

 

 また,
 中学校においても
 総合的な学習の時間の取組が
 連続的かつ発展的に展開できる
 ようにするためには,
 9年間でどのような学習を行い,
 どのような資質・能力の育成を
 目指すのか,

 小学校の全体計画や年間指導計画
 を踏まえた中学校の指導計画
 が作成されるよう,
 指導計画をはじめ
 児童の学習状況などについて,
 相互に連携を図ることが求められる。

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 A教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくことに関しては,

 児童や学校,地域の実態を踏まえて
 総合的な学習の時間の指導計画を
 作成し,
 計画的・組織的な指導に努める
 とともに,

 目標及び内容,
 具体的な学習活動や指導方法,
 学校全体の指導体制,
 評価の在り方,
 学年間・学校段階間の連携等
 について,

 学校として
 自己点検・自己評価を行うこと
 が大切である。

 そのことにより,
 各学校の総合的な学習の時間を
 不断に検証し,
 改善を図っていくことにつながる。

 

 そして,
 その結果を
 次年度の
 全体計画や
 年間指導計画,
 具体的な学習活動
 に反映させるなど,

 計画,実施,評価,改善という
 カリキュラム・マネジメントのサイクル
 を着実に行うことが重要である。

 指導計画の評価については,
 本解説第8章で解説する。

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 B教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことについては,

 「内容」や「学習活動」,
 その実施を推進していく
 「指導方法」や「指導体制」
 に必要な人的・物的資源等を,

 地域等の外部の資源も含めて
 活用しながら
 効果的に組み合わせること
 が大切である。

 指導方法については
 本解説第7章で,
 指導体制の整備については
 本解説第9章で,
 環境整備や外部連携などを含めて
 解説する。

 
 
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