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(4) 自然体験やボランティア活動などの社会体験,ものづくり,生産活動などの体験活動,観察・実験,見学や調査,発表や討論などの学習活動を積極的に取り入れること。

 総合的な学習の時間で重視する
 体験活動は,
 自分の身体を通して
 外界の事物や事象に働きかけ
 学んでいくもの
である。

 具体的には,
 視覚,聴覚,味覚,嗅覚,触覚
 といった諸感覚を働かせて,
 あるいは組み合わせて,
 外界の事物や現象に働きかけ
 学んでいく。

 このように,
 児童が身体全体で対象に働きかけ
 実感をもって関わっていく活動
 が体験活動である

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 前回の改訂において,
 体験活動は
 言語活動と共に重要なもの
 として位置付けられた。

 また,今回の改訂では,
 第1章総則の第3の1の(5)において,

 「児童が
  生命の有限性や
  自然の大切さ,
  主体的に挑戦してみることや
  多様な他者と協働すること
  の重要性
  などを実感しながら理解する

  ことができるよう,

  各教科等の特質に応じた体験活動
  を重視し,
  家庭や地域社会と連携しつつ
  体系的・継続的に実施できるよう
  工夫すること。」

 とされた。

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 児童は,
 人々や社会,自然と関わる体験活動
 を通して,
 自分と向き合い,
 他者に共感することや
 社会の一員であること
 を実感する。

 また,
 自然の偉大さや美しさに出会ったり,
 文化・芸術に触れたり,
 社会事象への関心を高め
 問題を発見したり,
 友達との信頼関係を築いて
 物事を考えたりする
 などして,
 喜びや達成感を味わう。

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 こうしたことから,
 総合的な学習の時間では,
 一定の知識を
 覚え込ませるのではなく,

 探究課題の特質や,
 育成したい資質・能力を見通して,
 直接的な体験を
 探究的な学習の過程に,
 適切に位置付ける必要がある。

 

 例えば,

 環境について学ぶ過程において
 自然に関わる体験活動を行ったり,

 福祉について学ぶ過程において
 ボランティア活動など
 社会と関わる体験活動を行ったり,

 地域について学ぶ過程において
 ものづくりや生産,文化や芸術
 に関わる体験活動などを行うこと

 が考えられる。

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 同様の趣旨から,
 総合的な学習の時間における
 学習活動は,
 以下のような学習活動を
 積極的に行う必要がある。

 例えば,

 事象を精緻に観察すること,

 科学的な見方で仮説を立て,
 実験し,検証すること,

 実際に事象を見学したり,
 事実を確かめるために
 調査したりすることなどを行い,
 情報の収集を行うこと。

 また,
 そうした情報をまとめて整理したり,
 関連付けたりする
 発表や討論を行うこと。

 これらの学習活動によって
 学習の深まりが期待できる。

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 例えば,
 環境に関する探究課題を
 設定した場合,

 自然に対する豊かな感受性や
 生命を尊重する精神,
 環境に対する関心等は,

 身近な自然に浸る時間を確保し,
 飼育・栽培や自然観察などの活動を
 実際に行わなければ培えない。

 

 また,
 ボランティア活動などの社会体験が,
 環境の保全や
 よりよい環境の創造
 のために働く人々
 への共感を生み,

 主体的に行動する
 実践的な資質・能力
 を育成する
ことにつながる。

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 さらに,
 環境問題をより科学的に認識する
 ためには,

 温室効果を確かめる実験や
 風車をつくって発電する実験
 などをしたり,
 環境保全に関わる機関に
 見学に行ったりする
 活動が効果的である。

 

 また,
 自分たちが
 深く環境問題と関わっていること
 を実感するためには,

 家庭や学校での
 水の使用量や,
 排出するゴミの種類と量
 を調査するような活動
 が有効である。

 

 こうして
 調べたことや
 実験などで分かったことを
 発表・討論させることを通して,

 具体的に
 どのように行動を変えればよいのか
 を考えさせたり
 それを深めたりすること
 が実現できるのである。

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 なお,
 体験的な学習を展開する
 に当たっては,
 児童の発達の特性を踏まえ,
 目標や内容に沿って
 適切かつ効果的なものとなるよう
 工夫するとともに,

 児童をはじめ
 教職員や外部の協力者などの
 安全確保,
 健康や衛生等の管理
 に十分配慮することが求められる。

 
 
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