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(6) グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ,全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制について工夫を行うこと。

 多様な学習形態の工夫を行うことは,
 児童の
 様々な興味・関心や
 多様な学習活動
 に対応し,
 主体的・対話的で深い学びを進める
 ため必要なことである。

 

 例えば,

 興味・関心別のグループ,
 表現方法別のグループ,
 調査対象別のグループ
 など多様なグループ編成や,
 学級を越えた学年全体での活動,

 さらには
 教え合いや学び合いの態度
 を育むために
 異年齢の児童が一緒に活動すること

 にも考慮する必要がある。

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 個人による学習は,
 一人一人が計画を立てて調査し,
 分かったことを一人でまとめること
 が求められるため,
 自分で学習を進める力を育む
 ことができる。

 その反面,
 限られた時間で集められた資料だけで
 考えることになったり,
 考えが一面的になったりする
 こともある。

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 グループによる学習では,
 メンバー全員で計画を立てて
 役割分担をすることが求められる。

 この中で,
 一人一人の個性を生かすことを
 学んだり,
 コミュニケーションの取り方を
 学んだりすること
 が期待される。

 また,
 自分の役割を
 最後までやり遂げること
 も求められる。

 一方で,
 一人一人の児童に
 課題が設定されなかったり,
 役割に軽重がついたり,
 全員の関心や意見が
 十分に反映されなかったりする
 ということも考えられる

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 学級全体での学習では,
 教師の指導の下,
 計画的に体験を行ったり,
 活発な討論を行ったりする。

 また,
 それを基に
 新たな問題に向かっていく学習活動
 の高まり
 も期待できる。

 しかし,
 一人一人が追究方法を考えたり,
 まとめの資料を作り上げたりする
 側面が弱くなり,
 他者に依存することが危惧される。

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 異年齢集団で学習を進めることは,

 上級生のリーダーシップを育み,

 下級生にとっても

 各自の資質や能力だけでは
 経験できないような学習活動
 を経験できたり,

 上級生の姿を見て,
 「自分もこうなりたい」,
 「こういうことができるようになりたい」
 という意欲を高めることができたりする

 という利点がある。

 

 一方で,
 全員が学習内容を理解するための時間
 がかかったり,
 学習活動の管理が難しくなったりする

 ことも考えられる。

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 総合的な学習の時間を
 充実させるためには,
 これらの学習形態の長所,短所を
 踏まえた上で,
 学習活動に即して
 適切な学習形態を
 選択したり組み合わせたりする
 必要がある。

 また,
 人数と学習活動とは適正か,
 どれくらいの時間が必要か,
 事前にどのような活動を行っておくか
 などについて,
 しっかりとした計画を立てること
 も重要である。

 このような計画の下で
 学級や学年を越えた取組を進める
 ことで,
 児童の多様な興味・関心や学習経験
 などを生かすことができる。

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 指導体制について工夫を行うことは,
 上のような多様な学習形態を支える
 とともに,
 学習の幅や深まりを生み出す
 ことにつながる。

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 総合的な学習の時間は,
 保護者をはじめ
 地域の専門家など
 外部の人々の協力が欠かせない。

 この時間を
 豊かな学習活動として展開していく
 ためには,
 地域の人々を積極的に活用すること
 が必要である。

 教員だけでは展開できない
 多様な学習を
 行うことができたり,
 多様な大人との「対話的な学び」から
 児童が成長できたりする
 という大きな意義をもつ。

 その際,
 「社会に開かれた教育課程」
 の視点から,
 学校と保護者とが育成を目指す
 資質・能力
 について共有し,
 必要な協力を求めることも大事である。

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 また,
 この時間は
 特定の教師のみが
 担当するのではなく,
 全教師が一体となって
 組織的に指導に当たること
 が求められる。

 このことは,
 横断的・総合的な学習を行うなどの
 この時間の目標
 からも明らかである。

 

 そのためには,

 同学年や異学年の教師が
 協働で計画や指導に当たること
 はもちろん,

 校長,副校長,教頭,
 養護教諭,栄養教諭,講師なども
 この時間の指導に関わる体制を整え,

 全教職員が
 この時間の学習活動の充実に向けて
 協力するなど,
 学校全体として取り組むこと
 が不可欠である。

 

 その際,
 幅広く外部に
 この時間の学習の状況や成果を
 公表し,
 保護者をはじめ地域の人々からの
 評価も得て,
 その後の実践に生かしていくなど,
 学校を取り巻く地域の理解と協力を
 得やすくすることも大切である。

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 地域との連携に当たっては,
 コミュニティ・スクールの枠組みの
 積極的な活用や,
 地域学校協働本部との協働
 を図ること
 などが考えられる。

 地域の様々な課題に即した探究課題
 を設定するに当たっては,
 教育委員会のみならず
 首長部局と連携すること
 も大切である。

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 こうしたことの
 計画や準備を行う際には,
 全校的な組織をつくり,
 役割を分担する校内の指導体制を
 確立すること
 が重要である。

 その計画や準備のための時間を
 十分に確保する必要もある。

 なお,
 総合的な学習の時間における
 指導体制については,
 本解説第9章で詳しく解説する。

 
 
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