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 内容の設定において,
 次のような点に
 十分配慮しなければならない。

 それは,
 内容を
 児童の興味・関心や必要感に
 関わりなく
 形式的に網羅し,
 要素的に
 一つ一つ学び取らせていくこと
 にならないようにすることであり,

 この時間の学習活動が,
 教師による
 一方的な体験や活動の押し付け,
 要素的な「知識及び技能」の習得
 のみに終始すること
 のないようにしなければならない。

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 総合的な学習の時間では,
 この時間で取り上げられる
 個々の学習対象について
 何らかの知識を身に付けることや,
 課題を解決すること
 そのものに
 主たる目的があるのではない。

 児童が個々の学習対象に
 主体的に関わる中で生じる
 様々な気付きや
 認識の深まり,
 豊かな経験の広がり
 を通して,
 目標にある資質・能力が育成され,
 自己の生き方を考えることができる
 ようにすることを目指している。

 そのためにも,
 内容の設定と運用に際しては,
 次の2点について
 十分に留意することが望まれる。

 第1に,
 児童にとって必然性のある学習活動
 の中で
 具体的な対象と関わり,

 主体的な課題の解決や
 探究的な学習
 の過程において,
 育成を目指す具体的な資質・能力
 を身に付けていくよう,

 単元の展開や指導の在り方を
 工夫することが重要である。

 

 そうすることにより,

 「知識及び技能」は,
 相互に関連付けられ,
 社会の中で生きて働くものとなり,

 「思考力,判断力,表現力等」は,
 未知の状況においても活用できるもの
 として身に付けられるようになり,

 「学びに向かう力,人間性等」は,
 学びを人生や社会に生かすもの
 として涵養される。

 

 このことは
 内容の設定とともに,
 単元構成や学習指導の在り方に
 関わっていることであり,
 本解説第6章及び第7章でも
 詳しく述べる。

 第2に,
 内容については,
 それらを確実に取り扱うことが
 望ましいことはもちろんであるが,

 必要に応じて,
 目標の実現に向けて
 指導計画を柔軟に運用することも
 考えられる。

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 これは,
 内容の設定と運用における,
 総合的な学習の時間ならではの特質
 である。

 実社会や実生活に関わることを
 取り上げるに当たって,
 計画時点と実施時点で
 様々な事情が変わる
 ということは十分に考えられるし,

 学習活動の展開において
 児童の興味・関心を重視することや,

 事前の計画に必要以上に縛られない
 柔軟で闊達な授業展開,

 個に応じた指導内容の工夫

 といった,
 この時間の学習活動に顕著な特質も,
 このことと深く関係している。

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 この考えに立つならば,
 各学校において定めた目標の実現が
 図られる限りにおいて,
 例えば,
 同じ学年でも
 学級によって取り扱われる内容に
 若干の違いが出ることも
 十分にあり得る。

 また,
 年度によって
 若干の変化が生じることも,
 学校の判断と責任において
 許容される。

 こうした措置を講じる場合には,
 児童や保護者等に対して,
 その趣旨が十分に理解されるよう,
 説明責任と結果責任を
 果たす必要がある。

 あわせて,
 個々の学級,
 個々の年度,
 個々人,
 個々の小集団が
 結果的に取り組んだ学習経験
 において
 著しい偏りや重複,逆転が
 生じないようにすること
 は極めて重要である。

 各学校においては,

 この時間の教育活動が,
 地域や学校,児童の実態等に応じた,
 創意工夫を生かしたものとなり,

 それによって
 この時間の目標が
 十分に実現されるよう,

 以上の2点にも留意しつつ
 適切な実践を行うことが
 求められている。

 
 
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