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 年間指導計画は,学年の始まる4月から翌年3月までの1年間における児童の学びの変容を想定し,時間の流れに沿って具体的な学習活動を構想し,単元を配列したものである。

 年間指導計画における単元の配列には,1年間を通して一つの単元を行う場合や,複数の単元を行う場合などがある。

 いずれにおいても,学習活動や児童の意識が,連続し発展するように配列することが大切である。

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 特に,今回の改訂により,第5章第3の1の(1)において,「年間や,単元など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。

 その際,児童や学校,地域の実態等に応じて,児童が探究的な見方・考え方を働かせ,教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習を行うなど創意工夫を生かした教育活動の充実を図ること。」とされたことを踏まえることが重要である。

 ここで各教科等と異なり,単元の見通しだけでなく年間という視点が入れられているのは,他の教科等との関連を意識して主体的・対話的で深い学びの実現を図るためには,年間を見通すということが大変重要であるという,総合的な学習の特質を踏まえたものである。

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 年間指導計画に記載される主たる要素としては,単元名,各単元における主な学習活動,活動時期,予定時数などが考えられる。

 さらに,各学校が実施する教育活動の特質に応じて必要な要素を盛り込み,活用しやすい様式に工夫することが考えられる。

 例えば,他の教科等や他学年との関連を示す表を作成し,共有することは,全校体制でこの時間の学習活動を適切に行うための共通理解を図り,連携を図ることができる。

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 1年間の学習活動の展開を構想する際には,地域や学校の特色に加えて,各学校において積み重ねてきた実践を振り返り,その成果を生かすことで,事前に準備を進めることができる。

 これまでの活動について,実施時期は適切であったか,時数の配当に過不足はないか,などについて,育成を目指す資質・能力を中心に,児童の学習状況等を適切に把握しながら必要に応じた計画の見直しを適宜行うことが考えられる。

 
 
 以下,年間指導計画の作成及び実施に当たって留意すべき四つの点について述べる。

 年間指導計画を
 作成するに当たっては,

 当該学年までの児童の学習経験や
 その経験から得られた成果について
 事前に把握し,
 その経験や成果を生かしながら
 年間指導計画を立てる必要がある。

 

 総合的な学習の時間に
 初めて取り組む第3学年の場合は,

 生活科など
 低学年における学習経験について
 把握するとともに,

 生活科等の学習活動と
 これから行う総合的な学習の時間の
 学習活動の関連性についても
 あらかじめ確認しておくこと
 が大切である。

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 例えば,
 第3学年で
 高齢者福祉施設を訪問し,
 それを契機に
 高齢者との継続的な交流活動を
 行う際には,

 生活科で
 地域の高齢者から
 昔の遊びを教わる活動の中で,
 何を経験し,
 何を学んでいるかを確認し,
 新たな学習活動の出発点として
 指導計画を構想していくこと
 などが考えられる。

 

 このように
 類似の活動を繰り返す場合には,
 学ぶことが期待される内容が
 当該学年の児童に合致しているか,
 繰り返し取り組むことによる
 学習の質的な高まりがあるか,
 などについて
 十分な検討を行うことが必要である。

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 また,発達段階に応じた経験の有無が,後の学習活動の成否を左右することもあり,注意を要する。

 例えば,留学生との交流活動を,段階的な積み上げがないまま高学年で実施しようとしても,児童が精神的なバリアを張ってしまい,うまく展開できないことがある。

 それまでにどのような交流の経験を積み重ねておくかに十分配慮しなければならない。

 また,体験の積み重ねが不足している場合には,その状況に応じた活動となるよう配慮することが必要である。

 
 

 年間指導計画の作成においては,1年間の季節や行事の流れを生かすことが重要である。

 季節の変化,地域や校内の行事等について,時期と内容の両面から,総合的な学習の時間の展開に生かしたり関連付けたりすることができるのかを,あらかじめ検討することが大切である。

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 地域の伝統行事や季節の変化,動植物との関わりなど,学習活動が特定の時期に集中することで効果が高まったり,適切な時期を逃してしまうことで効果が薄くなったりすることがある。

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 例えば,地域の伝統行事が開催される日程やそれに関わる関係者の準備等の活動の展開を把握しておくことで,児童が行事等を参観したりするだけでなく,行事の準備をする地域の人々に話を聞いたり,準備に関わることで行事の背景や地域の人の思いや願いについて直接触れたり,感じたりすることができる。

 また,その準備や行事に参加するなどの学習活動を設定するといったことができる。

 児童が主体的に行事に参加できたり,地域や行事と自分たちとの関わりを知ったりすることで参加への意欲や学習の質を高めることができる。

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 生産活動を中心とした課題の解決や探究的な学習を展開する際にも同様のことが考えられる。

 例えば,ブドウ栽培の盛んな地域では,梅雨に入る前に栽培したブドウに雨があたらないよう保護用の袋をかける。

 難しい作業の多いブドウ栽培の中では比較的単純な作業であり,このような時期を捉え,児童が農作業の手伝いを申し出ることで,実際の作業を体験することができ,ブドウ栽培に深く関わることが可能となる。

 また,作業をしながら農家の人に話を聞くことで,農家の人がブドウ栽培にかける思い,ブドウ農家の1年の暮らしなどを共感的に理解することができる。

 
 

 第5章第3の1の(3)に示したとおり,年間指導計画の作成に当たっては,各教科等との関連的な指導を行うことが求められている。

 また,関連的な指導は,各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時間及び特別活動の全てにおいて大切にしているが,横断的・総合的な学習を行う観点から,総合的な学習の時間において最も数多く,幅広く行われることが予想される。

 こうした特性を踏まえて,第5章第3の1の(3)に各教科等との関連付けを明記し,この時間において特に重視している。

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 具体的には,各教科等で身に付けた資質・能力を十分に把握し,組織し直し,改めて現実の生活に関わる学習において活用されることが期待されている。

 そうした資質・能力を適切に活用することが,総合的な学習の時間における探究的な学習活動を充実させることにつながる。

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 例えば,社会科の資料活用の方法を生かして情報を収集したり,算数科のデータの活用での学びを生かして情報を整理したり,国語科で学習した文章の書き方を生かして分かりやすいレポートを作成したりすることなどが考えられる。

 また,理科で学んだ生物と環境の学習を生かして,地域に生息する生き物の生育環境を考えることなども考えられる。

 このように各教科等で学んだことを総合的な学習の時間に生かすことで,児童の学習は一層の深まりと広がりを見せる。

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 総合的な学習の時間で行われた学習活動によって,各教科等での学習のきっかけが生まれ意欲的に学習を進めるようになったり,各教科等で学習していることの意味やよさが実感されるようになったりすることも考えられる。

 例えば,総合的な学習の時間で行った体験活動を生かして国語科の時間に案内状や御礼状を書くなど,総合的な学習の時間での体験活動が各教科等における学習の素材となることも考えられる。

 また,総合的な学習の時間で食や健康に関心をもった児童は,家庭科における栄養を考えた食事や快適な住まい方の学習に前向きに取り組む姿が想像できる。

 また,体育科における保健の学習でも総合的な学習の時間で福祉・健康について学んだことの成果を生かして,学習に深まりと広がりを生み出すことが期待できる。

 下記のように,各教科等との関連を明示した書式を工夫することも考えられる。

 例えば,学年の全教育活動を視野に入れることができるように,総合的な学習の時間における単元と,各教科等の単元を配置することに加え,相互の関連を線で結べば,1年間の流れの中で各教科等との関連を見通した年間指導計画(単元配列表)を作成することができる。

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 特に,単元名や学習活動だけでなく,育成を目指す資質・能力が記され,それらが相互に関連することが示されれば,それぞれの学習活動は一層充実し,資質・能力が確かに育成される。

 総合的な学習の時間において,各教科等で育成された資質・能力が発揮されたり,逆に総合的な学習の時間で育成された資質・能力が各教科等の学習活動で活用されたりといったことを児童が経験することによって,身に付けた資質・能力は汎用的な資質・能力として育成される。

 

総合的な学習の時間と各教科等の単元を関連付けた年間指導計画(例)

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 総合的な学習の時間を効果的に実践するには,保護者や地域の人,専門家などの多様な人々の協力,社会教育施設や社会教育団体等の施設・設備など,様々な教育資源を活用することが大切である。

 このことは,第5章第3の2の(7)に示した通りである。

 年間指導計画の中に児童の学習活動を支援してくれる団体や個人を想定し,学習活動の深まり具合に合わせていつでも連携・協力を求められるよう日頃から関係づくりをしておくことが望まれる。

 学校外の教育資源の活用は,この時間の学習活動を一層充実したものにしてくれるからである。

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 また,総合的な学習の時間の年間指導計画の中に,幼稚園,認定こども園,保育所,中学校や特別支援学校等との連携や,幼児・児童・生徒が直接的な交流を行う単元を構成することも考えられる。

 異校種との連携や交流活動を行う際には,児童にとって交流を行う必要感や必然性があること,交流を行う相手にも教育的な価値のある互恵的な関係であることなどに十分配慮しなければならない。

 教師,保育者が互いに目的をもって計画的・組織的に進めることが大切である。

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 なお,学校外の多様な人々の協力を得たり,異校種との連携や交流活動を位置付けたりして学習活動を充実させるには,綿密な打合せを行うことが不可欠である。

 そのための適切な時間や機会の確保は,充実した学習活動を実施する上で配慮すべき事項である。

 
 
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