本章の(1)から(3)までに示したように,
協働的に取り組む学習活動
においては,
「なぜその課題を追究してきたのか
(目的)」,
「これを追究して
何を明らかにしようとしているのか
(内容)」,
「どのような方法で追究すべきなのか
(方法)」
などの点が
児童の中で
繰り返し問われることになる。
このことは,
児童が自らの学習活動を振り返り,
その価値を確認することにもつながる。
協働して学習活動に取り組むことが,
児童の探究的な学習を
持続させ発展させるとともに,
一人一人の児童の考えを深め,
自らの学習に対する自信と
自らの考えに対する確信を
もたせることにもつながる。
学級集団や学年集団を生かすことで,
個の学習と集団の学習が
互いに響き合うことに
十分配慮し,
質の高い学習を成立させる
ことが求められる。
--------------------------------
児童が社会に出たときに直面する
様々な問題
のほとんどは,
一人の力だけでは解決できないもの,
協働することでよりよく解決できるもの
である。
しかし,
問題を自分のこととして受け止め,
よりよく解決するために
自分が取り組もうとする
主体性
がなければ,
協働は成り立たない。
--------------------------------
総合的な学習の時間は,
協働的な学習を基盤とする。
しかし,
その目指すところは,
目標に明示したように
一人一人が
よりよく課題を解決し,
自己の生き方を考えていくための
資質・能力
を養うことにある。
指導計画の作成の段階,
学習活動を行う段階,
学習評価を行う段階
のいずれにおいても,
このことを意識しておきたい。
--------------------------------
協働的に学ぶということは
それぞれの個性を生かすということ
でもある。
学級の中では,
全ての児童が
社交的,開放的である
とは考えられないし,
内省を好む児童もいれば,
他者との関わりに困難さを感じる
児童もいて当然である。
全ての児童を同じ方向に導く
ということではなく,
それぞれの児童なりに
主体的に学ぶこと,
協働的に学ぶこと
のよさを実感できるように
工夫することが必要である。
そのためにも,
協働性と主体性の両方を
バランスよく意識したい。
第1の目標の中に
探究的な学習に
主体的・協働的に取り組むこと
が明示されたこと,
各学校が
育成を目指す資質・能力を
設定するに当たり
「学びに向かう力,
人間性等については,
自分自身に関すること及び
他者や社会との関わりに関すること
の両方の視点を踏まえること。」
とされた趣旨は,
こうした
主体的であることと
協働的であることの
両方が重要である
としたことによるものである。
--------------------------------
なお,
従来「協同的」としてきたものを
今回の改訂で
「協働的」と改めた趣旨は,
意図するところは同じであるが,
ここまで述べたような,
異なる個性をもつ者同士で
問題の解決に向かうことの
意義を強調するためのものである。 |