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 各学校の教育目標の実現に当たっては総合的な学習の時間が重要な役割を果たすことを全教職員で理解することが欠かせない。

 その上で,校長の方針に基づき,総合的な学習の時間の目標が達成できるように,全教職員が協力して全体計画及び各学年の年間指導計画,単元計画などを作成し,互いの専門性や特性を発揮し合って実践していく校内推進体制を整える必要がある。

 校内推進体制の整備に当たっては,全教職員が目標を共有しながら校務分掌に基づいて適切に役割を分担するとともに,教職員間及び校外の支援者とのコミュニケーションを密にすることが肝要である。

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 本項では,児童に対する指導体制と実践を支える運営体制の二つの観点から,総合的な学習の時間の校内推進体制の在り方について述べる。

 
 

 総合的な学習の時間の授業は,学級担任が中心的な指導者となって進められることが多い。

 日頃,学級担任は各教科等の授業を通して児童をよく理解しており,児童の実態を生かしたり各教科等との関連を図ったりして創意あふれる実践を行うことができる立場にある。

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 一方,総合的な学習の時間では,探究的な学習の幅が広がったり学習活動が多様化したりすることや,児童の追究が次々と深化したりすることは,当然起こり得る。

 その結果として,学級担任一人だけでは対応できない状況も出てくる。

 このような場合には,ティーム・ティーチングで指導する体制を整えたり,学級枠を外して指導を分担したりする工夫も必要となる。

 また,学習内容によっては,専科の教師や養護教諭,栄養教諭,司書教諭等の専門性を生かした学校全体の指導体制が必要になる。

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 このような複数の教職員による指導を可能にするためには,時間割の工夫のほか,全教職員が自分の学級や学年だけでなく,他の学級や学年の総合的な学習の時間の実施の様子を十分把握しておくことが大切である。

 その意味で,学級担任は,総合的な学習の時間の実施の様子を様々な形で公開する必要がある。

 例えば,日常の授業の公開のほか,児童の学習活動の様子を廊下に掲示したり,学級だよりや学年だよりの記事にしたりすること,最終場面の発表会はもちろん中間発表会を公開することなども考えられる。

 また,全教職員で実践の状況を紹介し合い,互いに学び合うことを目的としたワークショップ型の研修を行うことなども,学校全体の実施状況の理解を深めると同時に,教職員の協働性を高めることにつながる。

 
 

 学校は組織体として運営されており,教師や校内組織がそれぞれに連携して教育活動を営んでいる。

 特に総合的な学習の時間では,探究的な学習の広がりや深まりによって,複数の教師による指導や校外の支援者との協力的な指導が必要になる。

 そのため,指導方法や指導内容などをめぐって,指導する教師が気軽に相談できる仕組みを職員組織に位置付けておくことも大切になる。

 さらに,指導に必要な施設・設備の調整や予算の配分や執行の役割も校内に必要である。

 このように,総合的な学習の時間においては,校内に,指導に当たる教師を支える運営体制を整える必要がある。

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 そこで,校長は自分の学校の実態に応じて既存の組織を生かすとともに,新たな発想で運営のための組織を整備し,児童の学習活動を学校全体で支える仕組みを校内に整える必要がある。

 その際,次に示す職員分担や組織運営が参考になる。

 
 

 総合的な学習の時間の円滑な運営のために,既存の校務分掌組織を生かす観点から,次のような役割分担が考えられる。

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○ 副校長,教頭:

  運営体制の整備,
  外部との日常的な連携・協力体制
  の構築

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○ 教務主任:

  各種計画の作成と評価,
  時間割の調整

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○ 研修担当:

  研修計画の立案,
  校内研究の実施

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○ 学年主任:

  学年内の
  連絡・調整,研修,相談

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○ 総合的な学習の時間推進担当
  (コーディネーター):

  総合的な学習の時間の充実に
  向けた方策の企画・運営,
  研修計画の立案,
  教師への指導・支援

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○ 図書館担当:

  必要な図書の整備,
  児童及び教師の図書館活用支援

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○ 地域連携担当:

  校外の支援者,支援団体との渉外

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○ 機器担当:

  情報機器等の整備及び配当

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○ 安全担当:

  学習活動時の安全確保

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○ 養護教諭:

  学習活動時の健康管理,
  健康教育に関わること

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○ 栄養教諭:

  食育に関わること

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○ 事務担当:

  予算の管理及び執行 など

 
 

 総合的な学習の時間の全体計画等の作成や評価,各分担及び学年間の連絡・調整,実践上の課題解決や改善等を図るため,関係教職員で組織するものが,校内における推進委員会である。

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 構成については学校の実態によって様々なものが考えられるが,例えば,副校長や教頭,教務主任,研修担当,総合的な学習の時間コーディネーター,道徳教育担当,特別活動担当,学年主任などが挙げられる。

 協議内容によっては,養護教諭,栄養教諭,図書館司書,情報教育担当,国際理解教育担当などを加える場合もあろう。

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 推進委員会では,これらの関係教職員の共通理解や連携強化のために連絡・調整を図るとともに,全体計画をはじめとする各種計画の作成・運用・評価についての協議,校外の支援者との連携のためにコーディネート役の機能をもたせることも有効である。

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 なお,全ての教職員が協力して力を発揮するためには,校長のビジョンとリーダーシップの下,各教科等をつないでカリキュラムをデザインし,マネジメントのできるミドルリーダー的な教員がコーディネーター役を果たすことが望まれる。

 こうした教員が教育活動全体を俯瞰し,学校全体のために動くことができるよう,校務全体の効率化や適切な分担等を行うことが求められる。

 
 

 総合的な学習の時間では,学級や学年ごとに年間指導計画や単元計画等を作成したり,実施したりする学校が多い。

 異学年間合同で学習活動を行う場合も,学級担任や学年の担当者を窓口に教師間の連携が図られることが多い。

 このことから,学年部会は,総合的な学習の時間を運営する上で重要な役割をもつといえる。

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 学年部会は,学級間の連絡・調整のみならず,指導計画の改善や実践に伴って次々と生まれる諸課題の解決や効果的な指導方法等について学び合うなど,研修の場としても大切な役割が期待される。

 時には,学年部の教師が共に地域を歩き,教材化できる素材の収集を行ったり,地域の人の思いや願いを把握したりすることは,地域に根ざした魅力ある授業を創造する上で有効である。

 また,総合的な学習の時間の充実のためには,学年部会において実施した研修や授業の成果を蓄積し,次年度の学年部会の取組に役立てることも必要である。

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 なお,学年部会では,実践上の悩みや疑問が率直に出され,互いに自由な雰囲気で話し合えるよう配慮することが大切である。

 そのことが,教師同士の協働性を高め,総合的な学習の時間の日常的な改善を容易にしていく。

 小規模校では,例えば第3・4学年部会と第5・6学年部会を構成したり,場合によっては第3〜6学年合同部会を構成したりして,実践交流や情報交換等を行うなどの工夫によって,協働性や協力体制を向上させることができる。

 
 
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