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(2) 探究的な学習の過程においては,他者と協働して課題を解決しようとする学習活動や,言語により分析し,まとめたり表現したりするなどの学習活動が行われるようにすること。

 その際,例えば,比較する,分類する,関連付けるなどの考えるための技法が活用されるようにすること。

 総合的な学習の時間においては,
 探究的な学習の過程を
 質的に高めていくこと

 を心掛けなければならない。

 本項では,
 そのために配慮する必要がある
 三つのことを示している。

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 第1は,
 他者と協働して課題を解決しようとする
 学習活動

 を行うことである。

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 ここでは,
 他者を幅広く捉えておくことが
 重要である。

 共に学習を進めるグループ
 だけでなく,
 学級全体や
 他の学級 あるいは
 学校全体,
 地域の人々,
 専門家など,

 また
 価値を共有する仲間だけでなく
 文化的背景や立場の異なる人々
 をも含めて考える。

 

 協働的に学習することの目的は,
 グループで
 よりよい考えを導き出すこと
 に加えて,
 一人一人が
 どのような資質・能力を身に付けるか
 ということが重要
である。

 多様な他者と協働して
 学習活動を行う
ことには
 様々な意義がある。

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 一つには,
 他者へ説明することにより
 生きて働く知識及び技能の習得

 が図られる点である。

 他者と協働して
 学習活動を進めていくためには,
 自分のもっている情報や
 その情報を基にした自分の考えを
 説明する必要がある。

 説明する機会があることで
 知識及び技能が
 目的や状況に応じて活用され,
 生きて働くものとして
 習得されていく。

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 二つには,
 他者から多様な情報が収集できること
 である。

 様々な考えや意見,情報を
 たくさん入手することは,
 その後の学習活動を推進していく上で
 重要な要素である。

 多様な情報があることで,
 それらを手掛かりに考えることが
 可能になり,
 自己の考えを広げ深める学び
 が成立する。

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 三つには,
 よりよい考えが作られることである。

 多様なアイデアや視点を組み合わせる
 等の相互作用
の中で,
 グループとして考えが練り上げられる
 と同時に,
 個人の中にも
 新たな考えが構成されていく
 のである。

 他者と協働して
 学習活動を進めるには,
 互いのコミュニケーションが
 欠かせない。

 自分の思いなどを
 相手に伝えるとともに,
 相手の思いなどを
 受け止めることも
 求められる。

 これらによって,
 双方向の交流が
 質の高い学習活動を実現
する。

 そして,
 これらのプロセスを通じて,

 個別の知識及び技能が
 目的や状況に応じて活用され,
 生きて働くものになり,

 未知の状況に対応できる
 思考力,判断力,表現力等や
 学びに向かう力,人間性等が
 育成されるのである。

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 これからの時代を生きる児童
 にとっては,
 多様で複雑な社会において
 円滑で協働的な人間関係を形成する
 資質・能力

 が求められる。

 このような資質・能力は,
 国や地域を超えて常に重要である。

 総合的な学習の時間において
 探究的な学習を協働的に行うことは,
 その資質・能力を育成する場
 としてふさわしい。

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 協働的に課題解決を行う際には,

 各教科等で身に付けた
 知識及び技能や
 思考力,判断力,表現力等
 を活用できるようにすること
 に留意するとともに,

 考えを可視化するなどして
 児童同士で学び合うことを促す
 などの授業改善の工夫
 が必要である。

 それによって,
 思考を広げ深め,
 新しい考えを創造する児童の姿
 が生まれるものと考えられる。

 第2は,
 言語により分析し,
 まとめたり表現したりする
 学習活動を行うこと
である。

 本解説第3章第3節で述べたように,
 今回の改訂において,
 言語能力は
 全ての学習の基盤となる力

 として位置付けられている。

 

 探究的な学習活動の過程において,
 体験したことや収集した情報を,
 言語により
 分析したりまとめたりすることは,

 自らの学びを
 意味付けたり
 価値付けたりして
 自己変容を自覚し,
 次の学びへと向かうために
 特に大切にすべきことである。

 そのためには,
 分析とは何をすることなのか
 具体的なイメージをもつこと
 が必要となる。

 

 例えば,
 「考えるための技法」を活用し,

 集めた情報を
 共通点と相違点に分けて比較したり,
 視点を決めて分類したり,

 体験したことや
 収集した情報と
 既有の知識とを
 関連付けたり
 時間軸に沿って順序付けたり,

 理由や根拠を示したりすることで,

 情報を分析し意味付けること

 などが考えられる。

 

 また
 言語により分析する対象には,
 観察記録やインタビューデータ
 といった
 質的なものに加えて,
 アンケートなどにより収集した
 量的なデータも含まれる。

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 言語によりまとめたり表現したりする
 学習活動では,
 分析したことを
 文章やレポートに書き表したり,
 口頭で報告したりすること
 などが考えられる。

 文章やレポートにまとめることは,
 それまでの学習活動を振り返り,
 自分の考えとして整理すること
 につながる。

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 それらの報告の場として,
 学年や学校全体で
 どのように学んできたか,
 それによって何が分かったのか
 を共有する場面が想定される。

 参加者全員の前で行う
 プレゼンテーションや
 目の前の相手に個別に行う
 ポスターセッションなど,
 多様な形式を目的に応じて
 設定することが考えられる。

 その際,
 報告することを
 探究的な学習の過程に
 適切に位置付けること
 が大切である。

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 そこでは,
 発表の工夫をさせると同時に,
 聞いている児童にも
 主体的に関わらせること
 が重要である。

 例えば,
 発表者となる児童が
 要点を絞って伝えるための図や表
 の活用,
 視聴覚機器や
 プレゼンテーションソフトウェアなど
 をツールとして利用すること
 などが考えられる。

 聞いている児童には
 発表内容を深め,
 問題点に気付かせる「よい質問」
 をしたり,
 発表者の学習成果を改善させる
 アドバイスをしたりすること
 を目標とさせる
 などの工夫
が考えられる。

 その上で,
 発表後の時間を十分確保して,
 交流したり,
 それぞれに自己評価したりして,
 新たな追究に向かわせる

 なども考えられる。

 このようにして,
 言語を利用した協働的な学習
 によって,
 グループごとに異なる学習内容を
 共有したり,
 相互に関係付けたりすること
 が実現する。

 第3は,
 これらの学習活動においては,
 「考えるための技法」が活用される
 ようにすることを求めている。

 「考えるための技法」とは,
 考える際に必要になる情報の
 処理方法を,

 例えば
 「比較する」,
 「分類する」,
 「関連付ける」など,

 技法のように
 様々な場面で
 具体的に使えるようにする
 ものである。

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 児童は,
 教科等の学習場面や
 日常生活において,
 様々に思考を巡らせている。

 課題について考える過程の中で,
 対象を分析的に捉えたり,
 複数の対象の関係について
 考えたりしている。

 しかし,児童は
 自分が
 どのような方法で考えているのか,
 頭の中で
 情報をどのように整理しているのか
 ということについて,
 必ずしも自覚していないことが多い。

 そこで,
 学習過程において
 「考えるための技法」を
 意識的に活用させることによって,
 児童の思考を支援する
 と同時に,
 別の場面にも活用できるものとして
 習得させることが重要である。

 それにより,
 児童は別の場面でも
 「考えるための技法」を活用して
 課題解決することができるようになり,
 それが
 未知の状況にも対応できる
 思考力,判断力,表現力等
 の育成につながるのである。

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 そのためには,
 各教科等や総合的な学習の時間
 の学習において
 児童に求める「考えるための技法」を
 探究の過程において
 意図的,計画的に指導すること
 が必要である。

 

 学習活動において
 児童に求められる「考えるための技法」
 は何か,

 それは
 どの教科等の
 どのような学習場面と
 同じなのかを
 教師が想定しておくことで,

 「考えるための技法」の視点から
 各教科等の学習を
 相互に関連付けることが可能になる。

 

 それにより,
 教科等の学習で習得した技法を
 活用して,
 総合的な学習の時間で
 課題解決を行ったり,

 逆に
 総合的な学習の時間で自覚化した
 「考えるための技法」を
 教科等の学習で活用したり

 する場面を準備することができる。

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 「考えるための技法」を
 様々な場面で意識的に活用し,
 情報を整理・分析する学習経験を
 積み重ねることで,

 児童は「考えるための技法」を
 様々な場面で活用可能なものとして
 習得することが可能になる。

 

 そのため,

 総合的な学習の時間において,
 「考えるための技法」を習得する場面を
 準備する際には,
 探究的な学習の過程に
 適切に位置付け,

 習得した「考えるための技法」を
 探究のプロセスで活用する場面

 と併せて指導すること
 が必要である。

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 「考えるための技法」を
 指導する際には,
 比較や分類を
 図や表を使って視覚的に行う,
 いわゆる思考ツールといったもの
 を活用することが考えられる。

 その際,
 例えば,
 比較することが求められる場面では

 どの教科等においても
 同じ図を思考ツールとして活用するよう
 指導することで,

 「考えるための技法」を,
 児童が教科等を越えて
 意識的に活用しやすくなる。

 (※原文では「超えて」)

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 各教科等や
 総合的な学習の時間
 において

 「考えるための技法」を,
 実際の問題解決の文脈で
 意識的に活用できるようにすること
 により,

 他者と協働して課題を解決しようとする
 学習活動や,

 言語により
 分析し,まとめたり表現したりする
 などの学習活動

 の質が高まり,

 未知の状況にも対応できる思考力
 等の育成につなげること
 が重要である。

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 なお,
 「考えるための技法」の
 具体的な例や活用方法については,
 本解説第5章第3節の4
 において解説する。

 
 
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