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 中央教育審議会答申では,算数科・数学科の内容に関して,次のように示されている。

○ 「内容」に関しては,育成を目指す「知識・技能」,「思考力・判断力・表現力等」がより明確となり,それらを育成するための学習過程の改善が図られるよう,どのような「数学的な見方・考え方」を働かせて数学的活動を行い,どのような「知識・技能」及び「思考力・判断力・表現力等」を身に付けることを目指すのかを示していくことが必要である。

 その上で,「内容」の系統性,「内容」と育成される資質・能力とのつながり及びこれまでに明らかになっている課題などを意識した「内容」の構成,配列にすることが求められる。

 このことを踏まえ,算数科の内容については,児童が身に付けることが期待される資質・能力を三つの柱に沿って整理し,「知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力等」については指導事項のまとまりごとに内容を示した。

 また,「学びに向かう力,人間性等」については,指導事項のまとまりごとに内容に示すことはせず,教科の目標及び学年目標において,まとめて示した。

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 また,思考力,判断力,表現力等については主なものを記述するとともに,「数学的な見方・考え方」の数学的な見方に関連するものを,「〜に着目して」という文言により記述した。

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 さらに,指導事項のそれぞれのまとまりについて,数学的な見方・考え方や育成を目指す資質・能力に基づき,内容の系統性を見直し,領域を全体的に整理し直した。

 結果として「A数と計算」,「B図形」,「C測定」,「C変化と関係」及び「Dデータの活用」の五つの領域とした。

 下学年は「A数と計算」,「B図形」,「C測定」及び「Dデータの活用」の四つの領域とし,上学年は「A数と計算」,「B図形」,「C変化と関係」及び「Dデータの活用」の四つの領域としている。

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 また,数学的活動については,従来,算数的活動として,各学年の内容に位置付け,内容ごとに具体的に示していたものを,今回の改訂において数学的活動としたものであるが,問題発見・解決の過程として数学的活動を位置付けたことに伴い,枠組みのみを示すものとした。

 
 
 中央教育審議会答申では,指導内容の充実に関し,次のように示されている。

○ 算数・数学を学ぶことは,問題解決の喜びを感得し,人生をより豊かに生きることに寄与するものと考えられる。

 また,これからの社会を思慮深く生きる人間を育成することにも大きく貢献すると考えられる。

 このため,数学と人間との関わりや数学の社会的有用性についての認識が高まるよう,十分に配慮した内容としていくことが求められる。

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○ これからの時代を生き抜くため,米国等ではSTEM(Science,Technology, Engineering and Mathematics)教育の推進が図られており,その基盤に数学が位置付けられている。

 数学には,諸事象に潜む数理を見いだし,それを的確に表現することへの大きな期待が寄せられている。

 また,PISA調査の読解力の定義が,読むテキストの形式として物語,論説などの「連続テキスト」と,表,図,ダイヤグラムなどの「非連続テキスト」があり,両者を含めて読む対象とするとして,より広い言語観に立って規定されているなど,言語としての数学の特質が一層重視されてきており,このことに配慮する必要がある。

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○ また,社会生活などの様々な場面において,必要なデータを収集して分析し,その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりすることが求められており,そのような能力を育成するため,高等学校情報科等との関連も図りつつ,小・中・高等学校教育を通じて統計的な内容等の改善について検討していくことが必要である。

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○ さらに,プログラミング教育については,他教科においても学習機会の充実に向けた検討がなされているところであるが,小学校の算数科においても,時代を超えて普遍的に求められる力であるプログラミング的思考を身に付けることが重要であると考えられる。

 そのため,プログラミング的思考と,算数科で身に付ける論理的な思考とを関連付けるなどの活動を取り入れることも有効である。

 そこで,引き続き,数や式,表,グラフといった数学的な表現を用いて,筋道を立てて考え表現したりすることを重視した。

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 また,現代の社会においては,多くの人が,様々なデータを手にすることができるようになってきており,連続データを用いた問題解決の場面も多くみられるようになってきている。

 そのため,統計的な内容については,連続データの取扱いを充実させており,小学校算数科においては,第6学年にドットプロットを入れ,連続データでも数値データに目を向けて分布をみることができるようにし,それに伴って,中学校第1学年にあった中央値や最頻値といった代表値も取り扱うなどした。

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 プログラミング教育についても内容の取扱いで触れることとした。

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 小学校算数科の内容の構成については,知識及び技能の学年別,領域別の概略を図1(12〜15ページ)で示している。

 中学校数学科の内容の構成についても,図2(16〜17ページ)で示している。

 また,小学校算数科・中学校数学科を通した資質・能力(「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向かう力,人間性等」)についても,図3(18〜19ページ)で示している。

 
 

 基礎的・基本的な知識及び技能の習得や思考力,判断力,表現力等の育成を図るために,一部の内容の指導時期を改めた。

 小・中学校間で移行された内容及び小学校において学年間で移行された内容は以下のとおりである。

(注)

○…当該学年に移行して入ってきた内容

●…当該学年から移行してなくなった内容

[第3学年]

○メートル法の単位の仕組み
  (k(キロ),m(ミリ)など
   接頭語について)←第6学年から

[第4学年]

○メートル法の単位の仕組み
 (長さと面積の単位の関係について)
    ←第6学年から

[第5学年]

●素数→中学校第1学年へ

●分数×整数,分数÷整数 →第6学年へ

○メートル法の単位の仕組み
  (長さと体積の単位の関係について)
    ←第6学年から

○速さ ←第6学年から

[第6学年]

○分数×整数,分数÷整数
    ←第5学年から

●メートル法の単位の仕組み
  →第3学年,第4学年,第5学年へ

●速さ →第5学年へ

○平均値,中央値,最頻値,階級
   ←中学校第1学年から

 
 
 
 
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