cosnavi.jp

 次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと。

(ア) 現代の標準的な発音

 英語は世界中で広く日常的なコミュニケーションの手段として使用され,その使われ方も様々であり,発音や用法などの多様性に富んだ言語である。

 その多様性に富んだ現代の英語の発音の中でも,特定の地域やグループの人々の発音に偏ったり,口語的過ぎたりしない,いわゆる標準的な発音を指導するものとし,多様な人々とのコミュニケーションが可能となる発音を身に付けさせることを示している。

 その際,cat の母音やmath のth の子音など日本語の発音にはない母音や子音があること,また,日本語とは異なり,like やmusic のように発音が子音で終わったりすることなど,日本語と英語の音声の特徴や違いに気付かせることに十分留意する必要がある。

 例えば,
 singer やsix,easy な どの語の
 /si:/ や/zi/ を,
 日本語の「し」や「じ」と同じように,
 
 と発音しないように
 注意する必要がある。

--------------------------------

 小学校の外国語科では,第2の1(1)「聞くこと」,(3)「話すこと[やり取り]」及び(4)「話すこと[発表]」で示された領域別の目標を達成するのにふさわしい語の発音を扱うものとする。

 また,第2の1(2)「読むこと」アの項目で,「活字体で書かれた文字を識別し,その読み方を発音することができるようにする」と示されていることを踏まえて,F やK という文字を見て/ef/ や/kei/ と発音するといった文字の名称の読み方を扱うものとする。

 文字の名称の読み方を指導する際には,小学校第3学年の国語科において日本語のローマ字表記が扱われていることを踏まえ,特にa,e,i,o,u などの母音字について,日本語のローマ字表記の読み方と英語の文字の名称の読み方が異なることに留意して指導することが必要である。

--------------------------------

 なお,中学校の外国語科においても同じ指導事項が挙げられているが,中学校段階では,母音や子音の種類や数が英語と日本語では異なっていることや,例えばschool やstreet,books などのように英語では子音が続いたりすることなど,日本語と英語の音声の特徴や違いに十分留意して指導することが求められている。

 
 

 次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと。

(イ) 語と語の連結による音の変化

 英語を話すときには,一語一語を切り離して発音せず,複数の語を連続して発音することが多い。このように語と語を連結させることによって英語を滑らかにかつリズミカルに話すことができる。

 一方,このような音の連続が英語の聞き取りを難しくしている面もあり,英語を聞くときもこの音変化に慣れておくことが必要である。

--------------------------------

 以下に語と語の連結による音変化の例を示す。

--------------------------------

 音の変化の指導に当たっては,音声で十分に慣れ親しんだ表現として繰り返し触れさせるとともに,英語のリズムを大切にしながら発音させるようにすることが重要である。

 音声で慣れ親しんでいる表現や文について,文字を示しながら音の変化についての指導をすることは中学校段階で行うものとする。

 
 

 次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと。

(ウ) 語や句,文における基本的な強勢

 英語の語や句,文にはそれぞれ強く発音される部分とそうでない部分がある。

 強く発音される部分は大きく長めに,そうでない部分は弱くすばやく発音されることから強勢がほぼ等間隔に置かれることになり,英語特有のリズムが生まれる。

 英語は日本語と違って強弱によってアクセントを付ける場合が多い。このような日本語とは異なる英語のリズムを理解させ,習得させることが重要である。

 名詞や動詞,形容詞などの内容語には強勢が置かれ強く発音されることが多い。

 ここでは語や句,文におけるそれぞれの基本的な強勢を取り上げている。

--------------------------------

 語における強勢には次のようなものがある。

--------------------------------

 句における強勢には次のようなものがある。

--------------------------------

 文における強勢には次のようなものがあり,重要な情報に強勢が置かれることも指導する。

--------------------------------

 小学校の外国語科においては,音声で十分慣れ親しませることを通して,強勢があることによって英語特有のリズムが生まれることに気付かせることが重要である。

--------------------------------

 なお,中学校の外国語科においては,中学校で扱う語や句,文について強勢を指導するとともに,

のように品詞によって強勢の位置が異なるものや,

のように一番強い強勢だけでなく二番目に強い強勢をもつ語があることなどを指導する。

 
 

 次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと。

(エ) 文における基本的なイントネーション

 イントネーションは話者の気持ちや意図,相手との関係など,その場の状況などによって変化するが,英語の文には文がもつ基本的なイントネーションがある。

--------------------------------

 下降調のイントネーションは平叙文や命令文に見られることが多い。

 また,wh- 疑問文も原則としてこのイントネーションが用いられる。

--------------------------------

 一方,上昇調のイントネーションは yes-no 疑問文や言葉を列挙するときなどに見られることが多い。

--------------------------------

 音声で十分慣れ親しんだ表現について,基本的なイントネーションに気付き,話す場合に用いることができるように指導することが必要である。

--------------------------------

 なお,中学校の外国語科においては,書かれたものを読む際にも基本的なイントネーションを活用できるように指導したり,or を含む選択疑問文では上昇調と下降調が組み合わされて用いられること,平叙文を上昇調のイントネーションで発音して疑問の意味を表すこと,質問されたwh- 疑問文を上昇調のイントネーションで発音することで聞き返しを意味することなどを指導したりすることになっている。

 
 

 次に示す事項のうち基本的な語や句,文について取り扱うこと。

(オ) 文における基本的な区切り

 英語はいくつかのまとまりに区切って話したり読んだりされることがある。特に長い文は文の構成や意味のまとまりを捉えて区切る必要がある。

 また,文を聞くときにも,区切りに注意すると意味を捉えることに役立つ。

 このように,区切りは,理解する場合にも表現する場合にも重要な役割を果たしており,文を適切に区切りながら話すことができるように指導する必要がある。

--------------------------------

 小学校段階では,基本的な文や文構造を扱うことを考えると,まとまった表現として音声に十分慣れ親しませる中で区切りを扱うことが適切である。

 過度に意味のまとまりを意識させながら区切って話す練習を行うのではなく,表現に繰り返し触れさせることによって区切りに関する気付きを促すようにする。

--------------------------------

 なお,読むことについては,第2の1(2)「読むこと」イ「音声で十分慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現の意味が分かるようにする」という目標を踏まえて指導を行うこととし,文を適切に区切りながら読ませることは中学校の外国語科の指導内容であることに留意する。

 
 
 
 
→ 小学校外国語編
目次
→ 小学校学習指導要領(2017)目次
→ 学習指導要領ナビ
トップページ