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(ア) 身近で簡単な事柄に関する短い話を聞いておおよその内容が分かったりする活動。

 この事項は,身近で簡単な事柄に関する短い話を聞いて,簡単な語句や表現を聞き取り,それらを手掛かりとして,そのおおよその内容が分かる体験をさせることを述べている。

 ただ,「おおよその内容」と示していることから,全ての内容を正しく聞き取り理解することを求めているのではないことに留意する必要がある。

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 「身近で簡単な事柄に関する短い話」とは,中学年の児童が興味・関心を示すような自分のことや身の回りの人や物,学校生活などに関する,短い話を指している。

 例えば,指導者が,「数」を扱う単元において,休日に動物園で見た動物やその数について話をしたり,「色」を扱う単元において,児童や指導者自身の洋服の色を話題として話をしたりすることなどが考えられる。

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 その方法については,学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師やALTなどの外部人材が単独で,もしくは複数の指導者同士がやり取りして聞かせるなど,児童の実態や指導体制に応じて工夫することが大切である。

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 その際は,第2の1の目標(1)「聞くこと」アの項目に示されているとおり,聞き取りやすい声で,ゆっくりはっきりと話すよう努め,外国語による活動経験が乏しい中学年の児童であっても,おおよその内容が推測できるよう,具体的な場面設定をすることが重要である。

 加えて,児童の様子を観察しつつ,慣れ親しんだ別の語句や表現に言い換えたり,動作やイラスト,写真を添えたりするなどして,理解を促す手立てを講じ,「聞いて分かった」という喜びや達成感を味わわせることが重要である。そうした点において,絵本を活用した読み聞かせなども有効である。

 
 

(イ) 身近な人や身の回りの物に関する簡単な語句や基本的な表現を聞いて,それらを表すイラストや写真などと結び付ける活動。

 この事項では,児童にとって身近な人や身の回りの物に関する簡単な語句や基本的な表現を聞いて,それらを表すイラストや写真,実物などと結び付ける活動を示している。

 具体的な活動例として,red,blue などの色を表す語を聞いてその色を指したり,好みを扱う単元において,登場人物の“I like soccer.” という音声を聞いて,紙面上の「サッカーをしている」イラストを指したりする活動などが考えられる。

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 乳幼児は,周囲の人が話す言葉を聞いて自然に母語を獲得していくとも言われる。

 つまり,生活の中で用いられている音声などが具体的な場面や事物と結び付き,その意味を自ずと理解していくのである。

 初めて外国語に触れる中学年段階においても,こうした体験的な理解が大変重要である。

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 例えば,好きな物を伝え合う場面設定の中で,指導者が,like をイメージさせる表情やジェスチャーを交えながら「りんご」の実物やイラストを提示して “I like apples.”と言う。

 そうすることで,“I like”が「好き」を示す非言語情報と,さらにはapples という音声が「りんご」という視覚情報と結び付き,児童は指導者が話した意味を理解する。

 つまり,知識として語句や表現を与えるのではなく,音声と事物を結び付ける活動を通して,児童自身がその意味を理解し語句や表現に慣れ親しんでいくことが求められるのである。

 
 

(ウ) 文字の読み方が発音されるのを聞いて,活字体で書かれた文字と結び付ける活動。

 この事項は,発音される文字の読み方と書かれた文字とを結び付ける活動を示している。

 ここでの「文字」とは,英語の活字体の大文字と小文字を指し,「読み方」とは,文字の「名称」を指している。

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 例えば,文字の名称を表す読み方を聞いて,活字体で書かれた文字を指したり,発音された順に文字カードを並べ替えたり線でつないだりして,「読み方」と「文字」を一致させていく活動などが考えられる。

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 ただし,英語に初めて触れる中学年段階であることを考慮し,一時に全ての読み方と文字について一致させることを求めたり,知識として指導したりするのではなく,あくまでも活動を通して,体験的に文字に親しませることが重要である。

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 加えて,文字認識に関しては個人差が大きいことが予想される。

 中でも,児童にあまり馴染みのない文字については,「読み方」を聞いただけですぐに文字を見つけ出すことが難しい児童がいることも考えられる。

 そこで,活動に際し,指導者は児童の様子を観察しつつ,困難が認められた場合には,十分な間隔を空けてゆっくり一つ一つの文字を発音したり,発音した後に「文字」を示したりするなどして,児童の抵抗感を軽減し達成感がもてるような手立てを講じる必要がある。

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 また,本活動の前段階として,歌やチャンツの中で文字の読み方に親しませたり,文字の形を指で作ってみたり,形に着目して仲間分けをしたりするなど,児童が文字に親しみ,興味・関心が高まるよう,多様な活動を経験させておくことが大切である。



 
 
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