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(ア) 初対面の人や知り合いと挨拶を交わしたり,相手に指示や依頼をして,それらに応じたり断ったりする活動。

 この事項では,例えば,年度初めに学級の友達と行う自己紹介や,道案内,レストランで客と店員になりきって行う活動などに取り組むことを示している。

 例えばレストランでの会話であれば,次のようなやり取りが考えられる。

 A: What would you like?
 B: I'd like pizza.
 A: OK. How about drinks?
 B: No, thank you.

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 この事項における活動は,「挨拶」,「自己紹介」,「買物」,「食事」,「道案内」,「旅行」など,第2の2(3)Aで示す「特有の表現がよく使われる場面」を設定して行われることが多くなると考えられる。

 換言すると,この事項は,これらの表現を活動において使用させることに適しているといえる。

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 なお,自己紹介については,「話すこと[発表]」(イ)でも取り上げている。

 自己紹介の活動を,一方向的な活動として取り組ませるのか双方向的な活動として取り組ませるのかによって事項が異なるが,まず自己紹介をし,その後その内容についてやり取りをするという活動にすれば,二つの事項を併せて指導できることになる。

 
 

(イ) 日常生活に関する身近で簡単な事柄について,自分の考えや気持ちなどを伝えたり,簡単な質問をしたり質問に答えたりして伝え合う活動。

 この事項では,例えば,自分が好きな日本の食文化について互いの考えや気持ちを伝え合う活動に取り組むことを示している。

 この活動においては,次のようなやり取りが考えられる。

 A: I like sushi very much.
   It's delicious.

 B: You like sushi. Me, too.
    Sushi is delicious.
    I like salmon.
    Do you like it(salmon)

 A: Yes. I like tuna, too.
    How about you?

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 次の(ウ)が即興的な活動を示していることに対して,この事項における活動には,必ずしも即興性が求められているわけではない。

 したがって,日常生活に関する身近で簡単な事柄について,児童が自分の考えをもつことができるようになる指導を,単元や授業の中で必要に応じて行うことが考えられる。

 先に示した活動であれば,日本の食文化としてどのようなものがあるかを知ったり,それらを説明したりそれらに対する気持ちを伝えるための表現を言うことができるようになったりするための指導を行うことが考えられるということである。

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 また,やり取りがある程度は継続するように,相手が言ったことを繰り返したり,応答したり,質問したりすることができるようになるための指導も必要である。

 上記の例であれば,
  “You like sushi .”(繰り返し)
  “Me, too.”(応答)
  “Do you like it (salmon)?”
  “How about you?”(質問)
 がそれらに相当する。

 これらの表現をやり取りの中で自然に使えるようになるために,まずは,教師が児童と身近な話題について英語を使って簡単なやり取りをすること,そのようなやり取りの機会を継続的にもつこと,そして,そのやり取りの中で,教師が当該表現を意識的に繰り返し使用するといった「やってみせる指導」が大切である。

 そして,段階的に児童同士がやり取りをする機会をもてるようにし,そのやり取りの中で児童に当該表現を継続的に使用することで活用できるようにすることが肝要である。

 
 

(ウ) 自分に関する簡単な質問に対してその場で答えたり,相手に関する簡単な質問をその場でしたりして,短い会話をする活動。

 この事項では,「質問に対してその場で答えたり」,「質問をその場でしたり」する即興的な活動に取り組むことを示している。

 ただし,即興的といっても,学習の段階を考慮し,話題を「自分に関する」ことに,そして質問は「簡単な」ものにそれぞれ限定し,児童が行う会話は「短い」ものとしている。

 なお,「自分に関する」こととしているのは,そのような事柄についてであれば,その場で質問に答えたり質問したりすることが比較的容易であると考えられるからである。

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 本活動においては,例えば,次のようなやり取りが考えられる。

 A: What sports do you like?

 B: I like baseball.

 A: Do you like 〜( 野球選手の名前)?

 B: Yes.

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 児童が
 このようなやり取りに
 主体的に取り組む
 ことができるようになるためには,
 (イ)と同様に,
 「やってみせる」指導から始める
 ことが大切である。

 その際,教師の質問は,

  “Do you 〜?”
  “Are you 〜?”
  “Can you 〜?”
  “What 〜 do you 〜?”
 など,

 児童が音声で十分慣れ親しんでいる
 疑問文
 を使うことが肝要である。

 また,教師の話に対して児童に質問をさせる機会を全体の場で設け,必要に応じて「今なら“Do you like 〜?”を使って質問できると思うよ。

 どんな質問ができそうですか」などと既習表現を想起させるなどの指導も,この活動に至るまでに行う指導として効果的であると思われる。

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 児童は,その場で質問したり,その場でその質問に答えたりすることについて,最初は難しさを感じたり,質問や答えをすぐに言えなかったりする場合があるかもしれない。

 しかし,すぐにできないのは自然なことだと考えられる。

 まずは教師が,児童の話す内容に共感したり驚いたり喜んだりするなど,言葉が正しく使えていたかだけではなく,話されている内容そのものにも意識を向けることを大切にする。

 その上で,児童の可能性を信じて,長いスパンで本活動に取り組ませたり上述したような指導を行ったりし続けることに努めたい。

 なお,すぐにできないのは自然なことであるため,この活動に取り組ませた後すぐに,「質問できましたか」「質問に答えることができましたか」などと活動の成果を確認することは避けた方がよい。

 このことは,(イ)の事項でも同様である。

 
 
 
 
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