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@ 言語活動に関する事項

 (2)に示す事項については,(1)に示す事項を活用して,例えば,次のような言語活動を通して指導する。

 本解説第2部第1章2(2)@で述べたとおり,外国語学習においては,語彙や文法等の個別の知識がどれだけ身に付いたかに主眼が置かれるのではなく,児童生徒の学びの過程全体を通じて,知識・技能が,実際のコミュニケーションにおいて活用され,思考・判断・表現することを繰り返すことを通じて獲得され,学習内容の理解が深まるなど,資質・能力が相互に関係し合いながら育成されることが必要である。

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 このため,(3)の「言語活動及び言語の働きに関する事項」においては,(2)に示す「思考力,判断力,表現力等」を育成するに当たり,(1)の「知識及び技能」に示す事項を活用して,英語の目標に掲げられた「聞くこと」,「読むこと」,「話すこと[やり取り]」,「話すこと[発表]」及び「書くこと」の五つの領域ごとの具体的な「@言語活動に関する事項」に示された言語活動を通して指導することや,「A言語の働きに関する事項」を適切に取り上げて指導が行われる必要があることを整理している。

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 ここで示されている言語活動は,中学年の外国語活動での学びを踏まえて設定されている。なお,中学校においては,小学校の外国語科で提示された言語活動のうち,小学校で学習した内容の定着の状況などの生徒の実態を踏まえながら,中学校の初年次の導入段階から必要な言語活動を通して学習を繰り返し行い,小学校からの学びを中学校段階へ接続させる指導を行うことを求めている。

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 また,言語活動を行う際は,単に繰り返し活動を行うのではなく,児童が言語活動の目的や言語の使用場面を意識して行うことができるよう,具体的な課題等を設定し,その目的を達成するために,必要な言語材料を取捨選択して活用できるようにすることが必要である。

 このような言語活動を通じて,児童の「学びに向かう力,人間性等」を育成することが重要である。なお,今回の改訂では,内容に示されていた言語の取扱いの一部について,「3 指導計画の作成と内容の取扱い」にまとめて整理をしている。

 
 

ア 身近で簡単な事柄について,伝えようとする内容を整理した上で,簡単な語句や基本的な表現を用いて,自分の考えや気持ちなどを伝え合うこと。

 この指導事項は,「聞くこと」,「話すこと[やり取り]」,「話すこと[発表]」の領域に関するものである。

 自分のこと,友達や家族,学校生活など身近で簡単な事柄について,コミュニケーションの目的や場面,状況等に応じて内容を整理した上で,簡単な語句や基本的な表現の中から適切なものを選び,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことを示している。

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 ここで重要なことは,コミュニケーションを行う際,英語で伝え合うだけでなく,自分の考えと,コミュニケーションする相手の考えを比較したり,新たな考えを知識として取り入れたりしながら,自分の考えを再構築することである。

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 また,こうした言語活動の質の高まりによる自分の考えの変容について,自ら学習のまとめを行ったり,振り返りを行ったりすることで,「思考力,判断力,表現力等」を高める必要がある。

 
 

イ 身近で簡単な事柄について,音声で十分に慣れ親しんだ簡単な語句や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりすること。

 この指導事項は,「読むこと」,「書くこと」の領域に関するものであり,自分のこと,友達や家族,日常生活について,絵や写真等,言語外情報を伴って示された簡単な語句や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりすることを示している。

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 その際,
 単に絵や写真と結び付けて
 英語の意味を推測して読むこと
 を目的とするのではなく,

 例えば,

 外国の友達の日課について
 送られてきた
 写真を伴う英文のメール
 を読み,

 自分の日課との共通点と相違点を捉え,
 返事をどのように書くのかを考えながら
 絵や写真と結び付けて
 英語の意味を推測して読むこと
 だけでなく,

 音声で十分慣れ親しんだ語句が
 文字のみで示された場合,
 文字の音を頼りに,
 その語句の読み方を推測して読むなど,

 児童が
 「思考力,判断力,表現力等」を
 働かせて
 コミュニケーションを行う
 ことができるような
 目的や場面,状況等
 を明確に設定する必要がある。

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 また,「語順を意識しながら」とは,文を書く際に,どのように語を並べると自分の伝えたいことが適切に伝わるかを考えることが重要であることを示している。

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 英語では
 意味の伝達において
 語順が重要な役割を担っており,

 例えば,
 “Sakura pushed Taku.”を,
 “Taku pushed Sakura.”
 と語の順序を替えれば,
 意味が大きく異なってしまう。

 そのため,児童に英語の文構造を理解させるために,語の配列等の特徴を日本語との比較の中で捉えて指導を行うなどの工夫も考えられる。

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 また,単に,語順を意識して英語を書くだけでなく,例えば,外国の姉妹校の同年代の児童とメールや手紙で「将来の夢」について伝え合い,自分たちの夢との共通点や相違点を知ることで,多様な考え方や価値観に触れ,様々な国の人々とのコミュニケーションへの意欲を高めるなど,主体的な学びにつながる学習活動を展開する必要がある。

 
 
 
 
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