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(ア) 1に示す五つの領域別の目標を達成するために必要となる,小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語

 3学年間に指導する語は,改訂前は「1200語程度の語」としていたが,今回の改訂で「1に示す五つの領域別の目標を達成するために必要となる,小学校で学習した語に1600〜1800語程度の新語を加えた語」とした。

 これは,五つの領域別の目標を達成するために必要となる実際のコミュニケーションにおいて活用される可能性が高いと思われる語彙の定着を図るためである。

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 中央教育審議会においては,
「指導する語数については,これまでの実績や諸外国における外国語教育の状況などを参考に,実際のコミュニケーションにおいて必要な語彙を中心に,小学校で600〜700語程度,中学校で1,600〜1,800語程度,高等学校で1,800〜2,500語程度」
を指導することとして整理している。

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 「1600〜1800語程度」については,前回の改訂における「1200語程度」と比べると増加幅が大きく見えるが,小学校において中学年の外国語活動で扱ったり高学年の外国語科で学んだりした語と関連付けるなどしながら,中学校で語彙を増やしていくことを考えれば,言語活動の中で無理なく扱うことのできる程度の語数であると考えられる。

 また,平成28度版の検定教科書においては,3年間で扱われている語数の合計が6社とも1200語程度をかなり上回っていることにも留意が必要である。

 なお,「1600〜1800語程度」としている語数について,「1600語」とは中学校の外国語科で新たに指導する語数の下限を,「1800語」とは指導で取り扱う一定の目安となる語数を示したものであり,1800語程度を上限とするという趣旨ではない。

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 さらに,「3 指導計画の作成と内容の取扱い」(2)アにあるように,生徒の発達の段階に応じて,聞いたり読んだりすることを通して意味を理解できるように指導すべき語彙(受容語彙)と,話したり書いたりして表現できるように指導すべき語彙(発信語彙)とがあり,ここで示されている「1600〜1800語程度」の全てを生徒が発信できるようにすることが求められているわけではないことにも留意する必要がある。

 また,例えばある生徒が「関心のある事柄」について話したり書いたりするのに必要な語彙は,別の生徒には当面は話したり書いたりできる必要はないといったことが考えられることから,受容語彙と発信語彙は一律には規定されないという点にも留意するべきである。

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 一般的に,学習語彙は導入時には受容語彙としてまず提示され,その一部が段階を経て発信語彙として習得されていく。上記の語数は,主として受容語彙として教材等を提示する際の範囲を示しており,学習を繰り返し何度もこれらの語彙に触れるうちに徐々に定着が深まり,受容から発信への転換が促進されるように指導していく必要がある。

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 このことに関連して中央教育審議会答申では,小学校の中学年の外国語活動の段階から扱ってきた内容を,中学校の言語活動において繰り返し活用することにより,生徒が自分の考えなどを表現する際にそれらを活用し,話したり書いたりして表現できるような段階まで確実に定着させることの重要性に言及している。こうして,各学校段階等を通じてより確実に習得させていく過程が重要である。

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 このようなそれぞれの語彙の習得の時期や段階を,言語活動の内容や生徒の習熟の様子を考慮して指導することが重要であり,生徒が学習し,発信語彙として習得する語彙について,明確な目標を設定して指導計画を作成することが望まれる。

 さらに,実際の教科書や教材に掲載する語彙の選定に当たっては,従来の教科書や教材の語彙選定の方法の質的改善が望まれる。

 すなわち,受容語彙・発信語彙の区別をより明確にして,受容語彙は日常的・社会的な話題を考慮した選定を行い,発信語彙は単元・学年などを超えて繰り返し提示・練習するなどの工夫を行うことが望ましい。

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 なお語数については,綴りが同じ語は,品詞に関わりなく1語と数え,動詞の活用形,名詞の単数・複数形,形容詞や副詞の比較変化などのうち規則的に変化するものは原則として辞書の見出し語を代表させて1語とみなすことができる。

 
 

(イ) 連語のうち,活用頻度の高いもの

 ここでいう「連語」とは,in front of,a lot of,look for などのように,二つ以上の語が結び付いて,あるまとまった意味を表すものを指している。

 そのうち,「活用頻度の高いもの」とは,第2の2(3)Aに示された「ア 言語の使用場面の例」や「イ 言語の働きの例」として挙げられている場面や働きにおいてよく使われる身近な連語のことである。

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 連語の選択に当たっては,(ア)と同様,五つの領域別の目標を達成するのに必要とされるものを取り上げるとともに,言語活動などにおいて活用することを通して定着を図るようにすることが極めて重要である。

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 小学校の外国語科においては,get up,look at などの活用頻度の高い基本的な連語を指導している。

 小学校の外国語科で行われる言語活動の中で連語が扱われていることや,基本的な言語材料とともに用いられていることに留意し,中学校においてはこれらの基本的な連語についても「読むこと」や「書くこと」の言語活動の中で活用できるように指導したり,重文や複文など複雑な文や文構造の中で用いることができるように指導したりする。

 
 

(ウ) 慣用表現のうち,活用頻度の高いもの

 ここでいう「慣用表現」とは,ある特定の場面で用いる定型表現を指している。コミュニケーション能力を育成するためには,日常生活でよく用いられる様々な慣用表現を身に付けさせることも重要である。

 そのうち,「活用頻度の高いもの」とは,(イ)と同様,第2の2(3)Aに示された「ア 言語の使用場面の例」や「イ 言語の働きの例」として挙げられている場面や働きにおいてよく使われる身近な慣用表現のことである。

 これらの慣用表現を場面に応じて使用することによって,円滑なコミュニケーションが可能となる。

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 慣用表現の選択に当たっては,五つの領域別の目標を達成するために必要とされるものを取り上げるものとする。

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 なお,小学校の外国語科で例示されている慣用表現は,excuse me,I see, I'm sorry,thank you,you're welcome などである。中学校においては,first of all,on the other hand など,順序立てて論理的に伝えたり,相手に分かりやすく自分の考えを表現したりする際に活用することができる慣用表現も適切に使えるよう指導する。

 
 
 
 
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